13ゴースト

原題：Thir13en Ghosts
監督：スティーヴ・ベック

ネタバレしてます

ダークキャッスルエンターティメント（DCE）の第２作目。
前作と同じくウィリアム・キャッスルの同名作品（1960年）のリメイクで、監督はスティーヴ・ベック。
主演はTVD「名探偵モンク」の潔癖症探偵役でブレイクしたトニー・シャルーブ、心霊研究家役に個性派俳優のマシュー・リラードを起用。
それでは、オバケ屋敷ムービー第２弾！


物語は・・・
スクラップ場に次々と乗り込む同じマークの車たち・・・降り立った隊員が、科学装置をセットする中に、クラシックカーで到着した紳士サイラス。彼は嫌がる霊能力者デニスに凶悪な連続殺人鬼『破壊者』の霊を走査させ、捕獲用のキューブをセットさせる。好奇心からサイラスを走査したデニスは、不思議な機械と札束を読み取る。
そこへデイモンとカリーナが隊員に捕らえられ、サイラスに非道な行いを止めるように忠告する。『呪文と１３番目のゴースト』が無ければ企みは失敗する、と。だが、１２体目のゴースト捕獲作戦を強行するサイラスは、トラックで血を撒き散らし、音で『破壊者』を呼び寄せ、特殊なグラスで成り行きを見守る。
『破壊者』の霊的パワーは凄まじく強力で、隊員たちは次々と血祭りにあげられるが、サイラスは非情にもキューブに逃げ込んだ隊員ごと霊を封印する。

巻き添えを喰ったデイモンは瀕死の重症を負うが、サイラスもまた『破壊者』の行為に巻き込まれ命を落としていた・・・。


自宅の火災で妻のジーンを失ったアーサー家。狭いアパートで娘のキャシー、息子のボビー、家政婦のマギーと暮らしていた。そこへ訪れた弁護士のモスは、叔父であるサイラスが残した死後のメッセージを伝える。それによると、サイラスのライフワークである豪邸を遺産としてアーサーに託し、自身の慰めにするとのこと。「再会しよう・・・あの世でな」という言葉で締めくくられたビデオメールの通り、モスは豪邸の鍵を渡し、一家を地所へと案内する。郊外に建てられた一軒家は、ガラス張りの壁や天井、パズルボックスのように配置された外装材のユニークな造りだった。先着していた電力会社の男は、周辺の停電の原因がこの家にあるから中を調べさせろ、と半ば強引に調査を迫り、新しい家に浮かれているアーサーは承諾する。特殊な鍵で開いた屋内は、ガラス面にラテン語が彫り付けられ、奇妙な装飾品や書物で溢れていた。ホールの床には何層かに分れたルーレット版のような装置があり、中心部が回転していた・・・。

電力会社の従業員に変装していた霊能者のデニスは、サイラスが残したはずの金を求めて地下へ降りる。
そこで目に見えないショックを受けたデニスは、霊体を捉えるグラスを掛け、そこがゴーストたちの監獄であることを知る。

何も知らない家族とマギーは、奇妙ではあるが大きくて広い屋敷に大はしゃぎ。税金の心配も要らないと聞かされ、アーサーはモスの書類にサインをしようとする。そこへ地下から逃げ戻ったデニスが正体を明かし、サイラスとゴーストを集めていたことを告白、この屋敷にはそのゴーストを閉じ込めたキューブがある、と警告する。突然の話を信じられないアーサーだったが、急に倒れこんだデニスに触れたため、魂の記憶を読まれてしまう。
一方、デニスの出現で行動を急いだ弁護士のモスは、グラスを掛け地下へ急ぐ。

キューブの効力を知っているモスは、軽口を叩きながら金の入ったアタッシュケースを手に取る。ところが、ケースを動かしたことで、屋敷全体の装置が作動し、キューブの扉も開いてしまう。
追い詰められたモスは、鋭利な自動ドアのガラスで前後に切断され無残な最期を遂げる。

異変を感じたアーサーは、子供達を捜すが、すでに屋敷内は迷路状態になっており、解き放たれたゴーストも徘徊していた・・・。
奇怪な動力源が作動し、外への扉も窓も遮断され、ボビーは行方不明に。

スクーターで走り回るボビーは、「地下からの誘い」と「制止する声」の両方を聞き、グラスを嵌めたまま地下へ降りる。
その時、更に３つのキューブが解放され、ボビーはそのうちの２体と出会い昏倒する。

目を覚ますと「ここにいてはダメ、上に行きなさい」という声が・・・。声の主は、姿こそ血まみれだが、優しい声で家族を心配するママのジーンだった。「上へ行ってパパを・・・」「早く上へ行って」「上でキャシーを・・・」と、ボビーを誘導するジーンだったが、「危ない！」という声と共に現れたのは、死んだ筈のサイラスだった・・・。

アーサーとキャシー、デニスとマギーに分かれ、ボビーを探しに向かう。
デニスの説明を信じないマギーも、グラスで凶暴な霊を見て、ようやく存在を信じる。

アーサーとキャシーは、通路でボビーの録音機とグラスを見つける。幽霊を信じないアーサーは、先を急ごうとするが、グラスを付けたキャシーにゴーストが襲い掛かる。引きずり回され、鍵爪で裂かれる娘に動揺するが、助けることが出来ない。そこへ冒頭のカリーナが発炎筒を投げつけ、走り回った末に呪文入り扉が閉まり、なんとかキャシーを救出する。
＊ちなみに、この逃走劇は、かなり怖い。
カリーナが霊の解放のために屋敷に来たことを聞き、更にグラスでゴーストを見たことでアーサーもやっと霊の存在を信じる。カリーナが持参した秘密の書によると、中世に悪魔によって書かされた「未来を見る装置」をサイラスは屋敷全体を使って造り、その動力源にゴーストを使う気だったのだ・・・。
とかなんとか言ってる内に、キャシーの姿が消え、装置は次のキューブを解放する。

通路の移動で離れ離れになったデニスとマギー。グラスを掛けているマギーの誘導で、何とかゴーストの攻撃を避けるデニス。間一髪で作動した扉を飛びぬけ、マギーと再会する。
アーサーとカリーナも刻々と変化する壁とゴーストに阻まれて、思うように移動することが出来ない。
どうにかトーチで天板を開けて上へ出た所で、デニス＆マギーと再会し、４人になる。

しかし、装置の動きは止まらず、ついにキューブが開いた。
秘密は図面に囲まれた図書館にあると推理したカリーナと共に、３人は途中でアーサーがゴーストに攻撃されたりしながら、どうにか図書室に入り込む。カリーナvsデニスの口喧嘩の後で、４番目のゴーストが死んだ妻ジーンだと聞かされ、アーサーはショックを受ける。

『跡取り息子』『トルソ(胴)』『呪縛の女』『悲しむ妻』『無念の王子』『怒りの女王』『巡礼の女』『巨大児と陰惨な母』『ハンマー』『ジャッカル』『破壊者』（巨大児と陰惨な母親は別カウント）で、総勢１２体のゴースト。

これらの呪縛が解かれ、装置の中央で１２宮に位置した時、『オキュラリス（地獄の目）』が現れ、過去も未来も見通す力を得るという。止められるのは『失意の男』アーサーだけ、目が開いた瞬間に中へ飛び込むというもの。完全に自殺行為なので、デニスは冒頭で見たアーサーの記憶から、絶対に止めるべきだと言う。だが、子供たちを救うためにやる、というアーサーにデニスは２人で確かめに行く事を提案する。

カリーナとマギーは、万一のために動力源へ爆薬を仕掛けに、アーサーとデニスは呪文ガラスを盾に装置へと向かう。そして、またキューブが開かれ、『無念の王子』が、呪文ガラスを殴打する。
動力源にはサイラスが現れ、豹変したカリーナがマギーを気絶させ、飛びついてキスを交わす。カリーナはデイモンを殺し、呪文のテープと魔術書をサイラスに渡すため、ここに来ていたのだ。

『無念の王子』を呪文ガラスで押しつぶしたアーサーたちの前に、今度は『ハンマー』が立ちふさがる。デニスは、アーサーを呪文ガラスの後ろに押し込み、「英雄になれるチャンスをチャンスを探してた」と、一人で『ハンマー』に立ち向かう。そこへ最後のキューブが開き『破壊者』も現れる。『ハンマー』と『破壊者』は容赦なくデニスを殺すと立ち去る。そこへジーンのゴーストが現れ、束の間の再会を果たすが、呪文の効力には逆らえず、ジーンは装置へと呼ばれてしまう。

役目を果たしたカリーナを当然のように可動扉でプレスして、サイラスは装置へと向かう。
アーサーの目の前では、１２宮に位置したゴーストたちが呪文を詠唱し、中央の複雑なカッターのなかには、キャシーとボビーの姿が・・・。
アーサーの脳裏に１２体のゴーストと『１３体目だ』というデニスの言葉が甦る。そう、１３体目はアーサー自身・・・怒りに任せて殴りかかったサイラスの口から、自宅の火事も純粋な愛を持つゴーストを得るためだったと聞かされる。全てはサイラスによって仕組まれたことだったのだ。絶望に落ちかけるアーサー、その時テープの呪文がめちゃくちゃなリズムを・・・。意識を取り戻したマギーが、制御装置をいじくりまわして壊してくれたのだった！

散々、ゴーストを弄んだサイラスは、解放されたゴーストたちによって、装置のカッターに放り込まれバラバラにされる。

そこにゴーストになったデニスが現れ、アーサーに「まだ、やることがあるはずだ」と告げる。
地下の動力装置は爆発し、アーサーは子供達のために交錯するカッターの渦へ向けて飛び込んだ・・・。
奇跡的なタイミングで、無傷で飛び込めたアーサーは子供達を抱きしめて爆発に耐える。

１１体のゴーストは何処かへと去り、デニスも見届けると消えた。
そして、１２宮の最後の輪が閉止まる寸前、生前の美しく優しい笑顔のジーンが現れ、

「愛してるわ」

と、最後の別れを告げ、光へ消えていった・・・。

END・・・・・・と、思ったら実は一番活躍したマギーが、瓦礫を踏み分けながら「キャシーにも、ボビーにも、アーサーにも悪いけど・・・」

『辞めるわ』　　　　THE ENDｗ.


面白い映画です。
脚本も楽しめますし、映像も上手、音楽も良く出来てますし、ラストは家族愛、おまけもあって、感動的な笑いに持ち込んでますね。
面白いといえば、このグラス（メガネ）を通すとゴーストが見えるという設定を上手く切り替えて使っているので、
ゴーストが迫る恐怖感を演出するのに役立っていました。
ゴーストたちも個性的で、そのままキャラ商品に使ってもいけそうなレベル。
私は、『ハンマー』と『ジャッカル』が好きです。
どうでもいいですけど、最後前にてくてくと森へゴーストたちが歩いていきましたが、あれって放っておくと、えらい事になるんじゃないでしょうか？ｗ
誰か、捕まえてきてください。

さて、印象的なアーサー役とデニス役の個性派俳優ですが、さすがに演技は一級品で、どんな役でもこなせる器用な役者だな、と改めて感心しました。
この映画が成功した重要なポイントを担ってますね。
個人的には、DCE制作で一番成功した作品じゃないか、と思っています。