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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:見鬼 THE EYE826abca2.jpeg
監督:オキサイド&ダニー・パン

ネタバレアリ




香港・シンガポール合作のオカルト・ホラー映画。
アジアにパン兄弟あり』と、言わしめた良作である。
作品としては、主演のアンジェリカ・リーの美しさに支えられた面も大きいが、独特の画面構成と演出も光る。
また、オカルト映画に付きものの、本物の心霊現象が散見される映画としても有名。
ちなみに、『鬼』とは日本で言う角の生えた怪物ではなく、『霊』『魂』という意味である。

物語は・・・
『世界は、醜いことばかりだと言う・・・それでも人は、とても美しいと言う・・・本当かどうか、私には分らない・・・でも、もうすぐそれをこの眼で確かめられる』

角膜移植手術を控えたマン・ウォンは、難病の少女インインに「世界はキレイだよ」と話しかけられる・・・。
祖母と姉が見守る中で包帯を外したマンは、世界の眩しさに痛みを感じる。232e66da.jpg
徐々に目が慣れてきたマンは、引き続き病院でリハビリに入るが、同室の老婆が黒衣の人影と歩いていくのを見る。後を追ったマンだったが、途中で老婆と出会い、不思議な体験をする。翌朝、その老婆は昨夜亡くなっていることを知る。

退院したマンは、ワ・ローのクリニックで視覚認識の訓練とカウンセリングを行うことになる。2歳で失明したマンにとって、見えることと理解できることは別の問題で、触覚に頼らないで認識を行う訓練が必要だからだ。
マンは、視覚を取り戻したことで、言語を学習し、いずれは一人立ちできる人間になりたいと決めていた。

ある夜、マンは、通信簿を探す少年が、ロウソクを食べるのを見てしまう(霊は供養のロウソクの火を食べる、と言う迷信がある。火が消えていたので・・・)。祖母は、マンが通信簿を探す少年の霊と接触しているのを知り、愕然とする。少年は、同じマンションの子で、通信簿を隠したと疑われ、飛び降り自殺をしていた。

また、夢と現実の区別がつかないような、見知らぬ部屋と自分の部屋が交錯する幻覚を見る。

マンは、難病のインインのお見舞いに行くが、病状は好転しておらず、痛々しい姿を見送る。

通い始めた書道教室では、奇怪な女に襲われ、料理屋では子供を抱いた母親を見る。女店員は、自分も同じモノが見えると言い、道では車に轢かれた少年の遺体と姿を同時に見てしまう。少年は黒衣の男に連れられ消えてしまうが、マンは度重なるショックで泣き出してしまう。ワ・ローに黒衣の男や今までの出来事を話し、祖母に自分が普通の子じゃないから試練を与えた、と言われていた事も相談するが信じてもらえない。マンは、自分が見えてはいけないモノを見ていることを自覚し、普通の人間になりたいと悩む。

帰宅したマンは、EVで男の霊を、階段で通信簿を探す少年が飛び降りるのを見て、一人部屋で泣き崩れる。ed48cc65.jpg23780b96.jpg

一度は信じられないと感じたワだったが、いつしかマンを愛している自分に気づき、力になるために行動を始める。
角膜のドナーを探し始め、盲人だけのオーケストラを外されたマンを練習に参加させる。その場で超人的な技量でヴァイオリンを弾き終えたマンは、そのまま倒れて病院に運ばれる。そこで、インインと再会するが、すでに手術で死亡しており、マンに別れの言葉を残して、黒衣の男と共に去っていく。
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少女の墓参りに行ったマンは、霊が見えるという事実を受け入れる決意をし、少女が残した写真入の手紙をワから受け取る。そこに映っている写真が間違っているというマンに、ワは自分の顔が分らないの?と言う。今まで見ていた自分の姿が別人のモノだと知ったマンは、強いショックを受ける。マンに憑りついた霊は、心残りを消してやらない限り、この世から去らない・・・。

叔父を説得しドナーの情報を得た2人は、ドナーがいたタイへ向かう。サイアム病院に着いたマンは、その医院が、自分が夢で見たものと同じ場所だと気づく。担当医のエイクに会ったワは、ドナーの遺族にお礼を言いたいと告げるが、明らかに動揺した様子で断られる。しかし、マンが彼女と同じモノが見えると言うと、家へ案内する途中でリンという少女の話を始める。
リンが、村人の家の前で泣くと死人が出るため、化け物呼ばわりされ迫害されていた。エイクも子供の頃に医師を投げた一人だと告白する。ある夜、リンは憑り付かれたように村で叫び、その後で大火事があり300人の焼死者が出た。リンは、その翌日、首吊り自殺をした、という。
リンの部屋は、自殺したときのままにしてあり、マンはその部屋で一夜を過ごす決心をする。マンが見ていた部屋はリンの部屋だったのだ。鏡に向かい、何故自分に来て欲しかったのか、と尋ねるマン。
マンに流れ込んでくる記憶は、死と迫害、唯一の理解者の母親、そして毎晩3時に自殺を繰り返すリン・・・。彼女を苦しみから救うため、母親に協力を求めるが、自殺した娘を許す事が出来ない母親に断られる。だが、悲痛な助けを求め続けるリンの声が母親に届き、マンの体を通して、リンは母親を置いて逝ったこと、自分を見捨てたことに許しを乞う。母親は、それを許し、翌日リンの墓参を皆で行う・・・。

悪夢から覚めたような晴れやかな笑顔で、美しい世界を眺めるマン・・・。
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その夜、長距離バスでの帰り道、隣で眠るワの無防備な寝顔に微笑み、露店を眺める・・・。だが、そこには無数の影が蠢き、渋滞の原因になっていた事故現場があった。
リンが大火の前に見た光景が交錯し、マンも渋滞の車に逃げるように叫び続けて走る。リンも、必死で村人に伝えていたのだ。マンの必死の呼びかけも虚しく、タンクローリーから漏れたガスが引火、渋滞中の道路は炎と爆発で、地獄絵図と化す・・・。
マンも、飛来した破片で両目を損傷し、ワに抱かれて意識を失う・・・。
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あの日を最後に、リンは消えた・・・私もリンも運命は変えられなかった・・・もう、眼が見えないことを嘆いたりしない・・・世界は、美しいと言う事が分ったから・・・私は決して、忘れない・・・

盲者に戻ったマンは、杖を頼りに歩いていく・・・その先に、姿は見えなくとも、愛する人が待っているから・・・・・・END


オカルト色の濃い中盤までと、リンの素性を探る後半部分で、かなり雰囲気が変わる。
リンが悪い霊ではなく、人と違った力を持っていたために哀しい人生を送った優しい少女であり、マンもまた同じ宿命に苦しむ立場ということで、そこに涙はあっても怖さは無い。

前半は、アジア特有のじわじわと湿気を感じるような恐怖演出と露骨に現れる霊で驚かせ、マンが見ていた自分の姿はリンのものだったという衝撃の展開で方向を変え、ドナーの素性探しへと移っていく。

ラストの”運命は変えられない”というオチのために、かなり凄惨な描写があり、炎に舐め殺されていくシーンと焼死体は中々のショッキング映像である。
幸せそうなカップル、スクールバスの子供達、赤ちゃんのいる夫婦・・・、死とは斯くも残酷なものか、と思わせるに充分なシーンだ。

パン兄弟(双子)は、「レイン」でも評価が高く、今作の成功でハリウッドへの道が開けていく。次に紹介しようと思っている『死界-リサイクル-』も、最後のドンデン返しがの作品である。
『ゴーストハウス』(ハリウッド)も悪くないので、これから良い仕事を期待したい。

*すぐにハリウッドリメイクの話が動き、あのトム・クルーズがリメイク権を獲得したため、DVD化の際にわざわざパッケージの上に宣伝された。結果は、トムが製作会社をクビになったので、ライオンズゲートが買い取り、予定されていたスタッフ・キャストを全部入れ替えて制作された。そのため、リメイク作の完成が大幅に遅れ、監督に胸糞悪い映画の『THEM』を監督したダヴィッド・モロー、主演にジェシカ・アルバという、どう考えてもミスとしか思えない布陣で制作された。
*正式な続編として、「見鬼2:アイ2」「見鬼10:アイ3」が制作されたが、どちらも破綻しており、何の続編か分らないという惨状を見せ付けてくれた。ちなみに見鬼10は、10作目という意味では無く降霊術を10通り行ったバカ者たちがエライ目に遭うというホラーコメディです。ちなみに共通点は無いに等しいので、無理に観る必要は全く無いと忠告しておきますね。
*トム・クルーズが、現在の米やハリウッドで、どういう評価を受けているか暇な人は調べてみて下さい。とても面白い人生の転落劇が楽しめます(鬼か)。
97ea2a84.jpg散見される心霊現象・・・ご存知の方も多いと思いますが、本作には、本物の霊が映りこんでいると言われるシーンが、幾つか存在します。ただでさえ霊の自己主張が強い映画なのに、本物まで参加かよ、と思わんでもないですが。参考までに一つだけUPすると、右のカットで、窓の上中央辺りに男の首があります。→
あ、ちなみに私は神や霊の類は映画の中だけで楽しむ無神論者ですので、念のため。
*実話を基にしたストーリー・・・本作の広告に「15年ほど前に、角膜移植手術を受けた少女が、一週間後に自殺をした」、という記載がある。理由は不明であり、単にその事件を参考にしただけなのだが、角膜提供に対する抵抗を招くと抗議を受けた。個人的には、元ネタであっても、人の死を宣伝に使うべきではない、と思う。そういうことは、脚本家が胸に閉まっておけばいいのだ。

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