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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:HOUSE OF WAXa942f453.jpeg
監督:ジャウム・コレット-サラ

ネタバレあり




DCE制作の第5作目は、米・豪合作の悪霊抜きのサイコ・キラー映画。
チャールズ・ベルデン原案の『肉の蝋人形』(1933年、1953年)に続く3度目の映画化。
いかにもDCEが選びそうなB級臭漂う作品タイトル、監督に新鋭のコレットを起用し、DCE特殊技術スタッフが総結集。
さて、その出来栄えは閣下を驚かせるのか!(お前も蝋人形にしてやろうか!)
人形恐怖症の私は、すでに気分が鬱だよ・・・。

物語は・・・
1974年、蝋人形師には幼い2人の子供がいた。大人しい弟と情緒不安定の兄。兄は癇癪を起こしやすく、両親は虐待気味の折檻を加えるのだった・・・。

そして、現在・・・NYの大学と一流ファッション誌の研修生に選ばれたカーリーは、田舎生活から離れる希望に満ちていた。親友のペイジとブレイクのカップル、彼氏のウェイドは乱暴なカーリーの双子の兄ニックの同行を快く思っていなかった。ニックは所構わずビデオを回す悪友のドールトンも連れており、明日の大学アメフト大会の観覧に向かう深夜のドライブは、少し波乱含みだった。
予定のコースが通行止めだったため、脇道へ迂回した2台の車は、夜明かしのためにキャンプをすることに・・・その路上で『トルーディーの蝋人形の館』という古ぼけた手書きの看板を見つける。

林の中でキャンプを始めた一行は、気ままに過ごすが、そこでニックが元アメフト特待生だったこと、ペイジがブレイクの子供を妊娠していることが分る。ニックは、車の窃盗で特待生もチームも除名され、親にも勘当され、自分を悪だとやさぐれていた。全てを人のせいにして、成功した双子の妹カーリーに八つ当たりするニック。
その時、風に運ばれて、強烈な悪臭が流れてきた。気にしないことにして悪ふざけを続けていると、一台の車がこちらを窺うように現れた。ハイビームのライトで照りつけるトラックにキレたニックは、酒瓶で車のライトを壊す。トラックは後退し、一行は眠りに就くのだった。
9b00f449.jpg
翌朝、ドールトンのビデオが消え、ウェインの車のファンベルトが切られていた。カーリーとペイジは、臭いの元を確かめに行き、足を滑らせたカーリーは、汚物で溢れた沼に転落してしまう。どうにか仲間に助け上げられたカーリーだったが、そこへトラックが現れ、動物の死骸を沼に放り込む。汚物から突き出た『腕』は人形のもので、トラックの男は、店までウェインとカーリーを乗せて行ってやろうと誘う。
アンブローズの町に向かう途中、道が大雨で流されていて、男に不気味なものを感じた2人は歩いて町へ入る。

試合へ向かったニックたちは大渋滞に掴まり、試合を諦めて逆戻りするはめになる。

ガソリンスタンドには人がおらず、町にも人の気配が無いので、2人は教会へ向かう。教会では葬儀が行われており、出てきた男は自分が店の主であるボーだと名乗る。
30分後に店で会う約束をして、2人は暇つぶしに閉館中の「蝋人形の館」にはいる。建物の壁も家具も全てが蝋で作られた館に驚くウェイド。カーリーは、壁に貼られたトルーディー蝋人形館を開設した女性の記事を読む。奇怪な人形は、作者名にヴィンセントを銘してあり、全部が蝋で出来ている館を気味が悪いとカーリーは言う。その時、窓の外から奇怪な顔が覗いていることに気づいたカーリー、ウェイドは様子を見て来ると外へ出て行ってしまう。展示された蝋人形の姿に言いようの無い恐怖を感じたカーリーは、外へ飛び出し、2人はガソリンスタンドへ。何故か15インチのファンベルトだけが無く、16インチで間に合わせようとすると、ボーが現れる。ボーは、15インチなら自宅にある、と言い2人を案内しながら蝋人形館の事を語り始める。

昔はトルーディーの蝋人形館も大人気で、医師免許を剥奪された夫のヴィクターと2人の子供と暮らしていた。しかし、トルーディーは脳腫瘍を患い、救えなかった夫のヴィクターは拳銃自殺、残された2人の子供は里子に出され死亡した、という。

一方、楽しみたいブレイクとペイジを残して、ニックとドールトンは2人を迎えに行く。車中で、車泥棒をしたのはドールトンで、ニックはその罪を代わりに受けてやっていた。車は地図に無い町アンブローズへと向かう。

トイレを借りにボーの家へ入ったウェイドは、ヴィクターの医師免許と蝋人形を見つけ、手術室に入るが閉じ込められてしまう。カーリーは、片方のライトが壊れたトラックの持ち主がボーと気づき、必至の抵抗をして逃げ出す。
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ウェイドは、蝋マスクの怪人に関節を切られ、筋弛緩剤を注射され生きたまま蝋人形にされていく・・・。
町へ助けを求めに来たカーリーは、教会でトルーディー・シンクレアの葬儀に遭遇、参列者が全て人間の蝋人形と分り恐怖する。司祭の蝋人形に隠れたカーリーだったが、ついにボーに掴えられ、店の地下に監禁されてしまう。

ニックとドールトンが店に来るが、大音量の音楽で悲鳴を隠され、2人に気づいてもらえない。caaf7058.jpg04a06797.jpg
二手に別れ、ニックは再び店に来るが、カーリーは口を瞬間接着剤で閉じられ椅子に拘束される。
どうにか、片手の拘束を解き、吸気孔から指を伸ばして、ニックに気づいてもらおうと頑張るが、非情にもボーは、その指をニッパーで切断してしまう・・・。
必死の覚悟で唇をこじ開けたカーリーは、血まみれの口で助けを叫ぶ。ナイフで襲い掛かるボーを殴り飛ばして、店の中から施錠したニックは、カーリーを救出する。
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ドールトンは、蝋人形の館にウェイドとカーリーを探しに来ていた。そこで、ウェイドの蝋人形を見つけたドールトンだったが、目玉しか動かせないウェイドを助けようとして、背後から怪人に襲われる。ドールトンは逃れたが、ウェイドは顔を切り裂かれ、尚も追いすがる怪人の大バサミで首を切断されて殺される・・・。

店を脱出したカーリーとニックだったが、助けを求めたカーテンを開ける女も、機械仕掛けの蝋人形だった・・・。町の人間は、全て生きた人間を固めて作られた蝋人形・・・。
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お楽しみ中のブレイクとペイジにも、怪人の魔の手が迫り、ブレイクはナイフで殺される。逃げ出したペイジも、廃工場で逃走を続けるが、ついに怪人が投擲した棒で頭を貫かれ死亡する・・・。

店のショーウィンドウからボウガンを入手したニックだったが、ボーがライフルで
襲ってきたので、2人は『何がジェーンに起こったか?』をエンドレス上映中の映画館に逃げ込む。
観客の蝋人形に紛れたカーリーが囮になり、ニックがボウガンでボーを射ち倒す。(トドメ刺せ)

カーリーだけでも先に逃がそうとするニックだったが、カーリーの意思は固く、兄妹は協力して他のみんなを助けることにする。
トラックに携帯が無いので、2人は意を決して蝋人形の館へ侵入する。そこの新聞の切り抜きで、ボーがシャム双生児(結合双生児)で、もう一人は顔の皮膚を持たないことを知る。そこへ矢を受けたままのボーが現れ、かなり痛そうに矢を抜く。しかも、トラックにブレイクとペイジの死体を積んだ怪人が、犬を連れて帰宅。勝手な真似をするな、と怪人を罵倒するボー。2人は母親のトルーディの意思を継ぎ、顔が無いヴィンセントの天才的な技量で、町中を蝋人形にしていたのだ・・・。

兄妹の侵入を知ったボーは、怒りを顕わにして探し始める。2人は地下に進んだが、灯りを点けるために、手当たり次第にスイッチを入れたため、逆に居場所を知られてしまう。
地下の工房では、禍々しい装置に掛けられたドールトンを発見するが、すでに首がもげていた。襲い掛かるヴィンセントから逃れるために蝋を煮た大釜をひっくり返し、上へと走る。途中で哀れなウェイドを見掛け、ボーとの肉弾戦も始まる。26358a1d.jpg
地下では工房から出た炎が燃え上がり、蝋人形や床を溶かしていく。ニックが脚を刺されたが、カーリーがオーバーキル気味に撲殺し、そこに現れたヴィンセントは嘆きの雄叫びを挙げる。
階上へと逃れるカーリーを追ってヴィンセントが迫り、炎で館は徐々に崩れ始めていた。象徴的な双子像が両断され、顔の蝋が溶けたヴィンセントが壁から現れる。
全ては悪であるボーに利用されただけで、ヴィンセントに罪は無い、と必死の説得をするカーリー。5d5836b7.jpg
しかし、理解できないヴィンセントは尚も襲い来るが、そこにニックが飛び掛り、顔の蝋細工の面を剥ぎ取られる。現れた顔は、半面こそ潰れているものの、ボーと同じ顔だった・・・。
ニックとカーリーは、協力してヴィンセントを刺し、溶け落ちた階下へと落下させる。
2人は蝋の壁を掘り、ようやく蝋人形の館から脱出するのだった・・・。

ea8b1fcd.jpga7c577fa.jpgシャム双生児として生れ落ちた兄弟、善と悪、才能と狂気を分かち、恐怖の町を造り上げてしまった行いも、こうして幕を閉じた・・・。

悪夢の夜が開け、警官隊が調査を続ける中、保安官は、この町が工場の閉鎖から10年前に地図からも消えた町だったと話す。
ニックは証拠品のドールトンのビデオカメラを拝借し、兄妹は絆を取り戻した・・・。

『トルーデンの子供は2人じゃありません・・・3人です』
走り去る救急車の中で、あの死体処理屋の男を見かけるカーリー、その横にはヴィンセントが連れていた犬の姿が・・・・・・  END


B級映画を最新の技術で製作する、というDCEの目的が、最も発揮された作品。
とにかく、生き人形=蝋人形と蝋細工の家、それが崩壊するラストは圧巻である。
途中の蝋人形の制作シーン(主演:ウェイドくん)の気持ち悪さと痛々しさも痛烈で、ここまで蝋人形に頑張られると、他のシーンが霞んでしまうぐらい。
シャム双生児の兄弟とニック&カーリーの双子の対比や、アクションを多めに使用した追走劇、無駄に張られた伏線などは未回収で、ドラマ性も高めようとしているが、どうしても2の次である。
もう一人いたからどうしたって?というラストのおまけは、別に必要ないと思うw。

ちなみに制作費の問題(町全体のセットや蝋人形の館)で、舞台はアメリカだが、ロケはオーストラリア。
特殊制作スタッフの異常な多さを知ると、嬉々として蝋細工を作っているDCE技術陣の、ノリノリの笑顔が見えてくるようだ。
やはり、現場がのってる映画は、それなりに勢いも出るものである。

私としては、DCEの良い面が出た作品だと思う。

*肉の蝋人形・・・1997年にも制作ダリオ・アルジェント、脚本ルチオ・フルチというマカロニホラー界のSPタッグで制作されたが、監督を務める前にフルチの旦那が68歳で急逝し、監督が代役になったので、ついに完全な作品にはならなかった。こちらは、ガストン・ルルーを原案にしているので、違う映画と言えばそうなのだが、中身はCGを駆使したグロ全開のマカロニホラーで、残念ながら面白くは無い。フルチ監督なら、観て笑いながら文句を言いたかったのに・・・とても残念である。

*人形恐怖症・・・PuppetPhobia、と書くと難しい病気のようだが、何のことは無い人形の物を意味も無く恐れる精神症です。恐怖症だけでも100を超える症例があり、簡単に言うと「あれ苦手なんだよな」というレベル。症状が深刻だとパニック障害や過呼吸を起こし、最悪命の危険もありますけど。最後に熱いお茶が怖い、とオチがつけば笑って済むのにね。

*地図に無い町”アンブローズ”・・・「悪魔の辞典」(全集12巻の7巻目)で有名なアンブローズ・ビアスから命名したと思われる。ビアスは辛辣なコラムニストとして、また天才的な短編作家としても米文学史に名を残しているが、100年を経た今でもその文章は精彩を失っていない。本人も多分に謎めいた人物で、従軍時代は勇敢な士官として、コラムニスト時代は寄稿先の新聞社主ウィリアム・R・ハーストを危地に追いやる風刺詩を残した(本人の意図したものではない)にも関わらず解雇もされず文筆を続け、晩年は忽然と姿を消してしまった。当時から彼の消息を求めて数多の追跡が成されたが、100年経った今でも謎のままである。人にはそれぞれの生き方と相応しい死があるというが、彼には死すら許されなかったのかもしれない。

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