B級映画って言うなw
再見して語る映画館
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言わずと知れたロメロ翁の初期作品。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」で68年に初監督を務め、78年に「ゾンビ」を発表するまでの10年間で、最も有名な作品である。
内容は、細菌兵器に汚染されたエバンス・シティの住人と軍との救われないストーリー・・・。
物語は・・・
一杯の水を飲む少女・・・。兄と無邪気な遊びをしていると、父親がバールを振り回して家財を壊し始めた。その危機迫る様子に母親を起こしに走る少女。兄は父親にライトを当てると、ひるんだ隙に寝室へと逃げ込む。だが、母親はすでにベッドで殺されており、父親は家中に撒いた灯油に火をつける。燃え盛る炎の中で、尚もバールを振り回し続ける父親・・・・・・。
火事のサイレンが響き渡るエバンスシティ・・・、消防署員のデイビッドと看護士のジュディは、妊娠を機会に結婚を控えていた。電話で呼び出されたジュディは、子供の火傷と聞いてブルックマイアー診療所に呼び出される。火元はミッチェル牧場で、ジュディに運転を代わったデイビッドは消防署で相棒のクランクと合流し出場する。
ブルックマイアー診療所へ着いたジュディは、ガスマスクを装着した白衣の男と出会う。ブルックマイアー先生は少佐と一緒だ、と言われ、事態が飲み込めないまま着替えに向かった彼女の前を、ガスマスクと白い防護服を着けた男たちが動き回っていた。
少佐と重症の子供の移送について激しく口論するブルックマイアー医師。しかし、軍の医療班が到着するのを待て、と命令される。軍は、極秘に事件を解決するため、報道管制を敷き、非常線に軍隊を投入して、完全にエバンスシティを隔離していた。
火事場に到着したデイビットとクランクは、保安官に延焼だけを防げ、と不可解な指示を受ける。家に火をつけたミッチェルは、パトカーに確保されていたが、意味不明なことを口走り、とても正気とは思えない。
軍の司令部と化した診療所では、医療従事者に抗生薬が射たれ、ガスマスクと防護服、紫外線除菌装置が設置された。ブルックマイアーは、町が細菌に汚染されたことを告げ、抗生物質を持ちデイビットと町を抜け出すように忠告する。
保安官と助手の会話から、町に異変が起こっていることを知ったデイビットとクランクは、現場を抜け出し、ジュデイが勤務する診療所へ向かう。
教会での説明会のために神父を説得する兵士は、実験用ワクチンを積んだ飛行機が墜落し、町がウィルスに汚染されたことを告げる。
軍の上層部も混迷し、万一のために核兵器か町を消滅させるだけの爆弾を搭載した軍用機を用意する事態にまで発展していた。命令の混乱から、飛行場に一番早くに到着した研究責任者が、飛行機に乗せられ現地へ送り込まれることに。現地もライダー少佐レベルでは対応できないほどに混乱しており、非常線では住民との小競り合いも起きていた。理由も聞かされないまま移動を強制された住民の反発もあり、町長は住人の権利を守るために司令部に怒鳴り込むが、着任したベッケム大佐に後回しにされる。
合流したデイビッドとジュディだったが、軍に発見され、抗生物質を没収されてしまう。同じく軍に確保された人たちの中には、すでに症状が出始めている者もいた。
大佐は、墜落した飛行機の中にあったのはワクチンではなく、強力な生物兵器であり、川の水から町の住人に感染が広がっていることをライダー少佐に明かした。封鎖した高速道ではトラックが炎上し3名の死者と多数の重軽傷者が出てしまう。ベッケム大佐は、住民の封じ込めのために町中の武器を押収するよう命令を出すが、銃の押収を拒んだ保安官は、兵士と揉み合いになり射殺されてしまう。
町のあちらこちらで武器の押収を拒んだ住人と銃撃戦が始まり、兵士も住人も犠牲者を増やす結果になった。兵士達は住人の挙動がおかしい事に気づいてはいたが、ウィルスが細菌兵器である事は知らされていないため、不用意に接触し感染者に殺される者も現れ始めた。
混乱の最中、デイビットとジュディ、クランクの3人は兵士から銃と車を奪い、ボルマン親娘と共に理由も分らぬまま逃走する。とりあえず身を潜めることにした5人は、軍の追跡を振り切り、夜道を進む。
到着した博士は、機材が無いことに腹を立て、ベッケム大佐に文句を言う。トリクシー・ウィルスは霊長類にしか感染せず、発症すれば錯乱状態に陥り死亡するか、脳を冒され廃人になるという。治療薬は無く、極めて致死率の高い危険な突然変異体だ、と説明する。
空き家に潜伏した5人だったが、キャシー(ボルマン)は次第に論理的思考を失い始め、父親は逃避し、クランクは酒で木を紛らすが不安は消えず、デイビットとジュディはお互いに励ましあうのだった・・・。
一方、司令部にも倦怠したムードが漂い、人員の不足から住民は2/3しか収容できず、残りは感染者か暴徒と化していた。兵士にも感染者が現れ、このままでは作戦の成立が不可能と判断した大佐は、強制的に暴徒と感染者を鎮圧し、死体を焼却処分にするよう命じる。博士は、住人の血液サンプルを集め、研究所へ輸送し分析するしかない、というが輸送用の気密容器など、当然ながら届いていなかった。半ばヤケになってきた大佐はサンプルの空輸を許可し、博士は高校の化学実験室で出来ることを始める。
死体の焼却処分や住人の異常な行動にパニックを起こした兵士は、危険を感じて脱走を図る者も出たが、その場で殺される。
デイビットたちにも意見の対立が始まり、町へ戻って軍の保護を受けるべきだというアーティ(ボルマン)、あくまで逃げるべきだというデイビットら3人。
教会では神父が突然発症し焼身自殺を遂げ、感染者と暴徒も武器やダイナマイトを持ち出し、兵士達も徹底抗戦を繰り広げ、目の前で両親を殺され焼き捨てられるなど、双方にパニックは広がっていた。そんな光景を目にしても笑いを止めないキャシー・・・ヘリに発見されたデイビットらは、必死の逃走の末、ヘリを撃墜する事に成功、地上部隊から逃れるべく移動を開始する。
旧式の機械にてこずりながら分析を続ける博士と助手も、マスクをかなぐり捨て、冗談めかしながらも決死の覚悟で研究を続けていた。
兵士達の休憩所を急襲したデイビットとクランクだが、兵士から有益な情報は得られず、クランクは非情にも兵士を皆殺しにする。クランクの言動は徐々に常軌を逸し始め、ベトナム戦争時の記憶が混濁し始めていた。デイビットの一喝で正気を取り戻したが、キャシーに続いてクランクの感染は確実で、ジュディはデイビットに自然免疫があるのかもしれないと言う。アーティも異常に娘に執着し、言動も過激なものに変わってきた。
軍首脳部も、過激な方向に判断が揺れ始め、大統領との回線を維持したまま、非常線が破られれば核兵器使用の許可を即時受けられる体勢に入っていた。
アーティは正気を失い娘のキャシーとSEXをしようとして、クランクに激しく殴打される。殴ったクランクも言動が過激になっており、2人を捨てて3人で逃げようと叫ぶ。
アーティは地下室の入り口でで首を吊り、兵士達は隠れ家に接近していた。キャシーは、にこやかに挨拶をしながら近づき、感染を恐れた兵士達に射殺される。クランクは、もう逃げる気力も思考力も失い、一人で兵士に特攻し数人を倒すが、弾切れで射殺される。
博士は、サンプルの組合せを発見し、司令部に繋ぐように言うが、声紋認証に邪魔されて思うように大佐に連絡できない。研究を助手に任せて、試験管を握り大佐の下に行こうとするが、途中で兵士に阻まれ、それをきっかけに暴動が起こり、高校に集められていた住人は逃走する。博士は、その人ごみに巻き込まれ、階段から転落して命を落とす。助手は「・・・何を、見ろと言うんです?・・・」、果たして狂っていたのは博士なのか、助手なのか・・・。
身を隠していたデイビットとジュディだが、兵士が近づくのを見て、ジュディをコンクリートブロックで囲み隠す。ジュディの言動も異常なものになっており、デイビットは彼女を残し兵士を倒しに向かう。ナイフで兵士を倒し、ガスマスクと防護服を奪ったデイビットは、ジュディを救いに戻るが、そこに暴徒が現れ、ジュディは撃たれてしまう。
「・・・時間が、無いわ・・・早く名前を決めて・・・わたしは・・・デイビットがいいと思うわ」
住人3613人の内2100人が生き残った。
だが、ルイビルで感染が発生し、空路も陸路も封鎖したので、ベッケム大佐に指揮をとって欲しいという命令が・・・。大佐の移動前の検査が終わり、研究者はサルの抗体は見つかったので、いずれ人間のも・・・と言う。
連行されてきたデイビッドの検査は「冗談だろ」の一言でスルー。かくして唯一の抗体保持者かも知れなかった男は見過ごされ、町には兵士と狂人・・・だけが、残された。
ロメロ翁(この頃は、若いが)らしい皮肉たっぷりの映画だなぁ。
71年に「アンドロメダ病原体:Andromeda Strain(邦題:アンドロメダ・・・)」が映画化されているので、時代背景的にも一種のB兵器(生物兵器)ブームであったことは確かである。原作のマイケル・クラントンは、緻密な科学描写(科学、化学、医学に精通している)で知られ、架空の物語に本格的なテクノロジーで信憑性を持たせるという手段で、ベストデラーを連発している作家。
逆にロメロ翁は、そんなことは二の次で、感染者、住民、研究者、兵士、軍上層部と立場を切り替え、それぞれの葛藤と苦しみを描きながら、一体誰が本当の意味での「クレイジー」なのかを訴えている。
最も、この感染者を正気を失った人間と位置づけしていることから、後のゾンビでの設定も定まってきており、社会風刺を織り交ぜたゾンビシリーズの原点と言えなくもない。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は、ゾンビが増えるモンスターであり、集団で迫ってくる恐怖を描いた点が秀逸だったが、そこに人間の持つ業の深さを織り交ぜ、社会とは何か?を足していく思考に至ったという意味で、本作の影響は大きかったのだろう。
私のベストシーンは、編み針で襲う老婆(画像)、感染した両親を目の前で銃殺され焼かれるのを見る子供、ラストのデイビッドの皮肉な笑み、がベスト3である。
作品自体は古くても、そこに描かれた本質は輝きを失っておらず、心に残る映画だと思う。(後味の悪さも)
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」で68年に初監督を務め、78年に「ゾンビ」を発表するまでの10年間で、最も有名な作品である。
内容は、細菌兵器に汚染されたエバンス・シティの住人と軍との救われないストーリー・・・。
物語は・・・
一杯の水を飲む少女・・・。兄と無邪気な遊びをしていると、父親がバールを振り回して家財を壊し始めた。その危機迫る様子に母親を起こしに走る少女。兄は父親にライトを当てると、ひるんだ隙に寝室へと逃げ込む。だが、母親はすでにベッドで殺されており、父親は家中に撒いた灯油に火をつける。燃え盛る炎の中で、尚もバールを振り回し続ける父親・・・・・・。
火事のサイレンが響き渡るエバンスシティ・・・、消防署員のデイビッドと看護士のジュディは、妊娠を機会に結婚を控えていた。電話で呼び出されたジュディは、子供の火傷と聞いてブルックマイアー診療所に呼び出される。火元はミッチェル牧場で、ジュディに運転を代わったデイビッドは消防署で相棒のクランクと合流し出場する。
ブルックマイアー診療所へ着いたジュディは、ガスマスクを装着した白衣の男と出会う。ブルックマイアー先生は少佐と一緒だ、と言われ、事態が飲み込めないまま着替えに向かった彼女の前を、ガスマスクと白い防護服を着けた男たちが動き回っていた。
少佐と重症の子供の移送について激しく口論するブルックマイアー医師。しかし、軍の医療班が到着するのを待て、と命令される。軍は、極秘に事件を解決するため、報道管制を敷き、非常線に軍隊を投入して、完全にエバンスシティを隔離していた。
火事場に到着したデイビットとクランクは、保安官に延焼だけを防げ、と不可解な指示を受ける。家に火をつけたミッチェルは、パトカーに確保されていたが、意味不明なことを口走り、とても正気とは思えない。
軍の司令部と化した診療所では、医療従事者に抗生薬が射たれ、ガスマスクと防護服、紫外線除菌装置が設置された。ブルックマイアーは、町が細菌に汚染されたことを告げ、抗生物質を持ちデイビットと町を抜け出すように忠告する。
保安官と助手の会話から、町に異変が起こっていることを知ったデイビットとクランクは、現場を抜け出し、ジュデイが勤務する診療所へ向かう。
教会での説明会のために神父を説得する兵士は、実験用ワクチンを積んだ飛行機が墜落し、町がウィルスに汚染されたことを告げる。
軍の上層部も混迷し、万一のために核兵器か町を消滅させるだけの爆弾を搭載した軍用機を用意する事態にまで発展していた。命令の混乱から、飛行場に一番早くに到着した研究責任者が、飛行機に乗せられ現地へ送り込まれることに。現地もライダー少佐レベルでは対応できないほどに混乱しており、非常線では住民との小競り合いも起きていた。理由も聞かされないまま移動を強制された住民の反発もあり、町長は住人の権利を守るために司令部に怒鳴り込むが、着任したベッケム大佐に後回しにされる。
合流したデイビッドとジュディだったが、軍に発見され、抗生物質を没収されてしまう。同じく軍に確保された人たちの中には、すでに症状が出始めている者もいた。
大佐は、墜落した飛行機の中にあったのはワクチンではなく、強力な生物兵器であり、川の水から町の住人に感染が広がっていることをライダー少佐に明かした。封鎖した高速道ではトラックが炎上し3名の死者と多数の重軽傷者が出てしまう。ベッケム大佐は、住民の封じ込めのために町中の武器を押収するよう命令を出すが、銃の押収を拒んだ保安官は、兵士と揉み合いになり射殺されてしまう。
町のあちらこちらで武器の押収を拒んだ住人と銃撃戦が始まり、兵士も住人も犠牲者を増やす結果になった。兵士達は住人の挙動がおかしい事に気づいてはいたが、ウィルスが細菌兵器である事は知らされていないため、不用意に接触し感染者に殺される者も現れ始めた。
混乱の最中、デイビットとジュディ、クランクの3人は兵士から銃と車を奪い、ボルマン親娘と共に理由も分らぬまま逃走する。とりあえず身を潜めることにした5人は、軍の追跡を振り切り、夜道を進む。
到着した博士は、機材が無いことに腹を立て、ベッケム大佐に文句を言う。トリクシー・ウィルスは霊長類にしか感染せず、発症すれば錯乱状態に陥り死亡するか、脳を冒され廃人になるという。治療薬は無く、極めて致死率の高い危険な突然変異体だ、と説明する。
空き家に潜伏した5人だったが、キャシー(ボルマン)は次第に論理的思考を失い始め、父親は逃避し、クランクは酒で木を紛らすが不安は消えず、デイビットとジュディはお互いに励ましあうのだった・・・。
一方、司令部にも倦怠したムードが漂い、人員の不足から住民は2/3しか収容できず、残りは感染者か暴徒と化していた。兵士にも感染者が現れ、このままでは作戦の成立が不可能と判断した大佐は、強制的に暴徒と感染者を鎮圧し、死体を焼却処分にするよう命じる。博士は、住人の血液サンプルを集め、研究所へ輸送し分析するしかない、というが輸送用の気密容器など、当然ながら届いていなかった。半ばヤケになってきた大佐はサンプルの空輸を許可し、博士は高校の化学実験室で出来ることを始める。
死体の焼却処分や住人の異常な行動にパニックを起こした兵士は、危険を感じて脱走を図る者も出たが、その場で殺される。
デイビットたちにも意見の対立が始まり、町へ戻って軍の保護を受けるべきだというアーティ(ボルマン)、あくまで逃げるべきだというデイビットら3人。
教会では神父が突然発症し焼身自殺を遂げ、感染者と暴徒も武器やダイナマイトを持ち出し、兵士達も徹底抗戦を繰り広げ、目の前で両親を殺され焼き捨てられるなど、双方にパニックは広がっていた。そんな光景を目にしても笑いを止めないキャシー・・・ヘリに発見されたデイビットらは、必死の逃走の末、ヘリを撃墜する事に成功、地上部隊から逃れるべく移動を開始する。
旧式の機械にてこずりながら分析を続ける博士と助手も、マスクをかなぐり捨て、冗談めかしながらも決死の覚悟で研究を続けていた。
兵士達の休憩所を急襲したデイビットとクランクだが、兵士から有益な情報は得られず、クランクは非情にも兵士を皆殺しにする。クランクの言動は徐々に常軌を逸し始め、ベトナム戦争時の記憶が混濁し始めていた。デイビットの一喝で正気を取り戻したが、キャシーに続いてクランクの感染は確実で、ジュディはデイビットに自然免疫があるのかもしれないと言う。アーティも異常に娘に執着し、言動も過激なものに変わってきた。
軍首脳部も、過激な方向に判断が揺れ始め、大統領との回線を維持したまま、非常線が破られれば核兵器使用の許可を即時受けられる体勢に入っていた。
アーティは正気を失い娘のキャシーとSEXをしようとして、クランクに激しく殴打される。殴ったクランクも言動が過激になっており、2人を捨てて3人で逃げようと叫ぶ。
アーティは地下室の入り口でで首を吊り、兵士達は隠れ家に接近していた。キャシーは、にこやかに挨拶をしながら近づき、感染を恐れた兵士達に射殺される。クランクは、もう逃げる気力も思考力も失い、一人で兵士に特攻し数人を倒すが、弾切れで射殺される。
博士は、サンプルの組合せを発見し、司令部に繋ぐように言うが、声紋認証に邪魔されて思うように大佐に連絡できない。研究を助手に任せて、試験管を握り大佐の下に行こうとするが、途中で兵士に阻まれ、それをきっかけに暴動が起こり、高校に集められていた住人は逃走する。博士は、その人ごみに巻き込まれ、階段から転落して命を落とす。助手は「・・・何を、見ろと言うんです?・・・」、果たして狂っていたのは博士なのか、助手なのか・・・。
身を隠していたデイビットとジュディだが、兵士が近づくのを見て、ジュディをコンクリートブロックで囲み隠す。ジュディの言動も異常なものになっており、デイビットは彼女を残し兵士を倒しに向かう。ナイフで兵士を倒し、ガスマスクと防護服を奪ったデイビットは、ジュディを救いに戻るが、そこに暴徒が現れ、ジュディは撃たれてしまう。
「・・・時間が、無いわ・・・早く名前を決めて・・・わたしは・・・デイビットがいいと思うわ」
住人3613人の内2100人が生き残った。
だが、ルイビルで感染が発生し、空路も陸路も封鎖したので、ベッケム大佐に指揮をとって欲しいという命令が・・・。大佐の移動前の検査が終わり、研究者はサルの抗体は見つかったので、いずれ人間のも・・・と言う。
連行されてきたデイビッドの検査は「冗談だろ」の一言でスルー。かくして唯一の抗体保持者かも知れなかった男は見過ごされ、町には兵士と狂人・・・だけが、残された。
ロメロ翁(この頃は、若いが)らしい皮肉たっぷりの映画だなぁ。
71年に「アンドロメダ病原体:Andromeda Strain(邦題:アンドロメダ・・・)」が映画化されているので、時代背景的にも一種のB兵器(生物兵器)ブームであったことは確かである。原作のマイケル・クラントンは、緻密な科学描写(科学、化学、医学に精通している)で知られ、架空の物語に本格的なテクノロジーで信憑性を持たせるという手段で、ベストデラーを連発している作家。
逆にロメロ翁は、そんなことは二の次で、感染者、住民、研究者、兵士、軍上層部と立場を切り替え、それぞれの葛藤と苦しみを描きながら、一体誰が本当の意味での「クレイジー」なのかを訴えている。
最も、この感染者を正気を失った人間と位置づけしていることから、後のゾンビでの設定も定まってきており、社会風刺を織り交ぜたゾンビシリーズの原点と言えなくもない。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」は、ゾンビが増えるモンスターであり、集団で迫ってくる恐怖を描いた点が秀逸だったが、そこに人間の持つ業の深さを織り交ぜ、社会とは何か?を足していく思考に至ったという意味で、本作の影響は大きかったのだろう。
私のベストシーンは、編み針で襲う老婆(画像)、感染した両親を目の前で銃殺され焼かれるのを見る子供、ラストのデイビッドの皮肉な笑み、がベスト3である。
作品自体は古くても、そこに描かれた本質は輝きを失っておらず、心に残る映画だと思う。(後味の悪さも)
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