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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:Cigarette Burns245e4c35.jpeg
監督:ジョン・カーペンター

ネタバレしてます

ゴースト・オブ・マーズ」では、残念なレビューしか出来なかったが、これは良く憶えてる。
2005年制作なので、憶えていても不思議じゃないが、幾つかのシーンが強烈だった。
こういう記憶に残るシーンを複数持つ映画が、面白くないわけがない。

物語は・・・
”映画は魔法だ” ”凶器にもなりうる” バコヴィック監督

夜更けにベリンジャー邸に呼ばれたスウィートマン。彼は映画館主で、レア映画を探し出し依頼人の要望を叶える仕事も請け負っている。デリンジャーのコレクションは素晴らしく、彼は一通り眺めてから「世界の終わり-LA FIN ABSOLUE DU MONDE-」のポスターの前で立ち止まり、シッチェス映画祭の初日に一度だけ上映されましたね、と知識を披露する。「場内で暴力沙汰が起こり、監督は国外に持ち出そうとし、政府が没収し破棄した。映画は未完で、唯一のプリントでした・・・監督は業界を去り、観たのは、そのときの観客だけ・・・」。ベリンジャーは彼の知識に「ご名答」と敬意は表したが、「だが、廃棄はされていない」と訂正した。デリンジャーは、「世界の終わり」に強い思い入れがあり、小道具も収拾し、あの映画には強いパワーがある、と語る。この監督の前作が駄作だったため、ただ一度となったシッチェス映画祭での上映を観なかったのだ。それ以来、ベリンジャーは映画の行方を追って、資料や小道具を収集し続けていたのだった。
彼はスウィートマンに資料を渡し、フィルムの捜索を依頼する。フィルムの実在が信じられないスウィートマンは、依頼に躊躇するが、ベリンジャーはフィルムの実在を証明する証拠として、隠し部屋の羽を失った天使を見せる。ベリンジャーが「スターの一人」と呼ぶ彼は、ひどく弱々しい姿で「我々は映画の一部・・・魂と肉体のようにネガと結ばれている・・・フィルムが破棄されれば必ず分かる」と応える。
ベリンジャーは自分が老い先短いことを理由に、観ずには死ね無い、と多額の報酬と彼が視聴した後で2週間だけスィートマンの劇場で上映させてやる、と条件を出す。

依頼を受けたスウィートマンは、自分の劇場に戻り、しばし恋人との想い出に馳せる。上映技師のティムソンは、次の映画は「サスペリア2」と告げ、戦利品として切り取った『パンチマーク』を見せる。
スウィートマンは、彼女と薬に溺れ、やり直すための場所として映画館を購入する費用を彼女の父から借りたのだった。その後、彼女は自殺し、父親のマシューズは彼に20万ドルの返済を迫り1週間の期限を切る。

スウィートマンは、評論家のマイヤーズの線から探りを入れることにし、NY州カーセッジの自宅を訪ねる。隠匿生活を送っているマイヤーズだったが、「世界の終わり」の件だと告げると面会を許した。バコヴィックをテロリストと呼び、あの映画は観客を完全に破壊する、と語る。部屋中に置かれた紙は全て「世界の終わり」の評論であり、完成させれば危険性を誰もが理解する、と。スウィートマンがフィルムを探し上映する、と言うと彼は乾いた笑いを浮かべ「覚悟しておくんだね」と言い、監督と上映前に交わした会話のテープを渡し、30年間侵食され、毎晩夢に出てくるが、見つかったら自分にもう一度観せて欲しいと乞う。

その晩、テープを聴きながら眠ったスウィートマンは、パンチマークに囲まれた亡き彼女の夢を見る。
次は、知人のアンリが管理するアーカイブを調査した結果、カメラマンのパットン・リークだけが存命していると知るが、彼は撮影後に盲目となり、映画の話はしない、と言われる。アンリの様子に不信感を憶えたスウィートマンは、フェイントを掛け夜の10時にフィルムの受け渡しがあることを聴く。
その夜、再びアンリの下を訪れたスウィートマンは彼を責めるが、アンリは巻替わりの丸印が見えるか聞き、そうだと分かると忠告を始める。フィルムに近づくほど酷くなる、君が好きだから教えなかった、と。アンリは1988年に抑え切れない好奇心に負け、欧州のお歴々を集めて「世界の終わり」の上映をしたが、悲鳴が起きて血の臭いがし、左手でテープを掴んで気絶した。アンリの左手は重度の火傷で癒着し使い物にならなくなっていた。
スウィートマンは、自分は絶対にフィルムを観ないといい、アンリは危険な男だと忠告しながらバコヴィックの遺品を持つ収集家の電話番号を渡す。

ロズニー・シュル・セーヌの収集家を訪ねたスウィートマンだったが、見るからに凶暴そうな男たちを見て、タクシーを20分待たせて保険を賭ける。収集家の手元には「世界の終わり」と書かれた木箱があり、変わり始めた人間だけをアンリは寄こす、という。遺産の管財人である夫人の連絡先を知っているといい、監督を崇拝して「嘘」の無い映画を撮りたい、と語る。木箱の中には、未亡人の連絡先と、映画のスチール写真が数枚入っていたが、スウィートマンは注射を打たれ意識を失う。目覚めた時、自分は拘束され、目の前にはタクシーの女運転手が同じく椅子に拘束されていた。男は、躊躇無く女の首に刃物を何度も打ち込み、切り取った首を持ち「ワン・テイク(一回撮り)カット無しのショット」と嘯く。男が辿り付いた答えは真実の死を撮ること(スナッフムービー)、だがスウィートマンは殺人だ、と叫ぶ。男はバコヴィックはカットの真価を知っており「天使を捕まえたら?それをカメラの前で生け贄にしたら?」あの映画を凶器にしたのは天使の血であり、近づくほどに人が変わる魔法だ、と。フラッシュバックとホワイトアウトの後で、男も含めて周りの人間が全て倒れた場所にスウィートマンだけが立っていた。フィルムの所在を知るのが、未亡人のカーチャだと聞き出すと木箱から封筒を持って逃げ去った。

カナダ・バンクーバー、未亡人の住居を訪ねたスウィートマンは、エレベーターの中で亡き恋人の幻影を見る。
「私の愛しい人、私を守ってくれるわね?」
「本物じゃない」と呟いたスウィートマンは、未亡人の部屋へ入った。未亡人は、あの映画に纏わる話は不幸なことに全て真実、と答える。「製作者は?」と尋ねるスウィートマンに、この映画のプロデューサーが生むのは「混乱と悲しみ」「苦痛と飢え」「悪は悪だ、名前など関係ない」とバコヴィッチの言葉を彼に伝える。バコヴィッチは罰のように「世界の終わり」を観続け、気が触れて心中を図り、未亡人は首の傷だけで助かり、彼は死んだ。残って「世界の終わり」を管理する苦しみ、罪の償いをしようにも、もう遅すぎるのよ、と涙ぐむ未亡人に、スウィートマンは「ええ、分かります」と答える。
フィルムは入手できるが、スウィートマンはフィルムを探し始めてからフラッシュのように丸を見る、と言うと「パンチマーク?」そうだと答え、いつも・・・と言い掛けると「悲劇が起こるのね・・・」。刻印が示されて、もう逃げられない、と「フィルムを持ってって・・・もう、手遅れだわ」

夜半にベリンジャー邸に着いたスウィートマンは小切手と引き換えに、トランクのフィルムケースを見せる。「この感覚だ・・・」と呟き、フィルムはベリンジャー自らの手で映写機に掛けられ、後を執事に任すと視聴席に向かうのだった・・・。待ち望んだ瞬間のために祝杯のシャンパンを注いだが、グラスを口に運ぶ事も出来ずに、デリンジャーの眼はスクリーンから離せなくなっていた・・・・・・。

一旦は自分の劇場に戻ったスウィートマンだったが、マシューズによって閉鎖されていた。金は入ったから明日から再開だ、と電話を切ると、すぐにベリンジャーから電話が入った。
急いで、ベリンジャー邸に引き返したスウィートマンの前に、ナイフを翳した執事が立ちふさがる。全身をナイフで斬り血まみれの姿で、「あの映画を貴様が持ち込んだな・・・しかも戻った。貴様は、あの映画を観たがっている」と、スウィートマンが否定しても、「望みが叶うといい・・・自業自得だからな」と叫ぶと自らの両目を笑いながら突き刺した。
視聴室に入ると映画はすでにEDロールになっており、映写室でベリンジャーは苦悶の呻きをあげていた。自らの悪業を語り、安らかな夜が無かったことを告白する。「世界の終わりをご覧に?」と尋ねると「見たとも・・・おすすめだよ・・・・・・だが、これは映画じゃない・・・予告編だ・・・魂の来るべきアトラクションだ・・・しかし・・・ひどい結末だ」と苦笑する。
「さっき”手を貸せ”と?」
「君に頼みたかった・・・もう一本、別の映画を・・・君はよくやってくれた・・・これは、もう要らん・・・インスピレーションをもらったからな・・・自分の映画を作った」
ベリンジャーは、自らの腸を引きずり出し、映写機に回していた。

おぞましい肉色のスクリーン、その前で後を付けて来たマシューズは、スウィートマンに拳銃を向ける。巻替わりの『パンチマーク』・・・二人はスクリーンに目を奪われ、スウィートマンは血まみれだった。

スクリーンには『世界の終わり』が映し出され、両目を失った執事は傷ついた天使に鍵を差し出す。

パンチマークからは血まみれのアニーが現れ、父の元へ「ダディ?」と呼びかける愛しい声に「パパがついてる、もう大丈夫だ」と泣きながら上着を娘に掛ける。「すごく寒いわ」と震える娘を抱きながら「すまない、もう大丈夫だから」と繰り返し声を掛けるが、「おなか、すいた」と首筋に噛み付く。

スウィートマンは、その光景を見届けると席を立ち、マシューズの前へ行き「今ので、よくわかった」と言う。
娘が消えたことに動揺するマシューズに「そうだ、あんたが離さないから」「愛してた」「僕も愛してた、だから2人とも彼女を離さない・・・・・・何度も彼女を殺してる・・・・・・逝かせてやれない、僕らが死ぬまでは」と言うと、マシューズの頭を激しく床に何度も叩きつけ後頭部を潰すと、「あんたの金だ」と口へ小切手を押し込む。
そして、マシューズの拳銃を手に・・・涙を浮かべ微笑むアニーに語りかける。
「愛してるよ・・・すまなかった」
そう言うと、口に銃口を押し込み、引き金を引いた・・・・・・。

『世界の終わりが終わり、フィルムを回収したスターは・・・・・・もう動かないスウィートマンに
「ありがとう・・・これ・・・・・・」と礼を言うと何処かへ去っていった・・・
0db01377.jpgcf6a3815.jpgfb2de013.jpg

いやぁ、やっぱり面白かったw
たった60分の中篇なのに、無駄を削ぎ落とした感じで内容は充実してるし、テンポも良いし、ジョン特有のセリフ回しも俳優の演技にピタリと決まって文句無し。
音楽も、いいねぇ、この作品に合ってる。
「イン・ザ・マウス・オブ・マッドネス」と似た様なテーマなのに、より人間の業を描き出した本作の方が格調すら漂ってるよ。あっちが高級中華なら、こっちは上質なフレンチって感じ(意味わからん)。
映画の裏事情を匂わせてる点も、分かる人にはニヤリとさせる。
最近の作品は残念なものが多かったけど、久しぶりにジョンの本質とキャスト周りが相乗効果を産んだね。
文句無し、傑作です!

*安い映画はカナダで撮れ・・・これ、ハリウッドも一時期本気で危機感覚えてた。制作国がカナダばかりになって、アメリカに輸入する形になっちゃハリウッドも困るからね。
*「サスペリア2」・・・これ、サスペリアより前に制作されてる上に全く関係ない映画、にも関わらず”2”が付いちゃった。ちなみに、こんな扱いは日本だけで、外国では別個の作品として扱われている。国内配給がフリーダムだった時代に起きた珍事である。作品の出来はダリオ・アルジェントの最高傑作の誉れが高い。
*パンチマーク・・・映画フィルムの交換時期を知らせるもので、一本の映画で通常は6~8本のフィルムを交換しながら上映するため、その交換タイミングを分かりやすくするために入れてある。レンタル上映のフィルムの場合、もちろん切り取ってコレクションしちゃダメw安物のDVDでは、よくパンチマークが入ったまま焼いてあるものが売られており、そういう品は粗悪品と思って間違いない。
*映画祭・・・世界中の映画愛好家を集めて、企画委員の推薦作品を楽しみ、また評価するお祭り。監督やスタッフがコメントしてくれるサービスもあり、とても楽しい。日本では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が有名かな。超有名なのは、カンヌ・ベルリン・ヴェネツィアの三大国際映画祭。後、ジャンルに拘った催しもあるので、SF、アニメ、レズ&ゲイ、なんて映画祭もある。映画好きなら、一度は参加したいイベント。

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