スパイダーズ２

原題：SPIDERS II ：Breeding Ground
監督：サム・ファースティンバーグ

ネタバレしてます

前作「スパイダーズ／宇宙から来た巨大グモ」のヒットを受けて制作された第２弾。
監督が代わっている以外は、スタッフ周りは前作同様なので、それなりに期待できる・・・はず。
サブタイトルの『Breeding ground』は、飼育所、繁殖地の意味で、その通りに今回は群れで襲ってくるようです。
これも、「２」では数を増やすというモンスター映画の定番である。


物語は・・・
巨大クモの檻に死体を投げ入れる男・・・。

船上でパーティーを楽しむ若い男女、そこに武装した一団が乗り込み、乗員を拘束しボートに放り込む。一人残った乗員ごと船を手榴弾で爆破し、闇に乗じて去って行った。

翌朝、漂流するヨットを発見したアレクサンドラ（アレックス）とジェーソンは、焼け跡から焼死体を見つける。破損した船名を写真に収めたが、そこに大型の嵐が接近、２人の船は遭難し沈没。そこに、たまたま通りかかった貨物船を見つけ、照明弾を撃ち、救助される。
貨物船には医者が乗っているといわれ、負傷したジェーソンは治療を受け、アレックスは船長室でシャワーを勧められる。船長のジム・ベリーの好意に感謝するアレックス。
何処と無く不気味なＤｒ.グルバックは、２人を診察し、どこにも異常が無い完璧な検体だ、と言う。ジェーソンは抗生物質を注射され、２人は部屋に案内される。アレックスは「最初は私の癌で、今度は嵐に遭遇なんて・・・」と不運を嘆くアレックス。恋人のジェーソンは、そんなアレックスを励ますのだった。

翌朝、ジム船長は昨日と変わらず優しく声を掛けてくるが、無線を貸して欲しいというと、故障中で直ったらすぐに教える、と答える。二人は、先日見た漂流船のことを話すが、この辺りは海賊が出るからな、と船長。
朝食に案内された二人に、Ｄｒ.グルバックは「彼の分の肉を増やしてやれ、タンパク質が必要だ」と命じる。
食事中に傷口から出血したジェーソンに、Ｄｒ.グルバックは再度注射を行う。医務室を出たジェーソンは、暇つぶしに船内の散策に出るが、開かないドアに諦めてアレックスと過ごす。
船長は、二人の監視を行っており、無線も故障してはいなかった。

ブリッジを見学したジェーソンは、海図と無線に不信感を持つが、急に具合が悪くなり医務室に運ばれる。Ｄｒ.グルバックは３度目の注射を打ち、２～３日は安静にしていろ、と命じる。

悪夢から目覚めたジェーソンは、整備されていない船内、積荷が少なすぎる、医者の治療、同じ海域を回るだけの海図、壊れていない無線機・・・、不信感から嫌な予感がするが、命の恩人である船長を疑わないアレックスは気にしない。
一人で調べに出たジェーソンは、船員が不審な袋を運搬しているのを見て、運び出された部屋を調べる。中には冷凍保存された死体が食肉のように吊るされていた。急いで部屋に戻ったジェーソンは、半信半疑のアレックスを冷凍倉庫へ連れ出すが、そこには食肉があるだけで死体は消えていた。

一方、船長とＤｒ．グルバックは、一度陸に戻るべきだ、と口論をしていたが、金を出しているのは私だ、と言われ仕方なく引き下がる。船長は会社に無断で、博士の実験場として船を提供していたのだ。
船長はアレックスとの会話で、彼女が写真家と知り、船内の暗室を使ってもいいと勧める。二人の仲が近づいているのを感じて、ジェーソンは嫌味を言うが、相変わらず船には秘密がある、とアレックスに怒鳴る。
無線機が消え、更に不信感を強めたジェーソンは、強引にアレックスを説得しようとするが、興奮状態だと言われて医務室に運ばれる。一向によくならない病状に、アレックスも神経を尖らせるが、そんな彼女に船長は優しく接し暗室を提供する。

その頃、ジェーソンは船内の一室に運ばれ、検体として処置されていた。博士のやり方に不満を持った船長は「何人、殺す気だ」と言うが、全て承知の上で金を受け取ったはずだ、とやり返される。「女には手を出すなよ、俺のだ」と捨てセリフを残して船長は部屋を出る。
タバコを吸っていた助手を叱り飛ばして、ジェーソンを巨大クモと同じ部屋に入れる。クモがジェームズに産卵すると、卵が孵るまでは生きられる、その後はエサとして使う、ムダがないだろ、と笑う博士。
検体の女からクモが飛び出すのを見て、ジェーソンは意識を失った。
「クモは、実に素晴らしい生き物だ。人間のありとあらゆる病気に対して免疫を持っている。そこでクモの遺伝子を取り出し人類のＤＮＡに組み込んで、病気の苦しみから解放するのだ」

その頃、船長に夕食へ招待されたアレックスは、思わぬ持て成しに喜ぶ。しかし、食後に船長がせまってきたので、逃げようとしたがドアが開かない。無理やりキスを迫る船長の股間を潰し、一発食らわせて鍵を探すアレックス。尚も船長が向かってきたので、引き抜いた引き出しでノックアウト。その拍子に鍵と焼け跡の船のプレートが転がり落ちる。全てに気づいたアレックスは、部屋から脱出し、ジェーソンを探すが見つからない。
そこに船長が追いかけてきて、アレックスを守れるのは自分だけだ、と語るが、アレックスは承知しない。諦めた船長は、船員に命じてアレックスを博士の元に連れて行かせる。

船員二人をやっつけて、船内をジェーソンを探して移動するアレックス。船のバッテリーを落とし、見張りが研究室に入った隙に中へ向かう。一方、室内では、電源が切れたため装置がリセットされ、クモの檻が開いてしまう。ジェーソンを検体ポッドから救い出したアレックスは、彼に肩を貸しながら逃げ出す。
三人がかりでも抑え切れなくなった檻が開き、見張りは喰われ、扉からは無数のクモが船内へ放たれた。

大小さまざまなクモが船中を這い回る中、次々と喰われていく船員、船長も天井から襲ってきたクモに体を貫かれて死ぬ。アレックスとジェーソンも、食堂でガスボンベを火炎放射器にしてクモと抗戦する。船上へと逃れた２人の前に、ボートで逃げ出そうとしていたグルバックが居た。ジェームズに銃口を向けたグルバックをパイプで殴り、銃を奪い取ったアレックスはワクチンを要求する。後6時間でジェーソンは死ぬ、ワクチンは実験室だと聞いたアレックスは、ふいをつかれ銃を奪われる。勝ち誇るゴルバックだったが、背後から近づいてきた中クモに殺される。
モリを手に実験室へ向かうアレックス。ワクチンと注射器を手に入れ、振り向くと中クモがいた。逃げ回って、ガソリンの栓を開け、机のライターで着火。トドメにモリを投げつけて、エレベーターへ。また別のが来たので消火器でブシューッ。
救難ボートで、ジェーソンにワクチンを射ち、海に飛び込む二人。クモは船と一緒に沈み、海上警備隊のヘリが到着して二人をロープで引き上げる。だが、まだ生き残っていたクモが二人の足に掴まり、しつこく離れない。ヘリに積んであった手榴弾を取り出すと、アレックスが私に頂戴と叫び、チャッチした手榴弾をクモの口に落として爆死させる。二人は助かってキスを交わすのであった・・・・・・ＥＮＤ








「動かないクモたち」　　　　　　　　「よぉ、元気か？」　　　　　　　　　「大爆発」

え～と・・・はぁ？
「あの恐怖はプロローグだった…。さらに巨大に、さらに凶暴に…。今度は群れて襲いかかる！広大な海を突き進む 巨大タンカー。それは奴等の繁殖所と化していた――。大嵐で遭難した男女はスパイダーズの餌になる。出口無し！絶叫届かず！絶体絶命！怪物と人類の壮絶バ トルの顛末は荒れ狂う波だけが知っている…。」

すいません、そのプロローグの方が１００倍面白かったです・・・。
まず、さらに巨大に（なってません）、さらに凶暴に（動きません）、群れて襲い掛かる（群れません）。
餌になる、どころかアレックス楽勝で切り抜けてるんですけど・・・しかも、怪我人連れて。怪物と人類の壮絶バトルって、何処？映画観ないで煽り文書いてるだろ、このライターｗ

簡単に文句だけ言うと、全編通して緊張感ゼロ、俳優が素人揃い、設定が破綻している、不自然なシーンが多すぎる、クモが人を襲うシーンが少なすぎる、クモが動かない、特殊効果は素人芸（今時ヘリと人物の合成ってどうよ？）
ラストシーン近辺は、どうしても言いたいことがある。
まず、アレックスが全然強そうじゃないのに普通に船内を歩き回る、あれだけの大きさのタンカーが爆沈してるのに普通に海に飛び込んで浮いてる、ロープで掴まってるだけの二人を巨大クモが握ってるだけ、ヘリの中の会話なのにアレックスが普通に参加してる（ローターの音で聞こえないだろ）、画像で分る通り巨大クモの爆発が安いＣＧな上に手榴弾で木っ端微塵・・・。
全体を通して文句を言い出したら、この映画より長くなるので、この辺で止め。

前作との関連性がゼロなんですけど。あと、軍は関係ないだろ。本当に”２”なのか？別の似たような映画持ってきて勝手にシリーズにしたんじゃないだろうな？2001年の映画じゃないよ、70年代でも、もっとましな映画作ってるぞ！

低予算だとしても、制作側の熱意も意欲も何も感じられない、久しぶりに最低の映画です。