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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:In the Mouth of Madness40e7da1b.jpeg
監督:ジョン・カーペンター


ジョン・カーペンター作品の個人的ランクで、ベスト3に入る傑作。
残りの2つは何だ?と聞かれると、ちょと困るがw
一つだけ不満があるとすれば、作品にでは無く邦題。
In the を付けないと、せっかくジョンが仕掛けた言葉遊びが無駄になるのだが・・・。*

物語は・・・
次々と製本されるベストセラー本と広告チラシ”近日発売 イン・ザ・マウス・オブ・マッドネス サター・ケーン著”。
精神病院に収監された一人の男、ジョン・トレント。落ち着き無く周囲を見回す目は、何かに怯えていた。そこに現れた謎の影は「本を読め」と告げ、トレントを悪夢のようなフラッシュバックが襲う。
ウレン博士は、ある社会的現象のためにトレントの元を訪れ、君を出してあげたい、と言うが、部屋中と体に描かれた黒い十字架を見て眉を顰め
、これなら入院は当然だ、と言葉を変える。トレントは煙草を要求し、皮肉めいた顔で「外はひどいだろ?」と苦笑を浮かべ、自分の話を始める。自分はフリーの保険調査員で、消えたサター・ケーンの行方を調査する依頼を受け、全てはそこから始まった・・・と。
やり手の調査員だったトレントは、独自の審議眼を持ち、彼の仕事の評価は高かった。今日も一仕事終えた彼は同業者とカフェを楽しみながら、「全てを疑って掛かることだ」と嘯く。そこへ斧を振りかざした男が乱入し、「サター・ケーンは読むか?」とトレントに詰め寄るが、斧を振り下ろす前に警官に射殺される。TVでは、サター・ケーンの本を巡り、暴動や事件が多発していた。
トレントは、アルケイン出版社のハーグロウ社長から、自分を襲った斧の男がサター・ケーンの代理人だったと聞かされる。2週間前に原稿の一部を読んだ彼は、あのような凶行に及んだ、と。「いい宣伝だ」と切り捨てたトレントだったが、彼の本を買いに寄った本屋で、メガネの青年に「彼はアンタに会う」と予言される。
内容は安っぽいホラーだ、と言うトレントだったが、文章に引きこまれ、悪夢にうなされる。悪夢の中でも「彼はお前に会う」と言われ、突然閃いた彼は、サター・ケーンの本の表紙を切り張りし、ホブ(HOBB)の町の所在を示す地図を完成させる。
ニューイングランド州ニューハンプシャーの地図に無い古い町と断定したトレントは、彼の生死の確認か原稿の回収のため、担当編集者のリンダ・スタイルズと共にホブ(HOBB)の町へと向かうのだが・・・

猜疑心の塊のような男トレントと、サター・ケーンに心酔する女性編集者リンダ、悪夢を書き出す謎の小説家サター・ケーン、3人をメインにして現実と悪夢が交錯する物語は進行する。
小説や映画が現実を侵食するというテロップは、後の「世界の終わり」にも引き継がれるジョンの持ちネタだが、最初の試みとなる本作では随所にH・P・ラヴクラフトへのオマージュが散りばめられている。
私はラヴ・クラフトの幻想怪奇小説が好きで、翻訳では物足りず洋書も苦労して読んだが、基本的に彼の物語は理屈で解釈できず、読者の感性に訴えかける作風である。
読書好きの間では、行間を読む、とよく言われるが、ラヴ・クラフトの作品は正にそれであり、本に明確な答えを求めるタイプや想像力が乏しいむきには、荒唐無稽なホラー小説でしかないだろう。
話が逸れたが、本作はそのラヴ・クラフトの現と夢の描写を映像化することに成功しており、明確に邪神体系(こういう言い方は好きじゃないが)の存在は明記されないが、溢れ出した混沌の魔物がそれに当る。
遊星からの物体X」以来のモンスター描写は迫力があり、サター・ケーン(ユルゲン・プロホノフ)の不気味な演技も良い、なにより頑固者の現実主義者トレント(サム・ニール)が恐怖を拒みつつも侵食されていく演技も見事である。
クトゥルフTRPGファンにはお馴染みの「SAN値(正気度)」が下がりっぱなしの映画である。

*無駄になるとは、原題を続けて読むと「イン ス マウス オブ マッドネス(Innsmouth)」となり、インスマウスの言葉遊びである。インスマウス(インスマス)は、「インスマスの影(ラヴクラフト著)」に出てくる架空の港町で、町の住人は皆カエル顔であり、それを指して「インスマス面」と呼ばれ嫌われている。よく勘違いされるのが彼らがクトゥルフ(ク・リトル・リトル)の眷属であり、魚顔とされる点で、彼らはクトゥルフの眷属ダゴンを祭りダゴン秘密教団なる組織を作っているが、深きものどもの長に支配されているただの人間である。
本作では「ホブ(HOBB)の町」をインスマスの町になぞらえている。
*俗に「クトゥルフ神話」と呼ばれるものをモチーフにした、とされる映画はあるが、どれも中途半端であり、作品として鑑賞に耐えるレベルのものは、ほとんどない。本作は貴重な成功例と言えるだろう。

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