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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:The Resurrecteda8b42183.jpeg
監督:ダン・オバノン
1946年9月30日生―2009年12月17日没
ネタバレしてます


ダン・オバノン氏が亡くなって、もうすぐ1年。
ジョンの盟友にして、脚本界の鬼才であり、B級映画で幾多の名作を手がけた人。
まだ63歳・・・惜しい、余りにも惜しい、と去年の訃報を聞いた時は思ったものだ。
ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」には「Dead & Buried(邦題:ゾンゲリア)」をぶつけ、「ゾンビ」には「The return of the living dead(邦題バタリアン)」を放ち、常に自分の感性と豊富な知識で捻りのある脚本を創作する稀代のストーリーテラーであった。

本作はH・P・ラヴクラフトの「チャールズ・ウォードの奇怪な事件(The Case of Charles Dexter Ward 1920著)」を自らメガホンを取り、原作の味を失わぬよう忠実に映像化したものである。

物語は・・・
”人 もし死なば また生きんや ヨブ記14:14”
冒頭、精神病院の病室で看護人が引き裂かれ、窓下にトランクを残して消えた男-ウォード。

ニューイングランド州プロビデンス―私立探偵ジョン・マーチの事件記録から物語は始まる。マーチの元を訪れたクレア・ウォード婦人は、夫のチャールズが遺体を所持しているという嫌疑で、自宅に警察が来たことを告げる。婦人は2週間もチャールズと話もしておらず、彼が自分を避けていると語る。彼は化粧品会社の化学者であり、自宅の敷地内に実験室を持っていた。
パーティーを中座してまで研究を続け、実験室からはひどい臭いが漂い、色んな物音や叫び声が聞こえていた。堪りかねた婦人が文句を言うと、彼は翌朝には荷物をまとめ、Dr.アッシュと共に新しい実験室にした郊外の家に移って行った。警察が訪れたのは、その実験室の向かいに住むフエナーが、昼夜を問わず作業をし運搬車も頻繁に通るため、文句を言ったが無視されたことに腹を立てて通報したためだった。
依頼を受け調査に掛かったマーチは、途中でガソリンスタンドに寄り、チャールズの家を尋ねると「臭いのする方へいけ、犬のような、死臭のする方へ」と吐き捨てられる。消防署の調査員を装ってチャールズの家を訪ねたマーチは、醜い東洋人の使用人とチャールズ本人に会うが、これといった収穫も無しに追い返される。
警察をあたった助手の報告は、実験室に運び込まれたのはボロボロの人骨が8体で、チャールズは警察に誤配だと弁明、そして最近欧州各地で魔術師や神秘学者の墓が暴かれ遺骨を盗まれる事件が多発していた。

クレア婦人に再びチャールズのことを尋ねると、半年前に遠い親戚の遺言で送られてきたトランクを見てから、チャールズの様子が変わった、と。トランクの中身は、遺書、手紙、聖書、家系図、などで、興味を持ったチャールズはジョセフ・カーウィンの家を探索し、そこで自分に瓜二つの肖像画を発見する。
急用だとフエナーから連絡があった事を聞いたマーチは、彼の電話番号が普通になっていたため、現地へ向かう。しかし、周囲には警察が来ており、フエナーは原型を留めぬほど破壊された死体で発見される。
次の朝、チャールズが残した留守電を手にクレアが現れる。
「とんでもない過ちを犯してしまった・・・怖い、君も危険だ・・・何があってもアッシュ博士に近づくな」
二人は、郊外の実験室に向かい、そこで声変わりしたチャールズに会う。妙に古めかしい言葉遣いのチャールズ、婦人は彼がチャールズではないと震える。
さらに調査を続けたマーチは、あの家にレストラン一ヶ月分以上の肉と血が注文されていることを知る。助手の報告で、東洋人の素性、銀行から小切手のサインがおかしいこと、崩れかけた地下道の存在・・・。マーチは、彼を強制措置で精神病院に留置する事を進め、警察と共に実験室に踏み込む。東洋人を逮捕し、クレアを人質にしたチャールズを傷を負いながらも確保したマーチだったが、「お前たちは、とんでもない過ちを犯したのだぞ」というチャールズの呪詛のような言葉を聞く。自律神経失調とホルモン異常と診断されたチャールズだったが、生肉と血に執着し、医師も事実上お手上げの状態であった。

マーチが実験室で見つけたチャールズの5代前の先祖であるエズラ・ウォードの日記によると、ジョセフ・カーウィンに恋人のイライザを奪われたエズラは、彼が黒魔術の信仰者であるという確証を探し、川が増水した日に引き上げられた奇怪な怪物を長老たちと発見する。それは、ジョセフの屋敷の川側搬入口から出たものであり、100名の男たちと共に屋敷を急襲し焼き払う。しかし、すでにイライザのお腹の中にはジョセフとの子供が宿っていた・・・。

街では、謎の動物による襲撃事件が続発し、マーチとクレアは実験を確認し、助手の手配した爆薬で実験室を吹き飛ばすことにする。地下への入り口を発見した2人は助手と探索を始め、ジョセフ・カーウィンの日記を見つける。
「あとから来るものへ」「いかにして時空を超えるか」「8月4日 もはや私は歴史や時間の奴隷ではない」「ついに終局 すなわち死を克服した」「極めて大量の血と肉を必要とするが すべては遺骨の完全性にかかっている」「一部でも欠ければ最良の結果は得られず 恐るべき異形のものが現れる 不完全な塩ゆえである」
そして死者蘇生の邪法が記されており、無数の壷には魔術師や神秘主義者の遺骨が入っていた。一つまみの媒体で試した彼らは、目の前で血肉が甦るのを見て実験が完成していたことを確信する。
奥の穴底では「失敗作」の奇怪な血肉が蠢き、不完全な蘇生者の襲撃を受け、助手は穴底へと引きずりこまれる。何とか襲撃者から逃れたマーチは、実験室を爆破し、クレアを病院に預けると事務所で持ち出したトランクを開く。中には、帽子、付けヒゲ、サングラス、骨一体分が入っていた・・・。

真実をと対決するため、チャールズの病室を訪れるマーチ。チャールズはジョセフ・カーウィンで、この骨がチャールズだ、と。ジョセフは、チャールズが自分を甦らせたこと、変装してDr.アッシュと名乗り、肉の調達で対立し本物のチャールズを殺した事を明かした。ジョセフの研究は更に深遠へと辿りついており、永遠を超越し、星々の悪魔を招いて死と狂気の影を撒き散らし、全てを自分が握る、と語った。拘束具を引き千切ったジョセフは、駆けつけた看護人の首を捥ぎ取り、マーチへと迫る。
絶体絶命のマーチは、還元薬をチャールズの骨に投げつけ、復活したチャールズはジョセフの血肉を奪い共に消滅する。マーチはトランクを窓から投げ捨て、逃亡を偽装すると、病室を立ち去った。
係りの人間に彼の様子を聞かれると、こう答えて・・・

「静かに休んでる」


ミステリーとゴア描写を混じえて映画としての面白さを出しながら、原作の雰囲気も失っていない見事な映像化である。単になぞるだけでは娯楽作にならないし、誰も観ないような映画制作に自己満足する男でも無い。
そういったショーマンとしてのプライドとラヴ・クラフトへの敬意を両立させるのは、並大抵の苦労では無い。
イン・ザ・マウス・オブ・マッドネス」と並ぶ傑作である。

*あと、例によって邦題を付けた人が一生身体が痒くなりますように、と呪詛を送る。
*ダン・オバノンが関係した作品は、特に邦題が酷いと思うのだが、どうか?


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