B級映画って言うなw
再見して語る映画館
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私は、トロマ映画が好きでも嫌いでもない。
インディペンデント映画(自主制作)からB級映画へと、徐々にランクアップしてきた才覚は認めるし、マネジメントについても優秀な部類だと思う。
簡単に言えば、映画同好会から世界市場に出荷するまでに成長したのだから、これは一つの奇跡と言える。
では、制作された作品が面白いのかといえば、これには首を傾げる。
キャラのインパクトの強さと、徹底したお下劣さが売りであって、ホラーとしてもコメディとしても洗練されておらず、小学生がう〇こを連発したり、トカゲやヘビを棒で晒して笑いあっているレベルでしかない。
笑いの基本がコレにあると主張するのなら、トロマは正しく何も考えずに脊髄反射で笑い合う類の作品だ。
ホラー全盛の時代が生んだお花畑、それも公衆便所の横に広がる一面のタンポポである。
そこには、何のタブーも無い、ただ寛容な笑みと異臭が気になる世界だ。
さて、母の日で思い出したので、トロマ作品でも初期の部類に入る本作を再見してみよう。
物語は・・・
フレンドシップ・セミナーの会場。
ほどよく洗脳された会員達の中に、ヒッピー風のカップルと老婆がいた。
バス待ちだと言うカップルを、老婆は快く同乗させると車を走らせる。
カップルは人気の無い道に来ると不穏な動きを見せるが、ほどなく車はエンストし、老婆は慣れているからと外で修理を始める。
車に残された女が何気に彼氏を見ると、窓の外から斧で斬首され、女も2人組の男たちに車外に引っ張り出される。
男たちに暴力を受けた女は、必死で老婆に助けを求めるが、老婆は笑顔で紐を取り出す。
「愛する友よ、ありがとう!」
とキスを贈り、女を縊り殺す老婆・・・。
「立派な息子たちで、ママは鼻が高いよ」
1970年、ウルフブレス大学・・・同室の仲良し3人組、トリナ、アビー、ジャッキー。卒業アルバムの編集をしながら、10年後の私たちは何をしているかしら、と夢みていた・・・。
現在、トリナはビバリーヒルズに居を構え、セレブとしての暮らしを送っていた。
アビーは、シカゴで口やかましい病気の母親の面倒を診ながら働いていた。
ジャッキーは、N・Yで一人暮らしをしながら、売れない役者の彼氏に貢ぐ日々・・・。
それぞれの人生を送っていた3人だったが、年に一度の約束で、順番に幹事になり休暇を過ごす約束をしていた。
今回の幹事のジャッキーは、ニュージャージー州ドレスパークで待ち合わせし、更に田舎のディープバロンズでキャンプを計画する。
途中の雑貨店で、あそこは止めておいた方がいい、と言う店主の言葉も、立ち入り禁止の警告も無視した3人は、大学時代のようにはしゃぎながら森の中を進む。
美しい湖畔にテントを据えた3人は、幹事任せの年に一度の冒険旅行を楽しみ、夜が更けるまで学生時代の思い出と今の境遇を語り合う・・・。
夜が明け、散策や湖で楽しんでいた3人だったが、それを監視する怪しい影が2つ・・・。
2日目の夜、寝袋に潜り込んで、お喋りをしていた3人に男が襲いかかる。
奇声を上げながら3人を寝袋に拘束した2人組は、森を抜けママが待つ家へと獲物を持ち帰る。
自慢げに女たちを捕まえたことを報告するアイクとアドレーの兄弟に、靴の泥落としとただいまのキスを命じるママ。
屋根裏の部屋で、獲物たちの面通しをしたママは、ジャッキーを選び出すと、首輪で庭へと引き出していく。
映画監督よろしくイスに腰掛けたママは、兄弟に演技指導をしながら、まるでTV番組を楽しむようにジャッキーを翻弄させる。
少女のような服を着せられ、暴力を加えられて、アドレーに犯されるジャッキー。
その光景をポラロイドで撮影するアイク。
ママは、アドレーにジャッキーを与えると、妹のクィニーが来ているから、戸締りを厳重にしな、と命じて家に入る。
翌朝、昨夜の光景を窓から見ていたトリナは、この異常な家族から逃げ出すために、壁の釘を利用してロープを切ろうとする。
だが、朝食を終えて部屋に現れた兄弟は、反抗的なトリナに暴力を加えて出て行く。
ママが教官になって、兄弟の訓練の時間が始まった。
軍隊式のハードな訓練をこなしていく兄弟・・・。狂気の混じった鍛錬は、完全に人を殺すためのものであった。
休憩時間にも、じゃれあって殴りあう兄弟の姿は、まるで猟犬・・・。
その頃、仲悪くケンカする兄弟の目を盗んで、トリナは寝袋に入り、アビーの必死の協力で部屋から脱出していた。
屋内から回り込んだトリナは、ロープで両手に怪我をしたアビーを連れ、ジャッキーを探す。
兄弟の部屋のクローゼットを開けたトリナは、裏側に洋服と吊り下げられた女の無残な死体を発見。そこには、ヒッピー男の生首も鳥かごに入れられ、ぶら下がっていた・・・。
廊下に出たトリナとアビーは、兄アイクが居たため、部屋に逆戻りし、タンスの中で意識不明のジャッキーを発見する。
二人でジャッキーを担ぎ、そろそろと逃げ出す背中にアイクが飛びつき、大声でアドレーを呼ぶ。
絶体絶命と思われた時、庭からママが兄弟を呼ぶ悲鳴が聞こえ、3人は窮地を脱する。
庭では「クィニーが襲ってきたわ」と半狂乱のママの姿。
とりあえずママの方が重要なので、放っておかれた3人は、どうにか森の中に逃げる。
しかし、意識が戻らないジャッキーを連れて逃げ切れないと判断した2人は、草木でカモフラージュし、アビーを見張りにしてトリナが助けを呼びに行くことにする。
マナー違反なポイ捨てのお陰で車まで辿り付いたトリナだったが、兄弟によってエンジン系は壊され、パンツが投げ込まれていた。
陽が沈み、林道でパトカーを見つけたトリナは、抱きついて助けを求める。
しかし、帽子を取った顔は、気狂い兄弟のアイク。
その場で絞殺されそうになるが、勝ち気なトリナは金的を蹴り上げ、森の中に逃げ込む。
その頃、森の中ではジャッキーがショック状態のまま、痙攣して死んでしまっていた・・・。
アイクから逃げるトリナは、罠を交わし、逆に罠に掛けたりしながら、追跡を振り切り、残した2人の元にたどりつく。
そこで、ジャッキーの死を知ったトリナは慟哭し、親友を失って放心状態だったアビーは、「奴らを殺して、仇を討つの」とトリナを抱きしめるのだった。
女たちの追跡をアイクに任せ、ママとアドレーはバックギャモン(ゲーム)に興じていた。
一緒に女を捕まえに行きたいアドレーは、クィニー叔母さんは死んだ、と口答えをする。
「兄貴も、俺たちを引き止めるためのママの作り話だって」、と続けると、ママの怒りのビンタが炸裂。
「妹は悪魔の子だよ、奇怪な姿で生まれた・・・」
そう叫ぶと、証拠の耳を見せるアドレーに怒鳴りちらし、クィニーの恐ろしさを喋り続ける。
勢いに負けたアドレーは、仕方なくママの側にいることを承諾する。
翌朝、覚悟を決めたトリナとアビーは、親友の仇を打つべく用意を整え、狂人一家の側へと近づいた。
ジャッキーの遺体にキスを贈り、復讐を誓い合うと、遺品のネックレスを身につけ、行動を開始した。
家の中では、手ぶらで戻ったアイクが馬鹿にされ、アドレーはウィシャボード(西洋こっくりさん)で女はボートだと言う。
それを馬鹿にしたアイクに、ママは「獲物の取れない猟犬は黙れ」と言っておやり、と冷たい態度。
自慢の息子になるために、女たちを狩ると誓うアイク。
ママの指示で台所に森の地図を取りに行ったアドレーは、トリナに喉を刺され、アビーに金的にハンマーをぶち込まれ、逃げるところを口に布を詰め込まれ息の根を断たれる。
アドレーの死体を運んでいた2人の上に、アイクが壁板を突き破って、雄叫びと共に舞い降りる。
弟の死に激昂したアイクは、トリナの首を締め上げるが、アビーが台所から”パイプ洗浄剤”を手に戻り、後ろから羽交い絞めにして口に流し込む。
激しい血泡を吹き上げながらも、追いかけてきたアイクは、後ろすざりをするトリナに襲い掛かるが、それは罠(孔明<今です)。
隠れていたアビーが、テレビを振り下ろすと、これがすぽっと嵌って、TVマンになったアイクは、感電しながら仰向けに倒れ血泡を吐く。
「サノバビッチ!」と吐き捨てられたアイクの顔→
恨みは果たしたわ、と立ち去ろうとしたトリナの足を、まだ生きていやがったアイクが掴む。
しかし、虫の息のアイクの顔面に、電動パンカッターを何度も振り下ろして、トリナがトドメを刺す。
階段を下りてきたママの目の前に、悲鳴を上げて背中を包丁で刺されたアビーが転がり込んでくる。
馬鹿笑いして息子を褒めながら近づくと(孔明<今です)、背後からトリナが飛び掛り、もちろん演技なのでアビーも押さえ込みに入る。
「病気なのよ、助けて、病気なの」
と、繰り返すママの姿と、口煩い自分のママの姿が重なるアビー。
手近にあったプラスチックの(何だろ、豊胸器?おっぱいオモチャ?)をママの顔に押し付ける。
「看病してあげる、だから・・・大人しくベッドにいてよ!」
白目を剥いて窒息死したママの姿に、自分の闇を知って嗚咽するアビー・・・。
こうして悪夢のような気狂い一家との戦いは終り、ジャッキーの墓を作るアビーとトリナ・・・。
親友の死で覚醒したとはいえ、自分達が生き残れたことが不思議に感じてしまう。
「彼女だけが、死ぬなんて」、と呟くアビー。
「私たちには、生命力がある・・・そう、信じるのよ」、というトリナの言葉に疑問を感じるアビー。
「生き残る運命なのよ・・・2人とも強いの、忘れないで」
そんな2人の会話を茂みの影から窺う、耳の無い奇怪な姿・・・。
奇声を上げながら、人間離れした跳躍力で2人に襲いかかる、それはママが恐れていたクィニーなのか・・・・・・
END
あれ?面白かったぞ。
内容としては、悪魔のいけにえ風味の気狂い一家VS囚われの女達で、オチに伏線が張ってある。
警官に化けるシーンとか、余計な物を入れたせいで、今ひとつリアルな怖さを感じないのが惜しいが、別に物語も破綻していないし、ゴアも最低限ある。
ママに統率された一家と言う設定なので、兄弟が多分にママの悪い教育を受けているだけで、兄弟もママに不信感を持っているシーンがあるので、やはり狂っているのはママなのだろう。
珍しい絵としては、いかに殺人を上手にこなすか、という名目で訓練される猟犬の様な兄弟と、多少違和感はあるが一家の日常を描いているシーンがあることだろう。
これは映画全体の雰囲気を構築する上では、諸刃の刃で、常軌を逸しているような怖さが逆に消えてしまう面もある。
展開としては、親友ジャッキーへの凄惨な仕打ちと死で、主にアビーが覚醒し、様々な策を弄してマッチョ兄弟を殺害する。
これは、女2人での反撃を考えれば当然のことで、あまりにも策が嵌りすぎるので、孔明と呼ばせてもらった。
ママ殺害に関しては、日常的に罵倒されながらも介護をしているストレスが爆発した形であり、気狂いとは言え八つ当たりされたママに少し同情する。
ラストは賛否両論だと思うが、私は笑ってしまった。
何気に繰り返し話に出てきていた魔物の妹クィニーは実在した・・・、しかし、あのジャンプから顔にアップしていくシーンは、怖さよりショッカーの怪人のようで笑いを呼び起こされたけど。
さて、トロマ初期の頃の作品で、監督が創業者ロイド・カウツマンの弟なせいか、比較的まじめに狙っている作品という感じがする。
映画の大部分が森とセットの一軒家という低予算なのは仕方ない。
B級を好む私としては、造形やアイデアに着目したが、シンプルな構成でありながら、冒頭のカップル惨殺を含めてゴアもあり、友情を復讐に変えたアビー役のナンシー・ヘンドリクソンの好演も相まって良い出来だと思う。
もう少し細かい点を煮詰めれば、もっとカルト化したかもしれない作品でした。
*何とリメイク・・・ダーレン・リン・バウズマン(saw2、3、4)の監督で、2010年に完成しプレミア上映、英で本年6/10より公開予定。配給会社の問題で公開が遅れていると聞いていますが、日本でのDVDリリース(劇場公開は・・・無いよなぁ)が楽しみです。フライングして、米国版でも出たら買ってしまう気がw。
http://www.traileraddict.com/trailer/mothers-day/trailer←トレーラー映像(コピペ推奨)
リメイクといっても、イカレたママが息子達を率いて暴れ狂う、という部分だけですね、残ってるの。
sawも一作目しか面白いと感じなかったので、余り過度な期待はしないでおきます。
*セミナー・・・冒頭で行われているセミナーは、ヒーリング、フレンドリー、ブレイクスルー、等の名称で世界中に流行した。社員研修に組み込む企業もあり、私が若い頃には心の再生や社会性の向上を名目に、まるで新興宗教のような乱立を見せた分野である。内容は、一種の精神暗示であり、集団で擬似的な体験を行うことで、世界が変わったような印象を持つが、比較的短期間で目が覚める。中にはセミナー中毒という受講生の間でしか自分を保てない人や、より深い絶望に襲われ自殺する者も出た。
心の中というのは、本人さえも制御できない不可思議な構造なので、こういうものに頼り切るのは災いしか招かないと私は今でも思う。
自分の身の回りの人間関係から改善していくのが、一番実りのある人生では無かろうか。
インディペンデント映画(自主制作)からB級映画へと、徐々にランクアップしてきた才覚は認めるし、マネジメントについても優秀な部類だと思う。
簡単に言えば、映画同好会から世界市場に出荷するまでに成長したのだから、これは一つの奇跡と言える。
では、制作された作品が面白いのかといえば、これには首を傾げる。
キャラのインパクトの強さと、徹底したお下劣さが売りであって、ホラーとしてもコメディとしても洗練されておらず、小学生がう〇こを連発したり、トカゲやヘビを棒で晒して笑いあっているレベルでしかない。
笑いの基本がコレにあると主張するのなら、トロマは正しく何も考えずに脊髄反射で笑い合う類の作品だ。
ホラー全盛の時代が生んだお花畑、それも公衆便所の横に広がる一面のタンポポである。
そこには、何のタブーも無い、ただ寛容な笑みと異臭が気になる世界だ。
さて、母の日で思い出したので、トロマ作品でも初期の部類に入る本作を再見してみよう。
物語は・・・
フレンドシップ・セミナーの会場。
ほどよく洗脳された会員達の中に、ヒッピー風のカップルと老婆がいた。
バス待ちだと言うカップルを、老婆は快く同乗させると車を走らせる。
カップルは人気の無い道に来ると不穏な動きを見せるが、ほどなく車はエンストし、老婆は慣れているからと外で修理を始める。
車に残された女が何気に彼氏を見ると、窓の外から斧で斬首され、女も2人組の男たちに車外に引っ張り出される。
男たちに暴力を受けた女は、必死で老婆に助けを求めるが、老婆は笑顔で紐を取り出す。
「愛する友よ、ありがとう!」
とキスを贈り、女を縊り殺す老婆・・・。
「立派な息子たちで、ママは鼻が高いよ」
1970年、ウルフブレス大学・・・同室の仲良し3人組、トリナ、アビー、ジャッキー。卒業アルバムの編集をしながら、10年後の私たちは何をしているかしら、と夢みていた・・・。
現在、トリナはビバリーヒルズに居を構え、セレブとしての暮らしを送っていた。
アビーは、シカゴで口やかましい病気の母親の面倒を診ながら働いていた。
ジャッキーは、N・Yで一人暮らしをしながら、売れない役者の彼氏に貢ぐ日々・・・。
それぞれの人生を送っていた3人だったが、年に一度の約束で、順番に幹事になり休暇を過ごす約束をしていた。
今回の幹事のジャッキーは、ニュージャージー州ドレスパークで待ち合わせし、更に田舎のディープバロンズでキャンプを計画する。
途中の雑貨店で、あそこは止めておいた方がいい、と言う店主の言葉も、立ち入り禁止の警告も無視した3人は、大学時代のようにはしゃぎながら森の中を進む。
美しい湖畔にテントを据えた3人は、幹事任せの年に一度の冒険旅行を楽しみ、夜が更けるまで学生時代の思い出と今の境遇を語り合う・・・。
夜が明け、散策や湖で楽しんでいた3人だったが、それを監視する怪しい影が2つ・・・。
2日目の夜、寝袋に潜り込んで、お喋りをしていた3人に男が襲いかかる。
奇声を上げながら3人を寝袋に拘束した2人組は、森を抜けママが待つ家へと獲物を持ち帰る。
自慢げに女たちを捕まえたことを報告するアイクとアドレーの兄弟に、靴の泥落としとただいまのキスを命じるママ。
屋根裏の部屋で、獲物たちの面通しをしたママは、ジャッキーを選び出すと、首輪で庭へと引き出していく。
映画監督よろしくイスに腰掛けたママは、兄弟に演技指導をしながら、まるでTV番組を楽しむようにジャッキーを翻弄させる。
少女のような服を着せられ、暴力を加えられて、アドレーに犯されるジャッキー。
その光景をポラロイドで撮影するアイク。
ママは、アドレーにジャッキーを与えると、妹のクィニーが来ているから、戸締りを厳重にしな、と命じて家に入る。
翌朝、昨夜の光景を窓から見ていたトリナは、この異常な家族から逃げ出すために、壁の釘を利用してロープを切ろうとする。
だが、朝食を終えて部屋に現れた兄弟は、反抗的なトリナに暴力を加えて出て行く。
ママが教官になって、兄弟の訓練の時間が始まった。
軍隊式のハードな訓練をこなしていく兄弟・・・。狂気の混じった鍛錬は、完全に人を殺すためのものであった。
休憩時間にも、じゃれあって殴りあう兄弟の姿は、まるで猟犬・・・。
その頃、仲悪くケンカする兄弟の目を盗んで、トリナは寝袋に入り、アビーの必死の協力で部屋から脱出していた。
屋内から回り込んだトリナは、ロープで両手に怪我をしたアビーを連れ、ジャッキーを探す。
兄弟の部屋のクローゼットを開けたトリナは、裏側に洋服と吊り下げられた女の無残な死体を発見。そこには、ヒッピー男の生首も鳥かごに入れられ、ぶら下がっていた・・・。
廊下に出たトリナとアビーは、兄アイクが居たため、部屋に逆戻りし、タンスの中で意識不明のジャッキーを発見する。
二人でジャッキーを担ぎ、そろそろと逃げ出す背中にアイクが飛びつき、大声でアドレーを呼ぶ。
絶体絶命と思われた時、庭からママが兄弟を呼ぶ悲鳴が聞こえ、3人は窮地を脱する。
庭では「クィニーが襲ってきたわ」と半狂乱のママの姿。
とりあえずママの方が重要なので、放っておかれた3人は、どうにか森の中に逃げる。
しかし、意識が戻らないジャッキーを連れて逃げ切れないと判断した2人は、草木でカモフラージュし、アビーを見張りにしてトリナが助けを呼びに行くことにする。
マナー違反なポイ捨てのお陰で車まで辿り付いたトリナだったが、兄弟によってエンジン系は壊され、パンツが投げ込まれていた。
陽が沈み、林道でパトカーを見つけたトリナは、抱きついて助けを求める。
しかし、帽子を取った顔は、気狂い兄弟のアイク。
その場で絞殺されそうになるが、勝ち気なトリナは金的を蹴り上げ、森の中に逃げ込む。
その頃、森の中ではジャッキーがショック状態のまま、痙攣して死んでしまっていた・・・。
アイクから逃げるトリナは、罠を交わし、逆に罠に掛けたりしながら、追跡を振り切り、残した2人の元にたどりつく。
そこで、ジャッキーの死を知ったトリナは慟哭し、親友を失って放心状態だったアビーは、「奴らを殺して、仇を討つの」とトリナを抱きしめるのだった。
女たちの追跡をアイクに任せ、ママとアドレーはバックギャモン(ゲーム)に興じていた。
一緒に女を捕まえに行きたいアドレーは、クィニー叔母さんは死んだ、と口答えをする。
「兄貴も、俺たちを引き止めるためのママの作り話だって」、と続けると、ママの怒りのビンタが炸裂。
「妹は悪魔の子だよ、奇怪な姿で生まれた・・・」
そう叫ぶと、証拠の耳を見せるアドレーに怒鳴りちらし、クィニーの恐ろしさを喋り続ける。
勢いに負けたアドレーは、仕方なくママの側にいることを承諾する。
翌朝、覚悟を決めたトリナとアビーは、親友の仇を打つべく用意を整え、狂人一家の側へと近づいた。
ジャッキーの遺体にキスを贈り、復讐を誓い合うと、遺品のネックレスを身につけ、行動を開始した。
家の中では、手ぶらで戻ったアイクが馬鹿にされ、アドレーはウィシャボード(西洋こっくりさん)で女はボートだと言う。
それを馬鹿にしたアイクに、ママは「獲物の取れない猟犬は黙れ」と言っておやり、と冷たい態度。
自慢の息子になるために、女たちを狩ると誓うアイク。
ママの指示で台所に森の地図を取りに行ったアドレーは、トリナに喉を刺され、アビーに金的にハンマーをぶち込まれ、逃げるところを口に布を詰め込まれ息の根を断たれる。
アドレーの死体を運んでいた2人の上に、アイクが壁板を突き破って、雄叫びと共に舞い降りる。
弟の死に激昂したアイクは、トリナの首を締め上げるが、アビーが台所から”パイプ洗浄剤”を手に戻り、後ろから羽交い絞めにして口に流し込む。
激しい血泡を吹き上げながらも、追いかけてきたアイクは、後ろすざりをするトリナに襲い掛かるが、それは罠(孔明<今です)。
隠れていたアビーが、テレビを振り下ろすと、これがすぽっと嵌って、TVマンになったアイクは、感電しながら仰向けに倒れ血泡を吐く。
「サノバビッチ!」と吐き捨てられたアイクの顔→
恨みは果たしたわ、と立ち去ろうとしたトリナの足を、まだ生きていやがったアイクが掴む。
しかし、虫の息のアイクの顔面に、電動パンカッターを何度も振り下ろして、トリナがトドメを刺す。
階段を下りてきたママの目の前に、悲鳴を上げて背中を包丁で刺されたアビーが転がり込んでくる。
馬鹿笑いして息子を褒めながら近づくと(孔明<今です)、背後からトリナが飛び掛り、もちろん演技なのでアビーも押さえ込みに入る。
「病気なのよ、助けて、病気なの」
と、繰り返すママの姿と、口煩い自分のママの姿が重なるアビー。
手近にあったプラスチックの(何だろ、豊胸器?おっぱいオモチャ?)をママの顔に押し付ける。
「看病してあげる、だから・・・大人しくベッドにいてよ!」
白目を剥いて窒息死したママの姿に、自分の闇を知って嗚咽するアビー・・・。
こうして悪夢のような気狂い一家との戦いは終り、ジャッキーの墓を作るアビーとトリナ・・・。
親友の死で覚醒したとはいえ、自分達が生き残れたことが不思議に感じてしまう。
「彼女だけが、死ぬなんて」、と呟くアビー。
「私たちには、生命力がある・・・そう、信じるのよ」、というトリナの言葉に疑問を感じるアビー。
「生き残る運命なのよ・・・2人とも強いの、忘れないで」
そんな2人の会話を茂みの影から窺う、耳の無い奇怪な姿・・・。
奇声を上げながら、人間離れした跳躍力で2人に襲いかかる、それはママが恐れていたクィニーなのか・・・・・・
END
あれ?面白かったぞ。
内容としては、悪魔のいけにえ風味の気狂い一家VS囚われの女達で、オチに伏線が張ってある。
警官に化けるシーンとか、余計な物を入れたせいで、今ひとつリアルな怖さを感じないのが惜しいが、別に物語も破綻していないし、ゴアも最低限ある。
ママに統率された一家と言う設定なので、兄弟が多分にママの悪い教育を受けているだけで、兄弟もママに不信感を持っているシーンがあるので、やはり狂っているのはママなのだろう。
珍しい絵としては、いかに殺人を上手にこなすか、という名目で訓練される猟犬の様な兄弟と、多少違和感はあるが一家の日常を描いているシーンがあることだろう。
これは映画全体の雰囲気を構築する上では、諸刃の刃で、常軌を逸しているような怖さが逆に消えてしまう面もある。
展開としては、親友ジャッキーへの凄惨な仕打ちと死で、主にアビーが覚醒し、様々な策を弄してマッチョ兄弟を殺害する。
これは、女2人での反撃を考えれば当然のことで、あまりにも策が嵌りすぎるので、孔明と呼ばせてもらった。
ママ殺害に関しては、日常的に罵倒されながらも介護をしているストレスが爆発した形であり、気狂いとは言え八つ当たりされたママに少し同情する。
ラストは賛否両論だと思うが、私は笑ってしまった。
何気に繰り返し話に出てきていた魔物の妹クィニーは実在した・・・、しかし、あのジャンプから顔にアップしていくシーンは、怖さよりショッカーの怪人のようで笑いを呼び起こされたけど。
さて、トロマ初期の頃の作品で、監督が創業者ロイド・カウツマンの弟なせいか、比較的まじめに狙っている作品という感じがする。
映画の大部分が森とセットの一軒家という低予算なのは仕方ない。
B級を好む私としては、造形やアイデアに着目したが、シンプルな構成でありながら、冒頭のカップル惨殺を含めてゴアもあり、友情を復讐に変えたアビー役のナンシー・ヘンドリクソンの好演も相まって良い出来だと思う。
もう少し細かい点を煮詰めれば、もっとカルト化したかもしれない作品でした。
*何とリメイク・・・ダーレン・リン・バウズマン(saw2、3、4)の監督で、2010年に完成しプレミア上映、英で本年6/10より公開予定。配給会社の問題で公開が遅れていると聞いていますが、日本でのDVDリリース(劇場公開は・・・無いよなぁ)が楽しみです。フライングして、米国版でも出たら買ってしまう気がw。
http://www.traileraddict.com/trailer/mothers-day/trailer←トレーラー映像(コピペ推奨)
リメイクといっても、イカレたママが息子達を率いて暴れ狂う、という部分だけですね、残ってるの。
sawも一作目しか面白いと感じなかったので、余り過度な期待はしないでおきます。
*セミナー・・・冒頭で行われているセミナーは、ヒーリング、フレンドリー、ブレイクスルー、等の名称で世界中に流行した。社員研修に組み込む企業もあり、私が若い頃には心の再生や社会性の向上を名目に、まるで新興宗教のような乱立を見せた分野である。内容は、一種の精神暗示であり、集団で擬似的な体験を行うことで、世界が変わったような印象を持つが、比較的短期間で目が覚める。中にはセミナー中毒という受講生の間でしか自分を保てない人や、より深い絶望に襲われ自殺する者も出た。
心の中というのは、本人さえも制御できない不可思議な構造なので、こういうものに頼り切るのは災いしか招かないと私は今でも思う。
自分の身の回りの人間関係から改善していくのが、一番実りのある人生では無かろうか。
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