B級映画って言うなw
再見して語る映画館
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侵略SFの古典小説『盗まれた街』の4度目の映画化。
ハリウッドのネタ不足は深刻のようだが、今まで色んな切り口で映像化されてきた原作だけに、現代版の出来栄えが気になるところ。
主演は、ニコール・キッドマン、6代目ジェームス・ボンド役のダニエル・クレイグ。
2大スターを起用した気鋭監督の采配は如何に?
物語は・・・
ドラッグストアーに駆け込む一人の女性、薬名を呟きながら、煽るように流し込む。施錠されたドアからは、助けを求める複数の声が聞こえ、ドアを叩く音が・・・・。
スペースシャトル・パトリオットの墜落事故・・・、未曾有の悲劇にニュースが持ちきりになるなか、ダラスからワシントンに降り注いだ破片のエリアは、隔離地域になっていた。そこに全米から科学者グループが集められ、大統領直属のタッカー博士も現地入りをしていた。内生胞子を持ち高温・極冷に態勢を持つ未知の細菌は、破片に付着し、350kmの範囲に飛散していた。事態を重く見たタフマンは、大統領に報告するため、車に乗ろうとした時に少女から落下物を受け取る際に傷を負ってしまう・・・。
悪夢に魘されて目覚めるオリバー。母親のキャロルは、やんちゃ盛りのオリバーと母子家庭で、ハロウィンに息子をキスで送り出す。
車中で合流した友達以上恋人未満のベンは、今度の事件で科学者が政府を批判して50人も辞任したと興奮していた。キャロルは、元夫のタッカーが、急にオリバーとの接触を求めてきた事に当惑していた。タッカーに会わせても、オリバーの君への愛は変わらない、と諭すベン。
オフィスに出勤したキャロルは、患者のウェンリーから、主人が別人になっている、と相談を受ける。主人は、咆えた犬を絞殺し、ウェンリーに変な飲み物を強引に勧めてくる、という。処方箋と電話番号を渡したキャロルは、患者のカウンセリング治療を終えた。
その夜、ハロウィンのお菓子集めに子供達と同行したキャロルは、アンディという少年が犬に襲われるのを見る。幸い怪我が無かったアンディは、他の子供達がお菓子の取り分で盛り上がる中、一人でソファに座っていた。その時、オリバーが変なゴム状の切れ端が、手についたと騒ぎ出す。
医師のベンに持ち込んだキャロルだったが、ベンの同僚のガレアーノ医師の分析では、真偽の判定は出来ないが皮膚であるという。興味を引かれたガレアーノ医師は、引き続き検査を続けることを約束する。
国の報告会で、タッカーは集まった報道関係者や医療関係者に新型インフルエンザの脅威を説明し、早急にワクチンの摂取を進めるべきだと淡々と説明する。その陰で、振舞われた飲み物には、係員の吐き出す液体が含まれていた・・・。
オフィスでウェンリーの夫レックスの訪問を受けたキャロルは、電話でウェンリーを逃がすことに成功する。だが、ウェンリーは「貴方が信用できるか分らなかった」という謎めいた言葉を残す。
オリバーをタッカーに3日間面会させることになったキャロルは、車中でしりとりをしながら、タッカーの家に向っていた。その途中で、突然助けを求める女が現れ、「あいつらが来る、私達の中に紛れてるのよ」と叫び、対向車に撥ねられる。到着した警官は、事故処理よりもキャロルのナンバープレートを記録し、無表情に応対する。
オリバーをタッカーに預けたキャロルは、ベンとチェコ大使夫妻のパーティーに招かれていた。ロシア大使は、文明とは幻想で今でも人間は本能で動かされている、と語る。人間の精神的成長は、いつか本能を抑え込み平和な世界を造れる、とキャロルは応える。
その夜、国税庁調査員を名乗る男の訪問を受けたキャロルは、男が口を開け、執拗に侵入しようとすることに恐怖を感じる。警察とベンに来てもらったキャロルは、オリバーのビデオメールを観ながら、翌日も変わらず出勤する。しかし、患者はキャンセルが相次ぎ、ウェンリーに連絡したが眠っているので、起きたら電話させると夫のレックスに言われる。
ネットを検索したキャロルは、社会に知り合いや家族が別人に感じるというヒット数を見て不安を感じる。
ベンからの連絡で、ガレアーノ医師のラボに来たキャロルは、持ち込まれたモノが、老廃物の凝固した物だという。老廃物には、未知の巨大ウイルスが含まれ、白血球を破壊し、自分と人間のDNAを融合し、レム睡眠時に遺伝子を書き換えてしまう、という。他の国では対処の研究が始まったが、アメリカではインフルエンザだと処置されている。その時、チェコ大使婦人から、友人の様子が変だと連絡があり、3人は大使の私邸に向う。
友人は、皮膚が凝固し、遺伝子の書き換えが進行中だった。しかし、キャロルの携帯のフラッシュに反応し、レム睡眠が中断したため、心停止を起こしていた・・・。
一刻の猶予も無いと感じたキャロルは、オリバーを救出するため、タッカーの家に車を飛ばす。応対に出たタッカーだったが、家には無数の人間が居り、犬と遊んでいるというオリバーの姿は何処にもなかった。いつのまにか家の出入り口を固められたキャロルは、追い詰められ、タッカーの口から液体を浴びてしまう・・・。
隣家には人の気配が無く(死んでます)、ぶつかったゴミバケツからは犬のジーンの死体が出てきた。車が事故を起こし、必死で行き交う車に助けを求めるキャロルの姿は、あの事故の女そのものだった・・・。
地下鉄に乗り込んだキャロルに、オリバーから『パパに連れてこられた、助けに来て』とビデオメールが入る。動揺するキャロルに、黒人の青年から「落ち着かないと、奴らに気づかれる」と忠告を受ける。無表情でいることで誤魔化せるはずだったが、錯乱した女が奴らに話しかけたため、車内の普通の人間は後部車両に追い詰められる。ガラスを割り、液体を噴射してくる奴らの手から、キャロルだけは逃れることが出来た。だが、逃げ込んだ警備室の男を銃撃したキャロルは、恐怖と動揺を押し殺し、無表情で街にさ迷い出る。
街では、すでに奴らによる人間狩りが公然と行われており、まだ普通の警官から「汗をかいている、それではバレるから、早く立ち去れ」と忠告を受ける。
公園の子供達もインフルエンザ受付の知り合いも、すでに奴らの仲間になっている。自宅に書置きを残し、街に戻ったキャロルは、飛び降り自殺を目撃し、それに反応した人間が捕まるのを見る。チェコ大使邸に戻ったキャロルは、ベンにオリバーを見つけられなかったと泣き付く・・・。
ガレアーノは、このエイリアンは細菌やバクテリアのように体液・唾液・注射を介して感染する。感染したか確認するには、レム睡眠に入るしか無い・・・と言う。80km先のフォートデトリックは緊急態勢に入り、そこに行けば安全だが、キャロルとベンは皆と別れ、オリバーを探しに別れることにする。チェコ大使も奴らになっており、夫人は夫に従ったが、残りは邸を脱出する。逃亡の途中で、キャロルはウェンリーが連行される所を見たが、彼女は眠っていたのに発症していなかった。
途中で警察官の制服を入手し、キャロルのオフィスでウェンリーのカルテを調べる。ウェンリーは水疱瘡が悪化しADEM(悪質な脳炎の一種:炎症性脱髄疾患)を罹病していた。オリバーも、幼少時に同じケースで罹病しており、これが抗体の鍵だと2人は結論する。フォートデトリックに到着したガレアーノは、異常事態に気づいた著名な研究者達が続々と集まってきているという。
オリバーからのメールで、タッカーの母が住むボルチモアに居ることが分ったが、周辺の封鎖が始まっており、2人は強行突破をするしかない。
キャロルを逃がし、自分が囮になって奴らを引き付けるベン。キャロルは、自分の心を閉ざし、ボルチモア行きの列車に乗ったが、奴らの侵略は車内でも行われていた。列車のトイレでオリバーの友達のジーンと意外な再会をするが、すでにジーンは奴らになっていた。すでに感染しているから、トイレで眠ると誤魔化し、列車がボルチモアに到着すると、ゴミ箱から拾った老廃物を体から外して見せる。
駅に迎えに出たタッカーは、ジーンとキャロルを母の家に連れて行き、食事を振る舞う。ニュースでは、世界の紛争地域から戦争が消え、北朝鮮を初めとする独裁国家も国連に参加したという。政治犯は釈放され、世界は戦争と争いから解放されつつあった・・・。
ベンからの電話を上手く誤魔化したキャロルは、ようやくオリバーとの再会を果たす。ジーンを投げ飛ばして気絶させ、一階に下りたが、母親の連絡でタッカー達が気づき、親子は奴らの中を逃走する。
一旦は撒いたと思ったが、そこにタッカーが現れ、「残念だよ、また家族になれると思っていたのに」と淡々と語り、二人に襲い掛かる。親子の協力で、タッカーを撃退した親子は、ドラッグストアーに逃げ込む。キャロルは、自分が眠ってしまった場合は、注射器を心臓に打ち込むように、と言い含める。そこにベンからの連絡があり、急いで助けに来ると告げる。
従業員室には、発症した人間が転がり、そこから銃を入手すると施錠する。
時間が流れ、オリバーの眠りに釣られ、キャロルも睡魔と闘っていた。だが、ひたすらベンを待ち続けたキャロルにも、限界が訪れ眠りに落ちてしまう。従業員室の騒ぎで目覚めたオリバーは、キャロルが目覚めないので、言われた通りに心臓に注射を打ち込む。蘇生したキャロルは、オリバーに詫び、自分の体に異変が起こっていないことを確認する。そこに、ようやくベンが現れ、その言動から奴らになっていることに気づくキャロル・・・。
ベンは言う・・・
「完全な調和、一つになる世界・・・戦争も貧困も暴力もレイプも無い世界」
我々の世界では、お互いに傷つけあったり、奪い合ったりしない・・・他人という物が無いからだ。
自らの世界を真実であり、よりよい世界だというベン。
オリバーは免疫があるから、仲間にはなれない、という言葉に逆上するキャロル。従業員室から出てきた奴らを射殺し、ベンの足を撃ち抜いて脱出する。
蟻のように車に群がる奴らに苦労しながら、ガレアーノとの連絡を取り合うキャロルたち。息子を守る、その思いだけで覚醒を続けるキャロルだったが、火炎瓶をぶつけられ、合流地点のビル駐車場で車が使えなくなってしまう。
徒歩でエレベーターに乗り込んだ親子は、割り込んでくる奴らを消火器で一撃し、屋上のヘリポートに向かう。
無数の奴らが、階段やエレベーターで、屋上を目指して進んでくる。
2人を収容したヘリは、街から飛び立ち、フォートデトリックへと向かった。
キャロルは、様々な困難に勝ち抜き、ようやく安心して我が子オリバーを抱きしめるのだった・・・。
その後・・・
エイリアンウイルスの免疫抗体が発見されたことから、自衛手段を持たないエイリアンウイルスは壊滅し、免疫者の増大と共に事態は急速に沈静化に向かっていた。エイリアンウイルスが脳を操る仕組みは人間と違い、そのため治癒した人から、感染中の記憶は経験として残っていなかった。
キャロルはジーンを引き取り、ベンとオリバーの4人で新しい生活を始めていた。
だが、キャロルは思う・・・、終りなき争いの世界。
争いが新しい暴力を生まない世界・・・どの新聞にも犯罪や戦争の記事が載らない世界・・・それは、人間が人間である事を止めた世界になるだろう・・・
END
現代版のアレンジということで、ボディスナッチャーファンにはお馴染みのサヤエンドウは出てきません。
代わりにウイルスに似たエイリアンの登場となるわけですが、原作の味の一つに植物のように生きれば争いは無い、というのがありまして、そこが薄れたのは残念。それらしいことはエイリアンも言ってますが、今回は完全に融合するタイプなので、余り説得力が無い感じ(肉喰うし)。
それに合わせて侵略=コピーを作られる恐怖も無く、融合中に少しグロいシーンはありますが、ほとんど全年齢OKというレベル。
まぁ、2大スターの起用ですから、バッドエンドになるわけも無く、実にあっさりと侵略は失敗し、邪魔者だけは死んだ、という形になってますね。
優秀すぎる科学者とウイルス物の定番の免疫保持者、これが揃えばこの手の映画は勝ったも同然でしょう。
むしろ、子供を守るためなら、殺人も辞さないという強い母が映画のテーマかな。
こんなにあっさりと治るなら、地下鉄構内で妻子持ちなのに射殺された男が哀れで仕方ありません。
誰でも思うことですが、争いの無い世界を第三者の介入で作るか、人類の知的成長で時間を掛けて作るか、というのはSF界でも古くから議論されている問題です。それを見守る監察官的なエイリアンが、地球人を見張っているというのも、よく聞く話ですね。私としては、人は人して成長し、それが滅びの道であっても自らの種の責任で行うべきだと思います。
内容としては凡作というか、全年齢版の侵略映画として、実に無難な仕事をした作品でした。
*ADEM・・・悪性脳腫瘍。炎症性脱髄疾患と呼ばれ、誘引としては感染後、ワクチン接種後、突発性と分かれ、今作では水疱瘡の感染から発症したことになっています。一度発症してしまえば、2度と発症することは無く、重篤で無ければ後遺症も比較的軽くて済みます。どういう仕組みで、これの罹患者からワクチンを作れるのか不思議で仕方ありませんが、ノーベル賞受賞者が続々と来てたそうですから、まぁ何とかしたんでしょうw
*フォートデトリック・・・メリーランド州にある米国科学細菌研究所(通称CBA)。最高レベルの防疫設備を備え、実験の内容は国家機密となっている。そのため、様々な憶測や陰謀説の舞台とされ、B兵器界のロズウェル及びエリア51として、その筋の方々に悪名高い。姉妹品としてニューメキシコ州ロスアラモス研究所も引き合いに出される場合が多い。
今作では、人類を救った正義の施設でしたね(いいか、悪いかは別にして)。
*昔から、どうせリメイクするなら、「トリフィド」をやってくれないか、と思っている。原作も設定が破綻しているので、そこらへんを上手く繕えば、それなりに面白い・・・ダメか。やっぱ木が歩いてきて盲目の人間を襲う映画じゃ、A級よさんどころか、B級も企画が通らないかな・・・。頑張れ、アルバトロス!
ハリウッドのネタ不足は深刻のようだが、今まで色んな切り口で映像化されてきた原作だけに、現代版の出来栄えが気になるところ。
主演は、ニコール・キッドマン、6代目ジェームス・ボンド役のダニエル・クレイグ。
2大スターを起用した気鋭監督の采配は如何に?
物語は・・・
ドラッグストアーに駆け込む一人の女性、薬名を呟きながら、煽るように流し込む。施錠されたドアからは、助けを求める複数の声が聞こえ、ドアを叩く音が・・・・。
スペースシャトル・パトリオットの墜落事故・・・、未曾有の悲劇にニュースが持ちきりになるなか、ダラスからワシントンに降り注いだ破片のエリアは、隔離地域になっていた。そこに全米から科学者グループが集められ、大統領直属のタッカー博士も現地入りをしていた。内生胞子を持ち高温・極冷に態勢を持つ未知の細菌は、破片に付着し、350kmの範囲に飛散していた。事態を重く見たタフマンは、大統領に報告するため、車に乗ろうとした時に少女から落下物を受け取る際に傷を負ってしまう・・・。
悪夢に魘されて目覚めるオリバー。母親のキャロルは、やんちゃ盛りのオリバーと母子家庭で、ハロウィンに息子をキスで送り出す。
車中で合流した友達以上恋人未満のベンは、今度の事件で科学者が政府を批判して50人も辞任したと興奮していた。キャロルは、元夫のタッカーが、急にオリバーとの接触を求めてきた事に当惑していた。タッカーに会わせても、オリバーの君への愛は変わらない、と諭すベン。
オフィスに出勤したキャロルは、患者のウェンリーから、主人が別人になっている、と相談を受ける。主人は、咆えた犬を絞殺し、ウェンリーに変な飲み物を強引に勧めてくる、という。処方箋と電話番号を渡したキャロルは、患者のカウンセリング治療を終えた。
その夜、ハロウィンのお菓子集めに子供達と同行したキャロルは、アンディという少年が犬に襲われるのを見る。幸い怪我が無かったアンディは、他の子供達がお菓子の取り分で盛り上がる中、一人でソファに座っていた。その時、オリバーが変なゴム状の切れ端が、手についたと騒ぎ出す。
医師のベンに持ち込んだキャロルだったが、ベンの同僚のガレアーノ医師の分析では、真偽の判定は出来ないが皮膚であるという。興味を引かれたガレアーノ医師は、引き続き検査を続けることを約束する。
国の報告会で、タッカーは集まった報道関係者や医療関係者に新型インフルエンザの脅威を説明し、早急にワクチンの摂取を進めるべきだと淡々と説明する。その陰で、振舞われた飲み物には、係員の吐き出す液体が含まれていた・・・。
オフィスでウェンリーの夫レックスの訪問を受けたキャロルは、電話でウェンリーを逃がすことに成功する。だが、ウェンリーは「貴方が信用できるか分らなかった」という謎めいた言葉を残す。
オリバーをタッカーに3日間面会させることになったキャロルは、車中でしりとりをしながら、タッカーの家に向っていた。その途中で、突然助けを求める女が現れ、「あいつらが来る、私達の中に紛れてるのよ」と叫び、対向車に撥ねられる。到着した警官は、事故処理よりもキャロルのナンバープレートを記録し、無表情に応対する。
オリバーをタッカーに預けたキャロルは、ベンとチェコ大使夫妻のパーティーに招かれていた。ロシア大使は、文明とは幻想で今でも人間は本能で動かされている、と語る。人間の精神的成長は、いつか本能を抑え込み平和な世界を造れる、とキャロルは応える。
その夜、国税庁調査員を名乗る男の訪問を受けたキャロルは、男が口を開け、執拗に侵入しようとすることに恐怖を感じる。警察とベンに来てもらったキャロルは、オリバーのビデオメールを観ながら、翌日も変わらず出勤する。しかし、患者はキャンセルが相次ぎ、ウェンリーに連絡したが眠っているので、起きたら電話させると夫のレックスに言われる。
ネットを検索したキャロルは、社会に知り合いや家族が別人に感じるというヒット数を見て不安を感じる。
ベンからの連絡で、ガレアーノ医師のラボに来たキャロルは、持ち込まれたモノが、老廃物の凝固した物だという。老廃物には、未知の巨大ウイルスが含まれ、白血球を破壊し、自分と人間のDNAを融合し、レム睡眠時に遺伝子を書き換えてしまう、という。他の国では対処の研究が始まったが、アメリカではインフルエンザだと処置されている。その時、チェコ大使婦人から、友人の様子が変だと連絡があり、3人は大使の私邸に向う。
友人は、皮膚が凝固し、遺伝子の書き換えが進行中だった。しかし、キャロルの携帯のフラッシュに反応し、レム睡眠が中断したため、心停止を起こしていた・・・。
一刻の猶予も無いと感じたキャロルは、オリバーを救出するため、タッカーの家に車を飛ばす。応対に出たタッカーだったが、家には無数の人間が居り、犬と遊んでいるというオリバーの姿は何処にもなかった。いつのまにか家の出入り口を固められたキャロルは、追い詰められ、タッカーの口から液体を浴びてしまう・・・。
隣家には人の気配が無く(死んでます)、ぶつかったゴミバケツからは犬のジーンの死体が出てきた。車が事故を起こし、必死で行き交う車に助けを求めるキャロルの姿は、あの事故の女そのものだった・・・。
地下鉄に乗り込んだキャロルに、オリバーから『パパに連れてこられた、助けに来て』とビデオメールが入る。動揺するキャロルに、黒人の青年から「落ち着かないと、奴らに気づかれる」と忠告を受ける。無表情でいることで誤魔化せるはずだったが、錯乱した女が奴らに話しかけたため、車内の普通の人間は後部車両に追い詰められる。ガラスを割り、液体を噴射してくる奴らの手から、キャロルだけは逃れることが出来た。だが、逃げ込んだ警備室の男を銃撃したキャロルは、恐怖と動揺を押し殺し、無表情で街にさ迷い出る。
街では、すでに奴らによる人間狩りが公然と行われており、まだ普通の警官から「汗をかいている、それではバレるから、早く立ち去れ」と忠告を受ける。
公園の子供達もインフルエンザ受付の知り合いも、すでに奴らの仲間になっている。自宅に書置きを残し、街に戻ったキャロルは、飛び降り自殺を目撃し、それに反応した人間が捕まるのを見る。チェコ大使邸に戻ったキャロルは、ベンにオリバーを見つけられなかったと泣き付く・・・。
ガレアーノは、このエイリアンは細菌やバクテリアのように体液・唾液・注射を介して感染する。感染したか確認するには、レム睡眠に入るしか無い・・・と言う。80km先のフォートデトリックは緊急態勢に入り、そこに行けば安全だが、キャロルとベンは皆と別れ、オリバーを探しに別れることにする。チェコ大使も奴らになっており、夫人は夫に従ったが、残りは邸を脱出する。逃亡の途中で、キャロルはウェンリーが連行される所を見たが、彼女は眠っていたのに発症していなかった。
途中で警察官の制服を入手し、キャロルのオフィスでウェンリーのカルテを調べる。ウェンリーは水疱瘡が悪化しADEM(悪質な脳炎の一種:炎症性脱髄疾患)を罹病していた。オリバーも、幼少時に同じケースで罹病しており、これが抗体の鍵だと2人は結論する。フォートデトリックに到着したガレアーノは、異常事態に気づいた著名な研究者達が続々と集まってきているという。
オリバーからのメールで、タッカーの母が住むボルチモアに居ることが分ったが、周辺の封鎖が始まっており、2人は強行突破をするしかない。
キャロルを逃がし、自分が囮になって奴らを引き付けるベン。キャロルは、自分の心を閉ざし、ボルチモア行きの列車に乗ったが、奴らの侵略は車内でも行われていた。列車のトイレでオリバーの友達のジーンと意外な再会をするが、すでにジーンは奴らになっていた。すでに感染しているから、トイレで眠ると誤魔化し、列車がボルチモアに到着すると、ゴミ箱から拾った老廃物を体から外して見せる。
駅に迎えに出たタッカーは、ジーンとキャロルを母の家に連れて行き、食事を振る舞う。ニュースでは、世界の紛争地域から戦争が消え、北朝鮮を初めとする独裁国家も国連に参加したという。政治犯は釈放され、世界は戦争と争いから解放されつつあった・・・。
ベンからの電話を上手く誤魔化したキャロルは、ようやくオリバーとの再会を果たす。ジーンを投げ飛ばして気絶させ、一階に下りたが、母親の連絡でタッカー達が気づき、親子は奴らの中を逃走する。
一旦は撒いたと思ったが、そこにタッカーが現れ、「残念だよ、また家族になれると思っていたのに」と淡々と語り、二人に襲い掛かる。親子の協力で、タッカーを撃退した親子は、ドラッグストアーに逃げ込む。キャロルは、自分が眠ってしまった場合は、注射器を心臓に打ち込むように、と言い含める。そこにベンからの連絡があり、急いで助けに来ると告げる。
従業員室には、発症した人間が転がり、そこから銃を入手すると施錠する。
時間が流れ、オリバーの眠りに釣られ、キャロルも睡魔と闘っていた。だが、ひたすらベンを待ち続けたキャロルにも、限界が訪れ眠りに落ちてしまう。従業員室の騒ぎで目覚めたオリバーは、キャロルが目覚めないので、言われた通りに心臓に注射を打ち込む。蘇生したキャロルは、オリバーに詫び、自分の体に異変が起こっていないことを確認する。そこに、ようやくベンが現れ、その言動から奴らになっていることに気づくキャロル・・・。
ベンは言う・・・
「完全な調和、一つになる世界・・・戦争も貧困も暴力もレイプも無い世界」
我々の世界では、お互いに傷つけあったり、奪い合ったりしない・・・他人という物が無いからだ。
自らの世界を真実であり、よりよい世界だというベン。
オリバーは免疫があるから、仲間にはなれない、という言葉に逆上するキャロル。従業員室から出てきた奴らを射殺し、ベンの足を撃ち抜いて脱出する。
蟻のように車に群がる奴らに苦労しながら、ガレアーノとの連絡を取り合うキャロルたち。息子を守る、その思いだけで覚醒を続けるキャロルだったが、火炎瓶をぶつけられ、合流地点のビル駐車場で車が使えなくなってしまう。
徒歩でエレベーターに乗り込んだ親子は、割り込んでくる奴らを消火器で一撃し、屋上のヘリポートに向かう。
無数の奴らが、階段やエレベーターで、屋上を目指して進んでくる。
2人を収容したヘリは、街から飛び立ち、フォートデトリックへと向かった。
キャロルは、様々な困難に勝ち抜き、ようやく安心して我が子オリバーを抱きしめるのだった・・・。
その後・・・
エイリアンウイルスの免疫抗体が発見されたことから、自衛手段を持たないエイリアンウイルスは壊滅し、免疫者の増大と共に事態は急速に沈静化に向かっていた。エイリアンウイルスが脳を操る仕組みは人間と違い、そのため治癒した人から、感染中の記憶は経験として残っていなかった。
キャロルはジーンを引き取り、ベンとオリバーの4人で新しい生活を始めていた。
だが、キャロルは思う・・・、終りなき争いの世界。
争いが新しい暴力を生まない世界・・・どの新聞にも犯罪や戦争の記事が載らない世界・・・それは、人間が人間である事を止めた世界になるだろう・・・
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現代版のアレンジということで、ボディスナッチャーファンにはお馴染みのサヤエンドウは出てきません。
代わりにウイルスに似たエイリアンの登場となるわけですが、原作の味の一つに植物のように生きれば争いは無い、というのがありまして、そこが薄れたのは残念。それらしいことはエイリアンも言ってますが、今回は完全に融合するタイプなので、余り説得力が無い感じ(肉喰うし)。
それに合わせて侵略=コピーを作られる恐怖も無く、融合中に少しグロいシーンはありますが、ほとんど全年齢OKというレベル。
まぁ、2大スターの起用ですから、バッドエンドになるわけも無く、実にあっさりと侵略は失敗し、邪魔者だけは死んだ、という形になってますね。
優秀すぎる科学者とウイルス物の定番の免疫保持者、これが揃えばこの手の映画は勝ったも同然でしょう。
むしろ、子供を守るためなら、殺人も辞さないという強い母が映画のテーマかな。
こんなにあっさりと治るなら、地下鉄構内で妻子持ちなのに射殺された男が哀れで仕方ありません。
誰でも思うことですが、争いの無い世界を第三者の介入で作るか、人類の知的成長で時間を掛けて作るか、というのはSF界でも古くから議論されている問題です。それを見守る監察官的なエイリアンが、地球人を見張っているというのも、よく聞く話ですね。私としては、人は人して成長し、それが滅びの道であっても自らの種の責任で行うべきだと思います。
内容としては凡作というか、全年齢版の侵略映画として、実に無難な仕事をした作品でした。
*ADEM・・・悪性脳腫瘍。炎症性脱髄疾患と呼ばれ、誘引としては感染後、ワクチン接種後、突発性と分かれ、今作では水疱瘡の感染から発症したことになっています。一度発症してしまえば、2度と発症することは無く、重篤で無ければ後遺症も比較的軽くて済みます。どういう仕組みで、これの罹患者からワクチンを作れるのか不思議で仕方ありませんが、ノーベル賞受賞者が続々と来てたそうですから、まぁ何とかしたんでしょうw
*フォートデトリック・・・メリーランド州にある米国科学細菌研究所(通称CBA)。最高レベルの防疫設備を備え、実験の内容は国家機密となっている。そのため、様々な憶測や陰謀説の舞台とされ、B兵器界のロズウェル及びエリア51として、その筋の方々に悪名高い。姉妹品としてニューメキシコ州ロスアラモス研究所も引き合いに出される場合が多い。
今作では、人類を救った正義の施設でしたね(いいか、悪いかは別にして)。
*昔から、どうせリメイクするなら、「トリフィド」をやってくれないか、と思っている。原作も設定が破綻しているので、そこらへんを上手く繕えば、それなりに面白い・・・ダメか。やっぱ木が歩いてきて盲目の人間を襲う映画じゃ、A級よさんどころか、B級も企画が通らないかな・・・。頑張れ、アルバトロス!
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