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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:INVASION OF THE BODY SNATCHERdeb3728c.jpeg
監督:フィリップ・カウフマン


ネタバレあり





私にとって、ボディスナッチャー/恐怖の街といえば、コレである。
名優ドナルド・サザーランド(24のジャック・バウアー役キーファー・サザーランドは息子である)の演技巧者としての実力、細部にまで拘った恐怖描写、当時としては斬新な技術と衝撃のラストなど、私的名作です。
これは、実際に演技を観てもらうのが一番なのですが、久しぶりに再見しながら始めます。

物語は・・・466d3340.jpg
何処かの惑星・・・そこから胞子状の物体が、地表を離れ、宇宙へと彷徨い始める。物体は、宇宙気流に任せて漂い、地球へと降りてきたのだった・・・。

植物に付着した胞子は根を張り、雨で水を得て、見る間に成長し花を咲かせた。公園を訪れた人や子供たちは、その見慣れない美しい花を摘み、家に持ち帰るのだった。公衆衛生局員のエリザベスも好奇心から花を持ち帰り、ベッドの横に飾っていた。

サンフラシコ公衆衛生局員のベネル(D・サザーランド)は、厳しすぎるチェックで嫌がらせを受ける男。今日もネズミのフンを料理から押収し、営業停止にした店の従業員に、車のフロントガラスを割られる。事務所で新聞の切り抜きに精を出しながら、検査員のエリザベスに、明朝のサルモネラ菌検査を連絡する。
翌朝、目覚ましで起きたエリザベスは、スーツ姿のジェフリーが割れた花瓶を掃除しているのを見る。エリザベスの問い掛けにも上の空のジェフリーは、表で停まっていた清掃車にゴミを出す。

公衆衛生局に出勤したエリザベスは、同僚のベネルとボガードに、恋人で歯科医のジェフリーの様子が変だと相談する。ベネルは、歯医者はみんな変だと笑い、昨日のレストランからネズミが捕獲された件で忙しくなる。

帰宅したエリザベスは、ジェフリーの様子が変なのは自分のせいか、と歩み寄りを見せるが、ジェフリーは楽しみにしていた試合のチケットも処分して、これから出掛けるという。ジェフリーは、迎えに来た車で何処かへ行ってしまい、悩むエリザベスはベネルの家を訪れる。ジェフリーが別人のように感情が感じられない、というエリザベスにベネルは食事を共にし、精神科医のキプナーを紹介しようと勧める。務めて明るく対応するベネルは、エリザベスに目玉を動かす特技をさせ、不安を減らそうと笑わせてくれる。

翌日、クリーニング店を訪れたベネルは、店主から妻のテンが別人だ、と相談を持ちかけられる。

エリザベスとの連絡が取れなくなったベネルは、自宅のマンション前で、品定めをするような視線の後で、エリザベスに泣き付かれる。別人になった者同士は、何らかの手段で意思を伝え合っているとエリザベスは言う。
今朝、ジェフリーのオフィスに行ったエリザベスは、窓の下を歩く姿を見かけ後を着けた。ジェフリーは、共通点の無い男女と、行く先々で何かを受け渡ししていた。エリザベスの様子を心配するベネルは、改めてキプナーに会う様に勧めるが、エリザベスは生まれ育ったこの町の雰囲気が違っていることを感じていた。
軽いジョークで気分を解そうとしたが、見知らぬ男が車を叩き「奴らが来る、助けてくれ」と叫び、何かに怯えるように走り去った。路地の角では、さっきの男が撥ねられ、周りを無表情な群集と警官が囲んでいた。

キプナーの新書発表パーティーに来た2人は、ベネルが警察に事故を届けている間に、エリザベスは主人が別人だと泣き崩れる女を見る。その場は、キプナーの取り成しで治まったが、エリザベスは女に公衆衛生局に電話するように忠告する。ベネルの紹介で相談に連れ出したキプナーに、エリザベスは相談をしようとするが、一方的に話を押し切られてしまう。エセ詩人のペリチェックも利用して説得したキプナーは、エリザベスには治療が必要だと告げる。

キプナーの文筆家としての態度に我慢できないペリチェックは、苛立ちを隠せずに、父親が経営する泥風呂エステに来ていた。エステ店では、植物の成長に良いと言われる音楽を流し、ナンシーが客にマッサージもしていた。常連のジアンニは、ナンシーとSF小説の話をした後で、植木のお礼を言われて帰って行った・・・。

帰宅したエリザベスは、ジェフリーのプレゼントと思った植木を見つけて、少し気分が和らいでいた。

b965e303.jpg一方、エステ店では、ベッドに奇怪な姿をした人体が横たわっていた。
伝染病患者と思ったペイチェックは、警察の前にベネルに来てもらった。
人体には、鼻、唇、毛髪と必要な物は揃っているが、はっきりした形になっていない。指紋が無く、全体を羊膜のようなもので包まれた人体を見ていたベネルは、ふいにペイチェックの身長と体重を聞く。そして、エリザベスに電話を掛けるが、彼女と連絡が着かない。不安を感じたベネルは、すぐにエリザベスの家に向かった。
残ったペイチェックは、ナンシーの勧めで薬を飲み、横になる。すると、人体の輪郭がハッキリとし始め、瞼を開いた。驚いたナンシーは、ペイチェックを起こす。人体が自分によく似た姿に変わりつつあるのと、手に根の様なものが伸びてきたのを見て驚いて走り出す。
入り口にはキプナーが来ており、ペイチェックは2度ビックリ。
28de3bea.jpg7ca2aec7.jpg
エリザベスの家に着いたベネルは、裏口の窓を割り中に侵入する。ヘッドフォンをしていたジェフリーは、異変に気づかず、ベネルはエリザベスの寝室に入る。
先に温室を見たベネルは、そこに羊膜に包まれたような全裸のエリザベスを発見し、振り返るとベッドにも彼女が居た。人の気配を感じたベネルがクローゼットから盗み見ると、ジェフリーが何かを確かめるようにエリザベスの頭を触っていった。エリザベスを抱え、家から逃げ出すベネル・・・。

一方、エステ店では、キプナーに驚いている間に、謎の人体が消えていた。エリザベスを連れて戻ったベネルは、警察に電話を引き連れ、エリザベスの家に向かった。だが、すでに複製は消えており、キプナーの取り成しで逮捕はされなかったが、証拠は何も得られなかった・・・。

一旦、キプナーの家で何が起こっているのかを整理する面々。目を開け、鼻血を出したエステ店のペイチェックの複製と温室のエリザベスの複製。成長に差はあるものの、人間の複製化が行われている、とエリザベスは言う。複製されると、本体は処分されるが、死体は見つかっていない。半信半疑のキプナーに苛立つエリザベスとペイチェックだが、親友の言葉なら信じようと言うキプナー。
ベネルは、伝染病汚染のような非常事態措置を取りたいといい、パニック時の警察と軍隊の出動に必要な市長命令をキプナーに出させてくれ、と頼む。
だが、了承したキプナーは、車の中で他の仲間と会い、「早い方がいい」と教えていた。

キプナーの部屋で花を見つけたペイチェックを見て、ジェフリーや客のジアンニも持っていたと気づく。この寄生植物が関連しているのかも、というエリザベスに、SF好きなナンシーは宇宙植物よと熱弁する。宇宙人による人間起源説を信じるナンシーは、この寄生植物を宇宙から来た危険なものだ、と言う。

事務所からキプナーに電話をしたベネルは、留守だったので検察に連絡する。偽者の件だと告げると、他には話していないな、と念を押され、電話の側で待っていてくれと言われる。
d27bd2e9.jpg
エリザベスは、例の花の分析をボガードに依頼し、24時間で結果を出して欲しいと頼む。

折り返し市長特別補佐から電話が入り、ユニオン・スクエアで会ったベネル。明日も会う約束をし、市長にキプナー博士から電話が入り、事態は沈静化に向かっているとのこと。連邦準備局は、組織サンプルが無く結果だけが先行しているので他の人に話さないように、と言われる。めまぐるしく事態は推移し、結論は、もう終ったと言われるベネル・・・。
クリーニング店の主人は、妻がよくなったと言い、キプナーのパーティーで出会った婦人も夫はもう大丈夫と伝えに来た。異常や不安を訴える者がいなくなり、24時間放送の局が沈黙し、表には工事用トラックが停まっていた。不安が残る者だけが、キプナーの家に残り、ベネルはテラスに腰掛け夜の街を見ている内にうたた寝を始める・・・。
01d571e0.jpgb34ab015.jpg
眠り続けるベネルの側で、急速に成長した花は実をつけ、それはベネルやペイチェツク、ナンシーの姿へと成長していた・・・。
エリザベスの呼び声で目覚めたベネルは、皆を起こし警察に電話をする。警察は、名乗る前からベネルを知っており、他に連絡しようとするが、すでに家の周りは囲まれていた。もう、どこにも助けは求められない・・・。事態を把握した4人は、裏口から逃げ出し、ベネルは自分の複製をバールのような物で破壊する。
奇声で呼び合いながら追いかけてくる複製たち。4人は追っ手をやり過ごそうとするが、相手は大勢な上にヘリまで投入してきた。ペイチェックが囮になり、ナンシーも後を追いかけて行った。

残された2人は、追っ手を気にしながら歓楽街を抜け、タクシーで空港に向かう。
『610号車 空港へ向かう 乗客2名 H型』
そう無線で連絡すると、運転手は気さくに話しかける。タクシーは検問所に掴まり、運転手は2人だと警官に告げる。だが、すでに異変を感じた2人は、逃げ出した後だった。
5448963b.jpg
公衆衛生局のラボに隠れた2人は、窓の外で広場に集められる人々を見る。
彼らは、そこでサヤを渡され、眠りに入れば複製にされるのだ・・・。
ボガードの覚醒薬を見つけた2人は、とりあえず容量の5倍を飲んだが、そこにキプナーたちが現れる。
『生まれ変わるんだ、悩みも苦労もなくなる・・・恐れも、憎しみも』
「殺すのか?」
『そうではない、心も記憶も吸収されて、全て無傷で残る』
2人に鎮静剤を射ち終えた一団は、その場を去っていく。
我々には、恨みも憎悪も愛も必要ない』とキプナーだった者は言う。
エリザベスは「愛してるわ」と言い、「戦う者は、まだいる」とベネルは言う。
2b46ec9c.jpg
固定観念を捨てろ、新しい生命体に進化するんだ

置かれた2つのサヤを見た2人は、キプナーを殺し冷凍室に押し込んだ。

逃げ出した階段でナンシーと再会した2人は、奴らをやり過ごすには感情を表に出さず、寝る時は交代で見張れば大丈夫と言う。
奴らに不審がられないように感情を押し殺して列に並んでいた3人だったが、そこにどういう実験の産物か、人面犬が走り寄ってきた。
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この反則技に当然3人は、ビックリ!それでも抑え込んだナンシーは別にして、異変を察知した奴らが奇声を上げ、ベネルとエリザベスは一気に追われる身に逆戻り。

倉庫へと身を隠した2人は、サヤの栽培場を発見する。
いつのまにか巨大な施設が出来ており、奴らは作業を着々と進めていた。
敵の大掛かりな侵攻に絶望したエリザベスの耳に、栽培場から音楽が聞こえてくる・・・。植物の生育に良いとされるメロディー、しかし今では人類へのレクイエムのようだ。
栽培場の偵察に出たベネルは、気象情報から強風が来ることを知る。
エリザベスの下へ戻ったベネルは、彼女が深い眠りに落ちているのを知り、「愛してる」と囁く。
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朽木が崩れるように散ったエリザベス・・・その死を嘆く暇も無く、すぐ側の茂みから複製が立ち上がった・・・。
「恐れる事はないわ・・・何の苦痛も無いのよ」
マシューマシュー、シュー・・・とミドルネームを呼び続ける複製の声から逃れるように、ベネルは走った・・・。

大型トラックを抜け、栽培場の屋根へ昇り、眼下に広がる無数のサヤを見下ろすベネル・・・。75d11420.jpgb20eb051.jpg
防火装置の斧を手にしたベネルは、屋根に設置された照明を壊して回り、栽培場に火を放つ。
ビニールで覆われた外幕は簡単に燃え広がり、栽培場は火の海と化した。その中を進む全裸の女、複製のエリザベスが屋根を指差して奇声を上げた・・・。
追いすがる複製から逃れながら、栽培場を脱出するベネル・・・。

朝になり、スクールバスで運ばれてきた子供たちが、公会堂へと進んでいく。
衛生局のラボは、以前のように白衣を着た分析官が研究をしている。
そんな光景を見ながら、ベネルは新聞を切り抜く作業をしていた。
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仕事を終えたベネルが、外へ出ると、自分に呼びかける声がする・・・。
「・・・マシュー」と嬉しそうに歩み寄るナンシー。
デネルは、ゆっくりと指を刺すと、耳を劈く奇声を上げ始めた・・・・・・THE BAD END


と、いうわけで救いの無いバージョンで終る2作目のリメイクでした。
前作『ボディスナッチャー/恐怖の街』('56)が劇場未公開ながら高い評価を受けたので、この'79版がリメイクされたのも自然な事なのですが、主演にD・サザーランドを起用したのが正解。
異様な存在感があるキプナー博士役をレナード・ニモイ(スター・トレック/ミスター・スポック役)が演じているのも、ファンには嬉しい点ですね(殺されますけど)。
今観ると、さすがに特殊技術は見劣りしますが、複製途中の気持ち悪さは『インベーション』の比じゃありません。'07年制作の方が劣るというのもどうなの?と思いますが、切り口が違いますので、一概に比べちゃ可哀想ですね。

私がボディスナッチャー4作で、コレを一番に押す理由は、演技力と緊迫感。衛生局員と言っても銃を携帯してるわけじゃなく、本当に一般市民レベルで侵略に対抗する面々の無力さと絶望感、そして人間の意地。よく観ると、演技力が映画の魅力の80%は貢献しているのが良く判ります。そのぐらい個性的で実力派が揃っているわけです。そんな人達ですから、侵略に抗しきれずに敗北のENDを迎えるわけですが、一矢は報いたという満足感だけで、充分に戦い抜いた彼を褒めてあげたい。
ラストで奇声を上げるシーンと絶望するナンシー(エイリアンでランバート役をしてた女優さんです)。
SF映画は、こうでなくては、という私的好奇心を満足させてくれた一本で、生涯でもSFランキングベスト3に残り続けるでしょう(私の脳内ですが)。

*この作品の後で、有名になった役者は多くいます。時間があれば、ぜひ誰がどうなったのか調べてみることをお勧めします。
*この映画の恐怖感を煽る演出は、現在でも通用する斬新な手法が多く用いられています。目を見張るような特殊技術はありませんが、人間を見つけた時に上げる奇声、無言で迫ってくる増える群集、無表情に死んだ男を囲む複製たち、誰が複製なのか判別できない恐怖と緊張感、少数派になっていく人類と多数派の複製との力関係の変化、感情を失い平和な世界が訪れる世界の是非・・・何度もリメイクされる理由は、どの切り口をクローズアップしても作品として成立する点でしょう。そんな中で、私は今作が一番好き。

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