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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:THE MIDNIGHT MEAT TRAINfad2ec20.jpeg
監督:北村龍平
脚本:ジェフ・ブーラー
製作総指揮:クライヴ・バーカー
ネタバレあり




『ゾンビ・ホスピタル』の監督が脚本をやっているので、それ繋がりで紹介。

監督の北村は、知る人ぞ知る風雲児で、邦画でも『ゴジラFW』や『あずみ』等の大作を手がけた。だが、本人の意固地な性格や反骨心は日本向けの器量では無く、ハリウッドに席を移すことになる。しかし、製作会社が第一作目として比較的仕事がやり易い、続編モノや原作付きを回しても、やる気になれないと断り続け、今作が初のハリウッド作品となる。『真夜中の人肉列車』は、もちろんクライヴ・バーカーの良作の一つで、原作付きを断ってきた北村が引き受ける気になったのは、かなりの無理を原作者側に叩き付けた結果と言われる。製作現場では、常にケンカが絶えず、制作・配給サイドとも揉め続けたが、完成後はクライヴ・バーカーも北村の仕事を評価し、ライオンズゲートとの仲裁に一役買うなど協力的だったという。反面、宣伝広告や上映サイドの扱いの悪さから知名度は低く、結果としてDVD売り上げを加算しても大赤字という結果に終った作品である。

前置きが長くなったが、さて、肝心の物語は・・・
退廃と悪徳の街N・Yの地下鉄で、目覚めた男・・・通路は大量の血で染まり、次の車両では、肉切り包丁を振り下ろす男の姿が・・・

レオンは、恋人のマヤと同棲中の売れない事件専門のカメラマン。今日もロシア人の起こした交通事故をフィルムに収めたが、余り良いショットが撮れていない。
マヤは共通の友人のユルギスから、芸術家のスーザン・ホフをレオンに紹介してもらう手筈を整える。著名な芸術家との対面に興奮を抑え切れないレオンは、N・Yという街の真の姿を撮りたい、と夢を語る。しかし、スーザンは彼を力不足と判断し、次の作品に期待すると言って3分で席を立つ。
MNMT1.flv_000656033.jpg
スーザンの言葉を認めたレオンは、街の真の姿を求めてシャッターを切る内に、地下鉄のホームへとたどり着く。そこで3人組の黒人強盗に襲われている日本女性を見つけ、シャッターを切り続けるが、監視カメラを使った機転で強盗を諦めさせる。レオンに感謝した彼女は、レオンにキスを送り、レオンは電車で別れ際の彼女の写真を撮影する。

次の朝、強盗の写真はマヤに好評で、是非スーザンに見せるべきだわと微笑む。気分が軽くなったレオンは、行きつけのカフェスタンドで豆腐ステーキをやってもらいながら、新聞の記事に目を奪われる。そこには、昨夜の女性が早朝に消えた、という写真と文面が載っていた。彼女の名はエリカ・サカキ、写真を撮った直後の午前2時に消えていた。すぐに警察に行き、昨夜の事情を説明するが、受付は言葉をはぐらかし追い返されてしまう。
写真のほうはスーザンに好評で、3週間後のグループ展までに、後2つ作品を持ってきて、と言われる。著名な芸術家に認められれば成功も夢ではない。マヤとユルギスと祝杯を挙げ、すぐに次の写真を撮りに出掛けるレオン。
MNMT2.flv_000334333.jpgMNMT2.flv_000401233.jpgMNMT2.flv_000394966.jpg
深夜の地下鉄では、無表情なスーツ姿の男が、3人連れを屠殺用ハンマーとフックで惨殺していた・・・。

昨夜の写真の出来栄えが嬉しかったレオンは、また地下鉄入り口のベンチに来ていた。そこへ、エスカレーターで静かに上がってきたカバンの男を撮影・・・。興味を引かれたレオンは、そのまま理由も無く男の後を尾行するが、角を曲がった所で、男の待ち伏せに遭い胸を拳で叩かれ、写真を撮りたかったと正直に答える。
MNMT2.flv_000515433.jpg家で現像をしていたレオンは、エリカを撮った写真に写りこんだ右手の指輪と、昨夜の男の指輪が同じである事に気づく・・・。

レオンは、あの男が入ったアパートを監視し、尾行を始める。男の向った先は、食肉の処理場で、男はそこで働いていた。勤務を終えた男は、地下鉄のホームでカバンを抱えてベンチに座り、人気の無くなった電車に乗り込む。後を追いかけようとしたレオンだったが、警備員に捕まり所持品のチェックを受けている間に、地下鉄は走り去ってしまった。

一方、男は車内で黒人を襲うが、発作のように吐血して、手からハンマーが滑り落ちる。大男の黒人は、懐からナイフを取り出すと、男に反撃を加え、2人は互角の殴り合いになる。MNMT3.flv_000115566.jpg
どちらも武器を使い、タフに殴りあうため、車両はお互いの血で染まっていく。
そこへ、騒ぎを感じた運転手が、操縦車両から出て、銃を発射する・・・。
・・・弾丸は、黒人の後頭部を打ち抜き、貫通した銃弾は右目を吹き飛ばす。
「失望したよ、マホガニー君」
咳き込むマホガニーに片づけを命じる運転手。

レオンは、成功の兆しが見えてきたので、マヤに指輪を贈り、2人は愛し合う。激しいSEXに猛ったレオンは、悪夢でマホガニーに首を斬られ、飛び起きる。

マホガニーは、自分の部屋の洗面所で、胸の無数の腫れ物を削除していた。MNMT3.flv_000335566.jpg
削ぎ落とした肉片は、液体の入った瓶に入れ、深く咳き込む。
そして、薬瓶から錠剤を取り出して口に入れると、疲れたように軽く深呼吸をした・・・。

レオンは、例の男についての疑念を忘れてはいなかった。マヤには、写真を警察に渡して、展示会用の作品を撮ったらと言われるが、図書館の記録フィルムで古い新聞記事を調べていた。
次に食肉加工場の服装で変装し、内部に侵入したレオンは、そこで目的の男と目が合ってしまう。冷蔵肉の林の中で、息が詰るような逃走があり、配送用のトラックに掴まってレオンは窮地を脱する。

行きつけのカフェで一息ついたレオンだが、以前は口にしなかったステーキをユルギスの皿から盗み食いし、自分でも肉を注文する。
1895年12月19日・・・殺し屋肉屋(キラー・ブッチャー)の調査、市役所で続く。
1896年4月11日・・・肉屋が行方不明者に関与。
過去3年間の行方不明者は、死体も脅迫状も無かった。レオンが追っている男が勤めている加工場は、過去の新聞記事と同じ場所だった。興奮を抑え切れないレオンは、困惑するマヤに矢継ぎ早に話し立て、犯人はあの男だと言う。
明らかに興奮しているレオンに、マヤは肉屋の事は忘れて、陰謀説や酷い写真じゃなく、貴方が楽しくなるような写真を撮ってと頼む。
「君を・・・愛している」と、ポーズを取るマヤにカメラを向けるが、シャッターを切ろうとすると、食肉場や強盗・・・エリカやあの男が現れて、どうしても写真が撮れない。傷ついたマヤに弁解するために店を訪れたレオンだったが、鏡に映ったあの男を見つけ、引き寄せられるように後を追って行ってしまう・・・。

同じ地下鉄に乗り、隣の車両から男の様子を窺うレオン・・・。麻薬売りの少年2人が、あの男に話しかけるのを窓から見つめる。男は何事も無くドラッグを買い、次の駅を過ぎると、ハンマーを振り下ろし始めた。
MNMT4.flv_000471600.jpgMNMT4.flv_000442266.jpg
レオンが見ている前で、マホガニーは少年達の衣服と靴を几帳面に脱がし、抜歯、剥爪、剃髪、眼球除去を行うと、フックを掛け手摺に食肉を並べるように吊り下げていった・・・。

作業が終ったマホガニーと目が合ったレオンは、堪らず最前部の車両へと助けを求めるが、追いついたマホガニーは無表情にレオンの頭を掴むと、ガラスに叩きつけ昏倒させてしまう・・・。
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レオンが目覚めたのは、逆さ吊りの状態だった。車両の窓からマホガニーの顔が逆さに見える・・・。次の瞬間、形容しがたい黒い何かが体を引っ掻き、初めてマホガニーの表情に曇りが表れた・・・。

加工場で目覚めたレオンは、家の洗面台で、自分の胸に刻まれた傷痕を見て打ちのめされた気分になる。
マヤに今までのことを説明するが、自分が疑われていると感じたレオンは、通報しようとしたマヤの電話を取り上げる。

レオンの様子が尋常では無いと分ったマヤは、ユルギスに協力を頼み、男が利用しているホテル・バークレイに行く。男が外出したのを確かめて、レオンのカメラを取り返すために、ユルギスに見張りを頼み、一人で部屋へ入るマヤ。部屋の引き出しには、禍々しい無数の専用器具が並び、見張りより手分けをした方が早い、とユルギスも部屋に入ってきた。同じスーツが並ぶクローゼットでユルギスはカメラを見つけ、マヤは洗面台の裏棚の瓶を手に取るが気持ち悪さに落としてしまう。隣の部屋のテーブルで、カバンの中の紙入れを見たマヤは、印の付いた100年近く前からの時刻表の束を見つける。MNMT5.flv_000464533.jpg
ユルギスを呼ぶが返事が無く、不穏な気配を感じたマヤは、急いで部屋から逃げ出した。
浴室では、マホガニーが胸の傷痕から血を流し、静かに浸かっていた・・・。

警察に行ったマヤは、ユルギスの行方を尋ねるが、現場からの報告は、住人は丸一日部屋には居なかった、というもの。焦ったマヤは、今までの経緯を説明するが、「思い出のアルバムが無くなっているので、それを返してくれれば告発はしない」と住人は言っており、マヤたちが行ったのは不法侵入だ、と逆に問い詰めてくる。無くなった物はユルギスが持っている、とはぐらかして警察から逃げ帰るマヤ。

その頃、レオンはスーザンの展示会に来ていた。芸術家のサロンのような空気で、ゴシップや賛辞を受けるレオンだったが、自分が撮ったマホガニーの写真を見つめる内に、スーザンに「電車に乗らなければ」と言い残し、何かに操られるように展示会を後にする。

警察を逃げ出したマヤは、仕事先の店で防犯用の拳銃を持ち出すと、レオンにユルギスが肉屋に殺されたと電話をする。そこに、警察署の受付をした黒人女性が現れ、アレを渡して、とマヤに迫る。拳銃を構えてユルギスの居場所を聞くと、「14番通り2時過ぎの最初の列車」と答えた。

マヤは、意を決して列車に乗り込む。
レオンは、加工場でチェーンエプロンと無数の金物を見に付けると、フックを握りしめた。
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地下鉄は、存在しない筈の食肉加工場地下の駅を通り過ぎ、車両の中にマヤの姿を見つけたレオンは、フックを使い飛び移る。
終着駅を目指して地下鉄は、2人を乗せて走る・・・。

MNMT6.flv_000201633.jpgMNMT6.flv_000241800.jpg手摺に並ぶ人肉の中からユルギスを見つけたマヤは、余りの光景に驚愕する。まだ、息のあるユルギスを救おうとフックを外しに掛かるが、マヤの力ではイタズラに痛みを与えるだけで、どうにもならない。
ユルギスの悲鳴を聞いたマホガニーは、死体の処理を中断する。
現れたマホガニーに向けて発砲するが、揺れる車内では当たらない。逃げ出したマヤの背中に、マホガニーが投げたハンマーが命中してしまう。
そこに最後尾から追いついたレオンが現れ、ついに2人の死闘が始まった・・・。
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マホガニーのハンマーが唸りをあげ、レオンの包丁が空を斬る。掴みかかり、殴り合い、頭突きを入れ、人肉が揺れる異常な光景の中で、血みどろの戦いは続く。
マヤの銃弾を受けても、死肉の腕を千切り投げつけるマホガニー。振り下ろされた包丁で両手を貫かれてもガードするレオン。巻き添えでユルギスが死んだが、死力を振り絞ったレオンの捨て身の攻撃で、ついにマホガニーは車外へと消えた・・・。

抱きしめ合うレオンとマヤ・・・。
その時、地下鉄は終着駅『GREEN WAY』に到着した。
MNMT6.flv_000556800.jpgMNMT6.flv_000597500.jpgMNMT6.flv_000621300.jpg
「肉から離れてください」と言い残して運転手は消える。異様な唸り声が辺りを包み、異形の影が車内へ肉を求めて入ってきた。車外に飛び出した2人を待っていたのは、傷を負いながらも生きていたマホガニー・・・。
再び、レオンとマホガニーの死闘が再開され、人骨が転がる大地の上で、同じ胸の傷を持つ2人は戦う。
MNMT6.flv_000733866.jpg死闘はレオンが勝った・・・首を貫かれたマホガニーは「歓迎する」と言い残し、ナイフで後頭部から口を貫通されて果てた。

力を振り絞ったレオンの前に、運転手が現れ、無表情にレオンを見つめる。
肉は集めねば・・・名誉な仕事だ。君が羨ましいよ
掴み掛かるレオンを軽々と宙吊りにした運転手は、無造作に口に手を入れ、舌を引き千切った。
口から血泡を吹くレオンを投げ捨て、千切った舌を口にする運転手・・・。
MNMT7.flv_000057966.jpgMNMT7.flv_000055833.jpg
人類誕生以前から続いていた・・・組織によって秘密を守ってきたが、お前が見つけ出した。
我々が保護し、飼育している・・・注文された肉には応じるしか無いのだ。

お互いの世界に干渉しないために・・・

死体の山に積み上げられたマヤの胸に刃が突き立てられ、運転手は一気に腹まで切り開いた・・・。
仕えてもらうぞ、我々のように・・・異議は許されん・・・。レオンの言葉にならない絶叫が死界に響いた・・・
MNMT7.flv_000103566.jpgMNMT7.flv_000125833.jpgMNMT7.flv_000195366.jpg
街の真の姿、知ってはならない世界に踏み込んだ男は、全てを失い名誉な仕事へ向う・・・・・・END


まぁ、クライヴ・バーカーが、途中で文句を付けたのも理解できる。別に信者じゃないが、バーカーの筆致はモダンホラー界でも匠の領域に達しており、その息遣いすら感じる変態・猟奇の自己開示性には頭が下がるからだ。
自分の「口に出せないような酷い思いつき」を公開しているのだから、作品を尊重して欲しいだろう。
それを映像化するのだから、北村監督とケンカになっても仕方がない、クリエイターの土台が違うからだ。
北村流の映像への拘りは充分に発揮されていて、良い意味で日本人が撮ったとは思えない出来栄え。
北村は北村であって、他の誰でも無いのだ、という彼の怒声が聞こえて来そうである。
多少の歯車の噛み違いはあるにせよ、この映画が一級のゴア作品であることは間違い無い。

単純に纏めてしまうと、人肉を食べる連中がいて、それに応じないと人類社会が危ないので、定期的に供給する組織と死肉処理人が必要なんですよ、という物語。
人肉喰いが何なのかは明記していないが、クトゥルフ好きは地の眷属、ファンタジー好きはグール、神秘主義者は悪魔、とでも勝手に解釈すれば良い。

見所は、現代社会の地下鉄で殺人があり、更に食肉として淡々と加工されているという点のみ。文章で想像力を働かせて震えるも良し、今作の映像でビビルのも良し。
面白いのは、その徹底した処理過程で、着衣や靴をキチンとビニール詰めして、神経質なほど整列させているシーン。気持ち悪いのは、一連の工程かな。
人肉がブラブラしてる中での死闘というのも、余りお目に掛かれないので、主人公やヒロインの苦悩は別にして、完全に肉扱いされているのも、ここまで徹底されると大したもんだと思う。
ゴア好きは、必ず観ておいた方が良い。

*ハリウッドの裏側で、ライオンズゲートのお家騒動の巻き添えを喰ったそうな。当のクライヴ・バーカー自身がブログや掲示板で激発していたので、本当のことだろうけど、どんな状況でも面白い作品は必ず評価されるもの。視聴者は、それほどおバカでは無い。
*相変わらず独自の路線を生きる北村の次回作は、本当に完成しないと判らない。候補になったとか、決定とニュースが流れても、本人の気分次第で立ち消えが当然のように起こりうるから。才能だけを頼りに、これだけ奔放に生きられたら、人生もさぞや楽しいだろうね。

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