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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:Hell's Ground3468c029.jpegef1ecc43.jpeg
監督:オマー・カーン


ネタバレあり



世界のゾンビシリーズ第三弾『パキスタン産』。
「ムシャラフしてやった、今は辞任している」という、某掲示板で有名な言葉を生んだ国。
地理的に大国の思惑に利用されやすい場所にあり、インドとは犬猿の仲、米・露・中の3大国の何れもが影響下に置きたがっているが、軍部主導のかなり強かな外交政策を用いている。ちなみに核兵器保有国

物語は・・・01.mp4_000073106.jpg

夜の道を走るスポーツカー・・・洋楽が流れる中で通りがかったのは『ジャンナット・プル』。突然、ヘッドライトに浮かび上がった白い影に驚き、事故を起こした白人男性は、何者かに襲われ家畜のように引き摺られていく・・・。

『この先には地獄が待っている。この道は地獄への道なのだHAHAHA・・・』

と、いうわけでコミック調のタイトルバックに陽気なパキスタン音楽が流れる。(この音楽が妙に脳に残るというか、焼きついてくる。こんな体験は、トマト以来である。)

気を取り直して、荒んだ家庭に育った真面目なサイモン、お嬢様のアイーシャ、ホラー映画好きなOJ、運転手のヴィッキー(痛車)、米国からの留学生ロキシー、の5人はライヴを観るためにドライブに出かける。途中で有名だという『ディーワナの店』というチャイ(甘い紅茶)とスペースケーキ(大麻入リ饅頭)の店を見つけて立ち寄ることにする。
ホラー好きなOJは、ドラキュラ役の俳優に似ている店主を見て大興奮。世界の著名人がチャイを呑みに来ると自慢する店主から、500ルピーで饅頭を買うが、アーイシャは「地上の地獄」という不吉な言葉を贈られる。

サイモンが地図を見て近道を発見し、運転主のヴィッキーは嫌がるが、ライヴの時間のために通ることにする。ところが、満タンのはずのタンクが空に近づき、皆は大麻で楽しむが、不穏な空気が漂う。
OJは、饅頭に中り川に嘔吐するが、そこを奇怪な人間に襲われ、足を噛まれ怪我を負ってしまう。

02.mp4_000055021.jpgOJの治療のためにも先を急ぐ一行だったが、その前に無数の人影が現れ、車を取り囲む。明らかに異常な風体をした一団は、醜悪な姿で窓から入ってくる者もいたが、それを外へ放り出して車は逃げ出す。

水質汚染の映像と、奇形によるカニバリズムがカットインされながら、車は体調の悪いOJを乗せて進む。

そして、夜・・・車は、すっかり道に迷い、車内には険悪なムードが流れ始めていた。アーイシャは店主の言葉を思い出し、「これは地獄への道よ」と言う。
その時、暗い森の中に点々と灯りが並ぶ一軒家を見つけたヴィッキーは、不気味なオブジェが並ぶ家の中へと道を尋ねに入った。家の中に居た男は、ジャンナット・プルへの道案内を申し出て、車に同行してくれた。

だが、すぐに呪い師のような風体で数珠を手繰りながら、水をくれ、くれないとお前らの血を吸ってやる、と喚きながら、袋から生首を取り出す。パニックに陥った車中で、男を外へ放り出すと、ヴィッキーは車の前に立ちふさがる男を轢く。02.mp4_001004403.jpg
しかし、車はすぐにガス欠になり、自責の念から自暴自棄になったヴィッキーは、アーイシャが見つけた明りの方へと一人で行くと言い張る。ロキシーに気をつけて、とガラス越しの投げキスを貰っている間にも、OJくんの様子は、もうただ事ではないレベルになっていた。→

工場まで1.6kmの看板を見つけ、祈るような気持ちで進むヴィッキー。
その頃、車中では転がってきた生首にパニックを起こしたロキシーが、一人で外へ飛び出して行った。
明りの点いていた家は、02.mp4_001202301.jpg02.mp4_001220385.jpg腐臭が漂い、古い蓄音機が回り続けていた。
円卓に座る一家が、全員死んでいると気づいた瞬間、右のようなテロップ『そして、悪魔が現れた』が入り、物凄い勢いでヴィッキーは刺殺されると、お持ち帰りされました。

ロキシーを見つけられずにサイモンとアーイシャが戻ると、車からOJが消えていた・・・。

そのロキシーは、うろついている内に小屋へ入り、中を進むと02.mp4_001485550.jpg手際よく捌かれているヴィッキーと対面。悲鳴を上げまくったので、奥の連邦の白い悪魔が気がついて、ガンダムハンマー鉄球を手に追いかけてきた。
逃げた先に小さな小屋を見つけたロキシーは、中に入ると安堵からか気を失ってしまう。
意識を取り戻すと、視界には老婆がいて「森には危険な獣がたくさん居るが、ここにいれば安心だよ」と笑ってみせる。得体の知れないスープを御馳走になりながら、事情を聞かれたロキシーは、ドライブに来たと答える。老婆は、嫁に行かない娘は困り者だが、独身の息子よりずっといい、と言い「これで娘が出来る・・・アラーの神様からのお恵みだね」と遠い目をする。
やがてロキシーの怪我に気がついた老婆は、長男の医者から薬を貰ってきてやる、外は危険な獣がいるから出てはいけないと言う。出掛けるためにブルカ(イスラムの女性用ベール)を被った老婆を見て、自分を襲った男もブルカを着ていたと叫ぶ。老婆は、ブルカを着る男なんているもんか、と笑いながら出掛けてしまう。
03.jpeg
その頃、ロキシーとヴィッキーを捜すサイモンとアーイシャは、不気味な小屋でガソリンを見つけ外へ出た所を、ハンマーを振り回すブルカ姿の大男と遭遇していた(格好良いな)。

二手に分かれて逃げるものの、サイモンが転んだ所にハンマーが炸裂。
車に辿り付いたアーイシャは給油を済ませ、懸命にエンジンを掛ける。

老婆の小屋に残されたロキシーは、部屋にあったアルバムで、老婆の狂気を知り白骨死体も発見する。叫びまくって、小屋から逃げ出すロキシー。

その頃、老婆は長男のバレイを見つけたが、それは5人が轢いた呪い師風の男。03.mp4_000849615.jpg
あいつらが、悪魔に会わないよう正しい道を教えてやろうとしたのに・・・」と言い残して絶命する。
復讐に燃える老婆は、娘を呼び寄せ、兄の仇を討つように叫ぶ。
運悪くそこへ走り出たロキシーは、ブルカ姿の怪人に捕まり、首の骨を捻じ切られる。
娘の強さを思い知ったか!」と高笑いの老婆。
一人たりとも逃がすんじゃないよ!の命令に風のように走り出す。

ようやくエンジンが掛かり、ヘッドライトが照らし出したのは、白いブルカの怪人。鉄球を振り回し、車を破壊する相手に逃げるしかないアーイシャ・・・。しかし、有刺鉄線の罠に掛かり、足に傷を負う。だが、彼女は生き延びるために、落ちていた木材に自分を傷つけた有刺鉄線を撒きつけ武器を作る。03.mp4_001140038.jpg
木の後ろから様子を伺い、後頭部に思い切り叩きつけ、怪人を昏倒させる。呼吸を確かめるために近づくと、怪人はくぐもった声を出しながらアーイシャに抱きかかる。パニック状態になりながら、落ちていた石で怪人が動かなくなるまで何度も何度も叩き続ける。半ば放心状態のアーイシャは、怪人が使っていたハンマーを見つけると、その柄で、また幾度と無く胸を突き続け、最後に深々と突き立てた・・・。

朝が来て・・・
03.mp4_001215013.jpg03.mp4_001219151.jpg
森の中をさ迷うアーイシャ、その手には『神は偉大』と彫られたネックレス。

朝焼けの向うに、見知った背中を見つけたアーイシャは「OJ?」と声を掛ける・・・・・・END



邦題の不安感に反して、最後まで観れる作品。
脚本は、やや迷走気味で・・・クライモリ的な環境破壊→ヒルズ・ハブ・アイズみたいな奇形と突然変異の襲来→ゾンビのような感染→13金っぽい殺人鬼の襲撃→悪魔のいけにえ風味の家族→ヒロインの覚醒&大反撃→忘れてたわOJ、でEND。
つまり、何処かで観たような映画の良いとこ取りパキスタン風味なわけで、監督のホラーマニアぶりが随所に光るホラーへの愛が溢れる作品。制作国が常に政情不安定だということを思うと、そんな国でもこういう映画を撮る人がいるのだなぁ、と尊敬すら覚える。
随所にコミック調のカットインが入るが、これも『D&B DEATH AND BREAKFAST』の影響と思われる。

物語に関して、どうしても書いておきたい私的解釈を一つ。

老婆の息子が言っていた「悪魔に会わない様に道を教えてあげようとしたのに」という言葉は、多分本当環境汚染で、ほぼゾンビ化した村人を悪魔と呼んでいるんでしょう、この家族は。
水だ、血だ、と騒いでいるのも、よく意味を考えれば、OJが感染しているから、そうなるぞ、気をつけろ、と言いたいんだけど、言葉の使い方がメチャクチャだったので、狂っているようにしか思えなかった、と。

殺人鬼と呼ばれるブルカ着衣の発育の良すぎるは、兄が撥ねられたので復讐に来た、と考えると悪いのは若者達、という図式になる。ヴィッキーが襲われた家で、家族が死んでいたのは環境汚染か病気でしょう。最初に運転手だったヴィッキーが狙われた事も、これで説明が付く。

『地獄へ通じる道』うんぬんのせいで、あの一家が悪いように見えるけど、冷静に考えれば丸っきり逆。
息子の死を目の当たりにして、老婆が復讐を命じるのも理解できないことではない。

息子を撥ねる→ヴィッキー刺殺→サイモン撲殺→息子が死ぬ→ロキシー首を捻られる→娘は返り討ち→アーイシャが悪魔化(感染)したOJに会う END

ただ、復讐のためとはいえ、モーニングスター(トゲ付鉄球)を振り回して撲殺して良い、ということにはならないけどねw

穿った観方かもしれないけど、これだと納得のいく話になると思うよ(誤解とはいえ、自業自得で)。

*パキスタンの将来・・・紛争が絶えない地域ながら、人口の増加率は凄まじく、現状でも日本より多い。人口減少に拍車が掛かっている日本と比べなくても、遠くない将来に世界第4の人口大国になるのは確実と見られている。中国とはハイウェイによる陸路貿易が確立されており、衰退の兆しがある米国からエネルギー大国の露国へと友好関係を移していくなど、先見の明もあり、注目すべき国である。
万が一、第三次世界大戦が起こるのならば、私はココが原因になるのではないかとすら思っている。


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