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B級映画って言うなw 再見して語る映画館
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原題:THE MANGLER016b79bb.jpg
監督:トビー・フーパー








キング原作の短編「人間圧搾機」の映画化。
巨大な機械というものは、それだけでも恐怖を感じるが、これが悪意を持って人を襲うとどうなるか?
この機械が人を襲うという設定は、キングお馴染みの不条理ホラーで荒唐無稽な話だが、今作に限ってはトビーが実に良い仕事をしているので、挟まれた人を観たいファンも、オカルトを楽しみたい人も、それなりに満足させてくれると思う。

物語は・・・1.flv_000725183.jpg1.flv_000184935.jpg
ライカーズ・バレーにあるクリーニング工場『ブルー・リボン』。
その中では、高温多湿な悪環境で、女たちが仕事に追われていた。
シェリーは機械の調節をしようとして、手に怪我を負い、血がプレス機に飛び散る。
その時、旧型の冷蔵庫を運び出していた作業員が、誤まってプレス機に倒れこみ、激しい放電が起こる。1.flv_000219302.jpg
辺りは、一時騒然となるが、その様子を見た社長のガートレー(R・イングランド)は、主任のスタナーを呼びつけ、早く仕事を再開させろ、と怒鳴りつける。
守銭奴のガートレーは、仕事は待っちゃくれんのだ、時は金だ、と言いながら、両足に嵌めた歩行器を鳴らしながら、社長室に入っていく・・・。

運び出された冷蔵庫は、トラックに載せられ、配達先に向かう途中で、刑事のジョン・ハントン(テッド・レヴィン)の車と事故になりそうになる。
1.flv_000397189.jpg1.flv_000405822.jpg怒ったジョンは、一気に文句を並べ立て、運搬先まで着いていくと、運転免許証の期限切れを咎めようとする。
そこに、また冷蔵庫が倒れ掛かり、下敷きになったジョンは、「バカどもが!」と悪態を吐きながら起き上がる。

その頃、ブルー・リボン工場では、シェリーの傷口が開き、包帯は見る間に血に染まっていく。d676de2b.jpg1.flv_000602477.jpg
フローリー婦人は、持病の胃痛が起こり、アネットに心配されながら薬を口に運ぶ途中で、主任のスタナーに咎められる。
驚いた拍子に、をプレス機に落としてしまったフローリーは、タイミングを図って取り出そうとする。
その時、プレス機が大きく口を開けると、まるで噛み付くようにフローリーの手首を巻き込んでしまった。
女たちが必死で足を引っ張り、非常停止ボタンをアネットが押し続けるが、ローラーの回転は止まらず、フローリーはプレス機の中に消えていった。
それを見ていたガートレーは、「バカめ、死ね・・・仕事の邪魔をしおって!」と悪態を繰り返す・・・。

トラック運転手たちを虐めていたジョンに連絡が入り、ブルーリボン工場の事件に急行するように指示が出る。
1.flv_000870287.jpg1.flv_000887846.jpg現場に到着したジョンは、泣き喚く女たちの様子を眺め、主任のスタナーに事故現場に案内を頼むが、「本気で見たいのか、私はもう吐くものが無い」と言われ、軽い気持ちで主任のうろたえぶりを冷かしながら、プレス機の裏に回る。
すでに到着していた鑑識のとっつあんが「こんな惨いのは見たことが無い」と言うほど、そこには破壊され尽くした肉の塊があった。
そして、ジョンも込み上げるものを抑えきれず、嘔吐するハメになった・・・。

「私のせいなんです、もっと強く足を引っ張っていれば・・・」と泣きつくシェリーを押しのけて、パトカーに座ったジョンをアネットが追いかけてきた。1.flv_000967468.jpg1.flv_000994077.jpg
ジョンの顔色が悪いのを見て、フローリーが使っていた胃薬を差し出す。
有り難く胃薬を受け取り、お互いに自己紹介する二人。
あまりのショックに、アネットが泣きながら立ち去ると、そこに保安官と判事が技師を乗せて現れ、単なる事故だったかもしれない、と中に入る。後を追ったジョンは、途中でかなりコンパクトになったフローリーさんの遺体とすれ違い、一回転して工場の中へ。
簡単な始動と停止の確認が行われ、問題点は無いとして工場側の過失は無し、と判断された。
1.flv_001103270.jpg
その夜、義弟のマークを訪問したジョンは、食事は喉を通らなかったが、一緒にビールを飲むことにする。
そこで、マークが以前ランドリー工場でバイトしていたと知り、あのプレス機マングルという名だと聞かされ、人間を滅多切りにしたアイツはマングラーと言っていい、と吐き捨てる。
安全装置があった筈なのに、想像を絶する死に方だったろうね、と唖然とするマーク。
ジョンは、昼間の光景を思い出し、こんな仕事辞めてやる、と叫ぶ。
人がシーツのように折り畳まれて、最後はバスケットの中・・・、社長のガートレーは判事にワイロを渡しているし、判事は保安官を抱き込んでる、と責任の所在さえ誤魔化されていることに憤る。
そんなジョンに、マークはこの町自体がまともではないし、偏見に満ちて異様な雰囲気に包まれて、魔女狩りの風習もあったし、とにかく未だに古い宗教的な思想が横行してて、と喋り続ける。
それを遮ったジョンは、義弟のオカルト趣味を黙らせ、人を殺しておいて、あの機械は平気でもう動いている、と愚痴る・・・。
1.flv_001371205.jpg1.flv_001580790.jpg
その頃、作業をしていた女たちに、マングラーから外れたホースが蒸気を吹きかけていた。
パニックになった女達は、工場の外に逃げ出し、情婦のリンスーガートレーに助けを求める。
汗を流して来い、と命じられたリンスーは、逆にガートレーを誘うが、両脚と片目を失っている姿は恐ろしくもあり、「お前って奴は、なんて魅力的な女なんだ、だがいいか・・・例え、純真な心を持っていても、悪魔の影は忍び寄る・・・」と不気味な言葉を告げられる・・・。

義弟のマークと飲んでいたジョンは、緊急連絡でまたランドリー工場で事故が起こり、スチームホースで3人が負傷し、一人は重傷だと聞かされる。1.flv_001654864.jpg
車に乗り込んだジョンは、自分から着いてくると言い出したマークを乗せて病院に急ぐ。
重度の火傷を負っていたのは、昼間に会ったアネットだった。
ジョンは注射で落ちついた所で、医師の制止を無視して話を聞く。
アネットは、あの機械が突然暴れ出したの、事故が頻繁に起こるようになったのは、シェリーが手を切ってからだわ、と話す。
マイクは、マングラーで?と興奮して訊ね、その時に血がマングラーに飛び散ったと確認すると、一人で何か思いついた顔をする。
医師に中断され、立ち去りかけた時に、アネットは「シェリーは社長の姪なのよ・・・年頃なのに社長は、まるで鷹のように監視してて、近づく男を追っ払ってる・・・あの機械、血の味を覚えて病み付きになったみたい」と苦笑する。
マークは、まだ何か一つ聞きたそうだったが、ジョンに呼ばれて病室を出て行く・・・。

ジョンは連中が安全装置の確認をいい加減に終らせるから事故が起きた、と憤慨していたが、マークは何か別のことに考えを巡らせていた。
帰宅の途中で、子供を探すエレンシア夫人を見かけたが、そのまま2人は帰宅する。
家に入りかけたジョンを呼び止めて、どうしても見せたい物がある、とマーク。1.flv_001977770.jpg

マークが持ち出したのは、『金枝篇:The Golden Bough』という宗教・民族・神話学の集大成として知られる本:著ジェームズ・フレイザー
一冊しか見せないので、恐らくは簡約本と思われるが、マークはマングルに悪魔が憑りついて人を殺すマングラーになっている、と断言する。
オカルトを信じていないジョンは、何もかも糞喰らえだが、この事件は現実だ、と取り付く島も無く言い捨てる。
1.flv_002048508.jpg1.flv_002066859.jpg
作業が終り、皆が帰宅した後で、リンスーはプレス機に誘われるように近づくと、中に吸い込まれてしまう。
間一髪で、主任のスタナーが引っ張り出し、手を怪我しただけで済んだが、パニックで泣き喚く。
それを冷然と見下ろしたガートレーは、スタナーが救急車を呼ばなければ、というのも聞かずに、「わしの部屋に連れて来い」と命じる・・・。
2.flv_000007424.jpg
一方、マークのオカルト談義は続き、悪魔を呼び出すには呪文とアイテムが必要で、その代表的な物にベラドンナ(植物)があって、それが悪魔を誘き出すエサだという。
半信半疑で聞いていたジョンは、他に悪魔が好む物に処女の血がある、悪魔さんも好きだなぁ、と茶化す。
とりあえずマークが、どうしてもと言うので、シェリーの事を調べる。
シェリーの両親は死亡しており、現在の保護者はガートレー、二人は車でガートレー家に乗り付ける。2.flv_000337504.jpg
お前は一言も喋るな、と言いつけておいて、シェリーと対面する二人。
シェリーは、手を怪我した時の状況を語り、フローリーを救えなかった、と涙する。
話の内容から、マングルが故障したのは冷蔵庫がぶつかったせいだ、とシェリーは悪くないと慰めるジョン。
ところが、立ち去り際に、マークが「君は処女?」と聞いたものだから、激怒したシェリーに追い出される。
その反応から、彼女は処女に間違いないね、と何故か嬉しそうなマーク。

帰りの車中で、目茶苦茶怒られるマークだったが、真相が分ったと繰り返す。
すると、スミス夫人の家にパトカーや救急車が向かっているのを見かける。
何事か、とマークを車に置いて、話を聞くと、スミス家の前に置かれていた冷蔵庫から、エレンシア婦人の息子が窒息死で発見されたという。
スミス家の飼い犬が冷蔵庫に咆えていたので、不審に思って中を確かめたそうだ。
発見者も保護者もパニック状態で、幼い子供の死を悲しんでいると、鑑識のとっつあんが現れる。
ついでに車から降りてきたマークは、発見場所の冷蔵庫の周りを調べていた。
マークに呼ばれてジョンが冷蔵庫に近づくと、そこには『ブルー・リボン洗濯工場』の印が・・・。
2.flv_000595804.jpgまさか、これが話に出てきた冷蔵庫なのか、と蹴りを入れるジョン。
二人がドアを開けてみると、中には複数の鳩の死骸と一羽の生きた鳩。
それをマークが外に出してやると、いきなりドアが閉まり、腕を挟まれる。
何とかジョンが力を合わせて腕は引っこ抜いたが、この気味の悪い冷蔵庫にキレたジョンは、スミスさんにハンマーを借りると、ぶっ壊しに掛かる。
集まっていた人々の呆れたような視線の中で、鑑識のとっつあんも記念代わりに写真を撮る始末。
やけくそでハンマーを振り回し、上部の給電器を吹き飛ばした途端、青白い竜巻が立ち上り、辺りに電光も走る。2.flv_000667167.jpg
マークが「悪しきモノよ、立ち去りたまえ、汝偶像を崇めるなかれ」と叫んだのが効いたのかどうか、光は収束し嘘のように消えてしまった。
鑑識のとっつあんも、すごいマジックだったな、お陰で生まれて初めて亡霊を見れたよ、とまた写真をパシャリ・・・。

さすがに悪霊を信じたジョンだったが、神父やラビ(ユダヤ教の神秘学者)に相談しても無駄だろうな、と自分達でどうにかする方法を話し合う。
マークは、仮に機械を破壊しても、自由に飛び回って他の機械に憑りつき、また人殺しを繰り返すだろう、と言い、鍵は処女の血にあるが、悪魔にも種類があるから敵を確定する事が大事だと語り続ける。
間違った対処をすれば取り返しがつかないし、敵に対して万全の備えで挑まないと、自分たちが危ない、と。
2.flv_001123999.jpg
とりあえず義弟と分かれたジョンは、遺体安置室で検死官と会う。
少年の腕は6箇所も骨折があったと言い、ついでに修復したフローリー夫人も披露する。
不気味な検死官を追い出して、フローリー夫人の所持品から胃薬を見つけたジョンは、空になった自分のと入れ替える。
疲れ果てて椅子に腰掛けていると、突然フラッシュが焚かれ、鑑識のとっつあんにカードに誘われる。
断りを入れたジョンだったが、とっつあんに病で先が長くないと聞かされ、逆に背負い込みすぎるな、と励まされる。
写真の焼き増しを明日にでも取りに行く、と告げて、ジョンはブルー・リボン工場に向かう。
2.flv_001418168.jpg
雨どいを伝って、工場内に落下したジョンは、悪態を吐きながらプレス機の前でタバコに火を点ける。
すると、コートの端を飲み込んだマングラーが、ジョンを巻き込みに掛かった。
悪戦苦闘して、銃でコートを撃ち破り、何とか逃れたが銃は飲み込まれた。
銃声を聞きつけて、主任のスタナーが飛び込んできたが、それを殴り倒して、社長室に向かうジョン。
二人の争いを止めたガートレーは、スタナーを下がらせ、ジョンと話をする。
「これ以上犠牲者を出す前にあの殺人機械を処分しろ」と叫ぶジョンに、「止めておきたまえ、出世に響くよ」と返すガートレーに「そいつは脅迫なのか、だったらお返しにその棒ッきれをアンタの尻に突っ込んでやろうか」と激昂する。
乾いた笑いを発したガートレーは「脅迫だと?そんなもの生ぬるい、これは命令だよ」と言う。
それでも引き下がらないジョンに、怒りを顕わにしたガートレーは、ずれたサングラスから義眼を覗かせながら、「不法侵入は重罪だぞ、貴様を訴えてやろうか!」と怒鳴る。
「あぁ、逮捕でも何でも好きにしろ、その代わり俺がこの工場を跡形も無く灰にしてやるぜ」と啖呵を切る。
2.flv_001551552.jpg「憶えておけ、貴様ごときにワシの邪魔はさせん、お前をクビにしてやる」
「いいかい?アンタの金もお友達も、この俺にとっては糞喰らえなんだよ」
その言葉を聞いたガートレーは高笑いをし「ワシの力は金で買ったものではないぞ、力と言うものは全てのエネルギーの源、そして力とはこの世の全てを我が手に結束させることなんだ!世の中とは複雑で錯綜した世界だ」
そして、最後に「コレだけは憶えておけ、あの機械で両脚を失った日から、あれにはワシの血が流れとる、そしてあの機械こそ、この町の命だ!」
「一体、何のことだ?」
「何事にも犠牲は必要だ、ということだ・・・犠牲がな」

ジョンが激昂したまま立ち去ると、入れ替わりにスタナーが社長室に入る。
「あのバカは、機械を止める気だぞ」と笑うガートレーに、スタナーは「私も、あの機械は止めた方がいいのではと・・・」言う。2.flv_001755131.jpg
ガートレーは、あの機械は自分が子供の頃からの長い付き合いでな、ワシの父もいい飯の種を残してくれたよ、と笑う。
「ですけど、社長のお嬢さんを殺したのも、あの機械なんですよ、社長の脚もです」と強く言う。
「ま、何事にも犠牲は必要なんだよ、今のワシを築き上げたのもあの機械だ」
「社長にその気が無いのでしたら・・・いっそ私の手で」
「バカな事を・・・お前は将来を棒に振る気か」
私は、ただ・・・あんな事故を・・・もう2度と見たくないだけです
「・・・せいぜい、その良心とやらを大事にするといい」
スタナーは、グラスを強くテーブルに置くと、無言で社長室を出て行った。

帰りの無線で、早速署長から休暇を取れ、と命じられたジョンは、まっこうから噛み付いてみせる。
結果として、クビを命じられる。

一部始終を聞いていたリンスーは、さすがに気分が悪かった。2.flv_001989824.jpg
さっさとベッドに行きましょ、というリンスーに、ガートレーは娘の死亡診断書を見せる。
たったの16歳で・・・と驚くリンスーに、その昔あった生贄の儀式は今でも存在するのだ、ワシはこの町を思うが侭に支配できる力を手に入れるためなら、犠牲も厭わなかったよ、と笑うガートレー。
「これは、あの機械に潜んでいる悪魔と交わした契約書だ・・・この脚と引き換えにな」
狂気に中てられたように目を見開いていたリンスーは、「私の指は・・・どうなったの?」と震える声で聞く。
「お前はマングラーの一部・・・我々の仲間入りをしたからには、最早逃げられはせんからな」
と、裏返した契約書には、ガートレーの血で付けられた手の平が記(サイン)してあった。
ようこそ、我がクラブへ」と笑いながら、リンスーの手の平も契約書に押し付ける・・・。

帰宅したジョンは車のドアにコートを挟んで「クソッ」と叫び、家の中に入るとマークが悪魔払いのアイテムを並べて説明を始めた。
「あの機械に棲みついた悪魔に、そんな物では効き目は無い」と否定するジョン。
何とか上手くやってみせるよ、と言うマークに、相談したい奴がいる、と出て行くジョン。
後ろから悪魔退散グッズを抱えて追いかけるマーク・・・。
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その頃、酒を呷って覚悟を決めたスタナーは、電気屋を呼び機械の解体を始めようとしていた。
そこに、シェリーが現れ、もう仕事を辞めたいと叔父さんに頼むつもりだと言う。
社長はリンスーと一緒だから、明日にした方がいい、とスタナーは止めたが、刑事が来たことで動揺したシェリーは、今話がしたい、と階段に向かう。
すると、停止していたマングラーが動き出し、スタナーの腕を飲み込んだ。
電気屋は、急いで電源を切ろうとするが、スパークが走り落とすことが出来ない。3.flv_000172297.jpg3.flv_000136344.jpg
そこへ、ガートレーとリンスーが現れ、シェリーの必死の助命も笑い飛ばして、ダンスを始める。
スタナーは、非常用の斧で、自分の腕を切ってくれ、と頼む。
電気屋は躊躇いながらも、斧を振り下ろし、腕を切断する。
ガートレーは、儀式は今夜だと言いながら、シェリーに自分の元に来るように呼びかける。
だが、返り血を浴びたシェリーは外に逃げ、スタナーは死亡、ついでに電気屋もショックで気絶した。
3.flv_000372664.jpg
ジョンは工場に行く前に、鑑識のとっつあんに相談するつもりだったが、警察署で倒れて担架で運ばれる所だった。
苦しい息の中で、最後に会えて嬉しかった、と言い、酸素吸入をする手を払いのけ、ジョンにしがみ付くと
「地下にあるワシの部屋にプレゼントがある・・・この町に蔓延る悪魔を追い払うのだ」と言い残し、吐血して果てた・・・。

とっつあんの部屋に入ったジョンは、残された写真を見つけ、めくり始める。
マークは、壁のスクラップ記事で、ジョンと姉の事故を見つけ、あれはアンタのせいじゃないよ、と言う。
「だが、運転していたのは、俺だ」と言うジョンに、あれはよくある事故、だからいつまでも過去を引き摺らない事だね、と。3.flv_000572155.jpg
そして、マークが写真の山の下からジョン宛の封書を見つけ、開いてみると、それはスクラップブックだった。
ブルー・リボン工場の社長の一人娘マリアン・ガートレーが大型プレス機に挟まれて死亡、その日は丁度16歳の誕生日であった。
サラ・クランドル、16歳の誕生パーティーから姿を消したまま、行方不明となる。
ビショップ判事の愛娘であるスザンヌが行方不明、最後に彼女が確認されたのは16歳の誕生パーティ・・・
・・・・etc。
全てに共通するのは金持ちで、一つを除いて望む物の無い人達で、それは・・・権力だ
ジョンは、ガートレーの言葉を思い出し、「権力を手に入れるためには、犠牲はつきもの・・・」。
急いで、ガートレー家に電話をしたジョンは、シェリーからスタナーが死んだと聞かされる。
更に、シェリーが今日で16歳だと聞いたジョンは、家中の鍵を閉めて、自分が行くまで何処にも行かないように、と告げる。
11:40PM、急いでガートレー家に向かう二人。
3.flv_000830956.jpg
その頃、電話を切ったシェリーは、蝋燭に火が着いた自分の誕生ケーキが置いてあることに気づく。
不気味な歩行器の音を立ててガートレーが現れ、「蝋燭を消して願い事を言うがいい」と笑う。
アンタなんか死ねばいい!」と叫ぶシェリーをリンスーが後ろから押さえ込む。
「それが願いか!気が強いのは、ガートレーの血筋だな」と笑いながら、シェリーの横に座り込む。
「全ては、犠牲の上に成り立つのだ!」と2人で笑いながら、睡眠薬を嗅がせる・・・。

この糞忙しい時に、マークは悪魔祓いの予行練習を始めるが、最後まで聞いていられないので、先を急ぐ。
3.flv_000918377.jpg
マングラーにシェリーを安置したガートレーは、契約の詠唱を始める。
「我が全能なる機械の神よ、善と悪とを併せ持つ神よ、我が姪の清らかなる血を捧げよう・・・これで、長年に渡る黒い契約は、今夜で完了だぞ」

その時、工場に到着したジョンとマークは、儀式を見て急いで飛び掛る。
シェリーをマングラーから取り出し、マークに渡すと、ガートレーに向かって殴りかかる。
3.flv_000992159.jpg3.flv_001054096.jpgガートレーも反撃するが、脚が悪いのでは勝負にならず、突き飛ばされて馬乗りにされ、ジョンの怒りを受けることになる。
一方、リンスーも奇怪な叫び声を挙げて、シェリーをマングラーに入れようとするが、マ-クに邪魔をされたので、先にマークを挟もうとする。
だが、土壇場で体勢を逆転したマークに投げられ、リンスーはマングラーの中へと絶叫を上げて巻き込まれていく・・・。3.flv_001101268.jpg3.flv_001147940.jpg
リンスー、ワシのリンスー・・・」と嘆きながら裏に回ると、そこには変わり果てた肉塊が・・・。
少しは人間らしい所もあったか、と思ったら振り返り様に「仕方ないか」と身振りも付ける。
そこで、怒りのジョンパンチで吹っ飛んだガートレーは、操作棒に引っ掛かり、そのまま折り畳み台の上に移動・・・、幾重にも折り畳まれながら「地獄におわす我が神よ、汝の名は呪いなり・・・このバカタレ」と、最後まで外道に相応しい死に様だった。
3.flv_001213005.jpg3.flv_001307933.jpg
一方、聖書を詠唱しながら、悪魔祓いを始めたマークだったが、聖水、聖体、と投げ込んでも効果が無さそうなので、ジョンが片っ端から物を投げ入れ、即席コンビで聖書を詠唱して、マングラーの動きが止まる・・・。
見ろよ、やったんだ、死んだぞ!」と、この手の映画で言っちゃいけないことを叫んでマークやシェリーと喜び合うジョン。
かなり目茶苦茶だったので、胃が痛くなったジョンは胃薬を飲み、マークも薬は嫌いなんだけど、と手に取る。
一つ口に入れて、ラベルを見たマークの顔色が変わっていく・・・「ベラドンナだ
3.flv_001383259.jpg3.flv_001489198.jpg
またもや復活したマングラーは、火を噴出して爆発した。
そして、通路を逃げる3人を追って、蒸気を噴出しながら迫ってくる。
聖書を詠唱したマークだったが、まるで効き目は無く、機械の手で下半身を引き千切られて絶命した
3.flv_001546964.jpg3.flv_001608734.jpg
二人は、狭い通路から地下の下水施設の回廊に逃げるが、部品をばら撒きながら執拗に迫ってくるマングラー。
逃げ切れないと思ったシェリーは、自分からマングラーに向かっていき、右腕を挟まれる。
それを力づくで引き離したジョンは、そのまま回廊から飛び降り、横穴に身を潜める。
排水溝の上から、何度かが吹き降ろしてきたが、それも収まり二人は下水溝から地上に逃げ出した・・・。

病院にシェリーを運んだジョンに、医師は命に別状はありませんが、何があったんです?と訊ねられる。
「そりゃあ・・・言えないね」と、明日の見舞いを約束して、ジョンは病院を後にした・・・。
3.flv_001800843.jpg
帰宅したジョンは、木々に吊るされたウィンド・フォンを眺めてマークを感じていたが、そこに郵便が届く。
差出人は鑑識のとっつあん・・・ジョン、君の命を救うやも知れぬ、大事な話をここに記しておこう。この町には昔からの古い言い伝えがある。野望を抱いた心悪しき者は自らの血と肉とを悪魔に捧げ、心正しいものを破滅させる・・・。
親愛なる君のろくでもない友  写真屋より

3.flv_001852353.jpg花を持って工場を訪れたジョンは、そこで忙しく働く作業員と・・・マングラーを見て唖然とする。
新しい主任は、新社長の激を受けて、作業員達の尻を引っぱたくように叫ぶ。
もたもたしてると、陽が暮れちまうよ、無駄な給料は出さないからね!
そう叫んでいるのは、杖をついたシェリーだった・・・。
そして、ジョンの姿に気づくと、笑顔で右手を上げた。
そう、薬指の無い右手を・・・。

3.flv_001880172.jpg3.flv_001899775.jpg3.flv_001927136.jpg無言で踵を返すと花を投げ捨て、車を走らせるジョン・・・。
まるで、一刻も早く工場から、この町から離れたいかのように・・・・・・

END

この映画、トビーの良い面が出ていて、かなり完成度の高い作品に仕上がっている。
内容の方も濃すぎず薄すぎず、終盤のコメディのようなシーンさえ、肩透かしではなく素直に笑える。
特にラストは印象に残る出来栄えだ。

今作で目立つのは、俳優の演技力が高いので、荒唐無稽な話にも重みが出ていること。
主人公ジョンは、神経質で人間臭く、いつも「畜生」とか「糞喰らえ」とか言ってる割に、責任感が強く人を信じるタイプ。それだけに無責任な事故が多発したことに怒り、真実を知ってからは職を捨ててまで、悪魔相手に体を張る。だからこそ、ガートレーは心底憎むべき相手であり、この町の有り方にも嫌気が差している。
好演したのは、「羊たちの沈黙」でバッファロー・ビル役だったテッド・レヴィン
数多くの作品で脇を固める演技派の名優である。

義弟マークの役柄は、オカルトに傾倒している自然主義者で、どこかユーモラスでマイペース。真面目なジョンに代わって、笑い役に徹している。

ウィリアム・ビル・ガートレーを怪演したのは、ご存知ロバート・イングランド
尊大で欲深く、身内であっても自分のためなら犠牲と切り捨てる冷徹な男。
義眼両脚は義足と歩行器、手には、とこれ以上怪しい風貌は無い、というぐらい完成された特徴最大限に引き出して、逆に清清しいほどの外道っぷりを演じている。

他の脇役も濃い面々が揃っており、映画自体がキャストに底上げされた感じである

ゴアシーンは、序盤のフローリー夫人から、かなり次まで待たされる。
途中で火傷とかあるのだが、やはりプレス待ちが長い。
その間はガートレーやジョンが楽しませてくれるので、二人の掛け合いやマングラー誕生と町の秘密で我慢できる。
正直、驚いたのは鑑識のとっつあんの吐血シーン・・・、これほど見事な最後は珍しい。
終盤で、やっとリンスーがプレスされ、ガートレー折り畳まれるが、ここのシーンの丁寧さと言うか、往生際の悪さというか、これを観るだけでも価値がある
できればGIFで載せようかと思ったが、あんまりなので止めた。
後、移動を始めてからのマングラーに関しては、マークが胴チョンパされても助けを求めて手を伸ばすなど細かい点に凝っていて良い絵だ。
マングラー本体の姿は滑稽も良いところで、上手く誤魔化そうと苦心しているのは分るが、やはりギャグ以外の何物でもない。
あの三日月目のアップは、笑うところだと私は思っている。

ラストに関しては、血筋って怖いね、というのとジョンの努力は何だったのか、という虚無感が伝わってくる。
無言でシェリー・ガートレーに、工場に、恐らくは町に背を向けたであろうジョンの立ち去り方が胸に残る。
とっつあんや義弟まで亡くして、さぞや孤独な道行きだろう・・・。

キングの原作と言いながら、内容は大幅に変更され、また膨らませてあるので、正直こっちの方が面白い。
機械に人を襲わせる原作が多いキング作品でも、この作品は傑出していると思う。
自分が監督した『地獄のデビルトラック』で、どれだけ妙な原作を書いているかを自分でも反省してたし。

*金枝篇:The Golden Bough・・・英国の社会人類学者ジェームズ・フレイザー著1936年全13巻。
宗教学・民俗学・神話学を中心に、世界中の信仰やタブーとされる呪術・呪い等が多岐に渡って収拾されている。簡約版として1巻に纏められた著書も存在し、国内でも翻訳版を買うことが出来る。
私は民俗学を齧っているので、岩波文庫版全5冊を通読したが、愛読する気にはなれない。
興味のある方は、図書館などで一度手に取られることをお勧めする。

*マングラー2・・・もちろん、トビーには無関係。一部で、笑えるダメ映画として紹介されている。
マングラれる、という独特な造語を放った字幕も然ることながら、内容も一体何をしたいのか皆目分らない崩壊映画である。原作とも、今作とも全く関係が無いサイバーモンスター映画とでも言えば良いのだろうか。
監督は、マイケル・ハミルトン=ライト、これが初監督作品だが、当然のように最後の作品になった。

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